1,800円以上の注文で送料無料

偶然の祝福 の商品レビュー

3.5

169件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    56

  3. 3つ

    60

  4. 2つ

    14

  5. 1つ

    3

レビューを投稿

2020/11/29

小川洋子の世界。 短編連作。 裏表紙から。 失った物への愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。 なるほど、なのでタイトルが「偶然の祝福」なのか。 読み終わって、詳細をしっかり覚えているかというと、すごくあやふやな記憶しか残っていなかった。 だけど哀しみの中に、息...

小川洋子の世界。 短編連作。 裏表紙から。 失った物への愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。 なるほど、なのでタイトルが「偶然の祝福」なのか。 読み終わって、詳細をしっかり覚えているかというと、すごくあやふやな記憶しか残っていなかった。 だけど哀しみの中に、息子と犬のアポロが寄り添っている。 じんわりと幸せを感じる一冊。 とくに「キリコさんの失敗」と「涙腺水晶結石症」が良かった。 それにしても解説の川上弘美さんが一番好きな小川作品が「ホテルアイリス」というのがびっくり。 英訳されている洋書もつい買ってしまったけれど、ちょっとついて行けない世界。 もっと読み込んで小川洋子の世界に入り込まないといけないのか? 徐々に小川作品も読んでいこうと思います。

Posted byブクログ

2020/11/03

また好きな本に出会ってしまった。 悲しみや寂しさ、影が通奏低音として流れている文章が好きだな。 お手伝いのキリコさんの話が好きです。

Posted byブクログ

2020/10/30

作家である「私」が、息子や愛犬のこと、昔の思い出などを描いた短編集で、「私」を中心に、それぞれの話はどこかで繋がっている。 タイトルに"祝福"とあるわりには、どの話もわかりやすい幸せな感じはないため、個人的には少しモヤモヤが残ったが、一見不幸そうな中にわずかに...

作家である「私」が、息子や愛犬のこと、昔の思い出などを描いた短編集で、「私」を中心に、それぞれの話はどこかで繋がっている。 タイトルに"祝福"とあるわりには、どの話もわかりやすい幸せな感じはないため、個人的には少しモヤモヤが残ったが、一見不幸そうな中にわずかに温かさを感じる部分もあり、それが"偶然の祝福"なのかもしれない。

Posted byブクログ

2018/02/07

後から考えると何が怖かったのか分からない怖い夢を見ることがある。 眠りの導入部で自分の目にしたことの無い映像が勝手に流れ出すような。 見当違いなことを言っていたら恥ずかしいが、現実なのか夢なのか分からない世界がこの小説と似ていると思った。 読んでいる途中は何とも言えない居心地の悪...

後から考えると何が怖かったのか分からない怖い夢を見ることがある。 眠りの導入部で自分の目にしたことの無い映像が勝手に流れ出すような。 見当違いなことを言っていたら恥ずかしいが、現実なのか夢なのか分からない世界がこの小説と似ていると思った。 読んでいる途中は何とも言えない居心地の悪さみたいなものを感じていたのに読み終わってみると不思議とまた読みたくなっている。 何だろう、上手く言葉にできない。

Posted byブクログ

2018/01/06

何度読んでもひっそりとしたお話たちが好きです。 小説家が主人公で、彼女の書くお話が小川洋子さんが書かれてきたお話なので、私小説のような空気です。 「時計工場」の最後の一文に、今回は目が留まりました。素敵な一文です。 小川洋子さんと同じくらい大好きな川上弘美さんの解説も良かったです...

