1,800円以上の注文で送料無料

砂の器(下) の商品レビュー

3.8

173件のお客様レビュー

  1. 5つ

    37

  2. 4つ

    64

  3. 3つ

    52

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2018/04/24

この作品を読んで一番印象的だったのは、主人公今西栄太郎刑事の事件解明に対する執念である。自分の休暇を使って、自費で遠方まで調査に出掛ける仕事中毒ぶりが描かれている。ちょっとした事柄から、事件の鍵になりそうなことを次々と思いつき、遠方まで出張したりするが、それがことごとく空振りに終...

この作品を読んで一番印象的だったのは、主人公今西栄太郎刑事の事件解明に対する執念である。自分の休暇を使って、自費で遠方まで調査に出掛ける仕事中毒ぶりが描かれている。ちょっとした事柄から、事件の鍵になりそうなことを次々と思いつき、遠方まで出張したりするが、それがことごとく空振りに終わっている。何度も挫折を味わいながら、あきらめずにとことん突き詰めていき、真相にたどり着くまでの長い道のりは読み応えがある。所轄の蒲田署の担当刑事である吉村との友情も作品を味わい深いものにしている。 今西刑事の執念の捜査を描いた警察小説の比重の大きい作品と感じたが、事件の背景には、現代でも問題になっているらい病のことや、戸籍制度の闇の部分など、社会派推理小説としての問題点の指摘もある。 さらに、現実的に可能かどうか、疑問を感じる部分もあるが、前例のない特殊な殺人方法が示されている点にも興味を引いた。 しかしながら、列車から線路に白いものを撒く女の記事から血の付いた衣服の処分を連想したり、近くのアパートに住んでいる自殺した女を列車の女と結び付けたり、押し売り撃退の話とトリックとを結び付けたりなど、ちょっと無理がある、強引ではと感じる箇所もあった。

Posted byブクログ

2018/04/02

40数年ぶりの再読。大人でないと正しく理解できない内容が多く、ずいぶん背伸びをしていたものだなと思う。 善良この上ない元巡査を殺害した犯人は誰か?そして前衛劇団の俳優と女事務員殺しの犯人は?今西刑事は東北地方の聞込み先で見かけた“ヌーボー・グループ”なる新進芸術家たちの動静を興...

40数年ぶりの再読。大人でないと正しく理解できない内容が多く、ずいぶん背伸びをしていたものだなと思う。 善良この上ない元巡査を殺害した犯人は誰か?そして前衛劇団の俳優と女事務員殺しの犯人は?今西刑事は東北地方の聞込み先で見かけた“ヌーボー・グループ”なる新進芸術家たちの動静を興味半分で見守るうちに断片的な事実が次第に脈絡を持ち始めたことに気付く…新進芸術家として栄光の座につこうとする青年の暗い過去を追う刑事の艱難辛苦を描く本格的推理長編である。

Posted byブクログ

2017/11/11

最後まで違う人物を犯人と思って読み進めていた。当事の時代背景、社会問題を取り混ぜている作品。 最後に一気に謎解きをしている印象。犯行方法等も斬新。全体としてやや冗長なきらいもあり、それが難点かな。

Posted byブクログ

2017/08/02

おもしろかった。 トリックは、東野圭吾ばりだった。 むしろ、このへんの元祖は松本清張なのだろうか。 最後がわりとあっさりだったのが、ちょっと惜しかった。

Posted byブクログ

2017/07/02

松本清張さんの文章表現がとても美しい。 映像化が何度もされている作品ですが、原作の文章の美しさも評価されるべき作品であると感じました。 昭和のはじめ〜30年ごろを舞台とした作品のため、現在とはかなり時代背景が異なります。ですが、読みやすい文章であり、元々の作品の面白さ、構成が素晴...

松本清張さんの文章表現がとても美しい。 映像化が何度もされている作品ですが、原作の文章の美しさも評価されるべき作品であると感じました。 昭和のはじめ〜30年ごろを舞台とした作品のため、現在とはかなり時代背景が異なります。ですが、読みやすい文章であり、元々の作品の面白さ、構成が素晴らしいこともあり、違和感なく読むことができました。 後半はじりじりと真相に迫る、少しもどかしさを感じる展開に感じましたが、現代でも十分に通用する素晴らしい作品であることに、作者には尊敬の想いが尽きません。 メールやパソコンで問い合わせや情報照会ができない時代、手紙の言葉がまた、堅くて美しい日本語。そういった面が、現代において新鮮に感じられることと思います。

Posted byブクログ

2017/02/21

映画化された作品を見ると、ハンセン病患者が主役のようにインパクトが大きかったが、原作はわりとサラッと触れられているだけだった。ハンセン病患者の置かれた立場については、この本が書かれた当時では常識であったのであろうが、現代の若者が読む場合には、当時の状況を一度調べてみることをお勧め...

映画化された作品を見ると、ハンセン病患者が主役のようにインパクトが大きかったが、原作はわりとサラッと触れられているだけだった。ハンセン病患者の置かれた立場については、この本が書かれた当時では常識であったのであろうが、現代の若者が読む場合には、当時の状況を一度調べてみることをお勧めしたい。久々に本当に面白い本を読んだ。 大満足。

Posted byブクログ

2017/02/05

* 2017年2月5日 読了。 これもとってもおもしろかった。 最後の方まで真犯人がわからなかったし、トリックに驚いたというのはなかったけど、今西刑事がじわじわと、でも確実に真相に近づいていく様に夢中になれた。 -

Posted byブクログ

2016/12/30

読み終わり。 あらかじめ犯人は分かっていましたので彼に関する描写を見ていると意外とはっきり人となりが分かる発言がちらほら。 今だとありえないんだろうなってトリック、戸籍のことも。かえって新鮮で面白かったです。また松本清張の作品を読んでいたいなと思いました。

Posted byブクログ

2016/10/06

国鉄蒲田操車場で発見された遺体、身元不明、この男は誰か?なぜ殺されたのか?殺したのは誰か? ベテラン刑事が謎に挑む捜査過程は、つい引き込まれる。特に、地方まで足を運んで情報を掴むところにはスリルを感じる。 しかしながら、物語全体には陰の雰囲気が漂う。人間と社会の暗い部分がよく醸し...

国鉄蒲田操車場で発見された遺体、身元不明、この男は誰か?なぜ殺されたのか?殺したのは誰か? ベテラン刑事が謎に挑む捜査過程は、つい引き込まれる。特に、地方まで足を運んで情報を掴むところにはスリルを感じる。 しかしながら、物語全体には陰の雰囲気が漂う。人間と社会の暗い部分がよく醸し出されている。 驚きの殺害方法、動機、人間のエゴ、時代背景、それらを表現する言葉などどれも人を引き込む