何度読んでもひっそりとしたお話たちが好きです。 小説家が主人公で、彼女の書くお話が小川洋子さんが書かれてきたお話なので、私小説のような空気です。 「時計工場」の最後の一文に、今回は目が留まりました。素敵な一文です。 小川洋子さんと同じくらい大好きな川上弘美さんの解説も良かったです。川上弘美さんも、小川洋子さんの新刊が出たら必ず買うのか…わたしもです。

Posted byブクログ

2017/10/17

何かを失うことで、何かを得るというテーゼが通奏低音となっている小説。小説の中の物語とはいえ、人生の不思議さをしみじみと感じられる作品です。短編でありながら、それぞれの短編が相互につながっている展開。

Posted byブクログ

2017/08/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【あらすじ】 お手伝いのキリコさんは私のなくしものを取り戻す名人だった。それも息を荒らげず、恩着せがましくもなくすっと―。伯母は、実に従順で正統的な失踪者になった。前ぶれもなく理由もなくきっぱりと―。リコーダー、万年筆、弟、伯母、そして恋人―失ったものへの愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。息子と犬のアポロと暮らす私の孤独な日々に。美しく、切なく運命のからくりが響き合う傑作連作小説。 【感想】

Posted byブクログ

2017/06/13

孤独な女性小説家の過去、日常を描く連作小説。 間違いなく日常が描かれているが、そこにあるのは、ミステリアス、生々しい神秘性、非現実感、虚構。 最初はエッセイ?と勘違いしそうになりました。ご自身の経験も多かれ少なかれ盛り込まれてるとは思いますが。 小川洋子さんは静謐な文章を書かれ...

孤独な女性小説家の過去、日常を描く連作小説。 間違いなく日常が描かれているが、そこにあるのは、ミステリアス、生々しい神秘性、非現実感、虚構。 最初はエッセイ?と勘違いしそうになりました。ご自身の経験も多かれ少なかれ盛り込まれてるとは思いますが。 小川洋子さんは静謐な文章を書かれる方、と紹介されることが多いが、その通り喧騒とは正反対のところにいる。 流れている時間がすべらかで秒針の音ひとつしないのだ。 主人公の人生は穏やかなものではなく、しかし落ち着き払っている。 終わり方はストンときたし好みだが、その後主人公にとってやさしい時間はやってくるのだろうか、という読後感が残った。 暗い話が好きな私にとっては良い余韻だった。

Posted byブクログ

2017/05/30

よかった。 小説家の私と息子と犬のアポロの、静かで、ときに残酷で、優しくもある不思議な空気を纏った連作短編集。 各短編の時系列は違うけれど、読了後にもう一度最初に戻って読み直したくなる。 いちばん好きなのは「失踪者たちの王国」。 さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐ...

よかった。 小説家の私と息子と犬のアポロの、静かで、ときに残酷で、優しくもある不思議な空気を纏った連作短編集。 各短編の時系列は違うけれど、読了後にもう一度最初に戻って読み直したくなる。 いちばん好きなのは「失踪者たちの王国」。 さよならも告げず、未練も残さず、秘密の抜け道をくぐってこちらの世界から消えていった、失踪者たちが住むという王国。 客観的なフリをしながらもどことなく失踪者たちの王国に惹かれているような“私”の不安定さと、空気感が、絶妙。

Posted byブクログ

2017/04/17

小川洋子の小説は、博士が愛した数式しか読んだことがなかったけど、この人のほん。面白い。 ほんの少しの非日常をこんなうふうに淡々とミステリアスに、そして、ささやかな幸福に、ほんの少しのラブストーリーに、不思議なホラーに、少しづつ姿を変えて読ませてくれる、身近によくある話のようで、...

小川洋子の小説は、博士が愛した数式しか読んだことがなかったけど、この人のほん。面白い。 ほんの少しの非日常をこんなうふうに淡々とミステリアスに、そして、ささやかな幸福に、ほんの少しのラブストーリーに、不思議なホラーに、少しづつ姿を変えて読ませてくれる、身近によくある話のようで、なかなかないんだけど、なんか自分でも経験したような気になるような日常風景の中に取り込まれる世界。 ふとした瞬間に、今の自分と本の中の主人公が簡単に入れ替われるほど普通の日常の出来事が、どんどん読ませてくれます。 ゾクっとしたり、え!?そうくる!?って思ったりオチも完璧なのに、なぜかとても日常的。 そんな不思議なもう一人の自分の人生のような一冊です。 ハマるかも。小川洋子!

Posted byブクログ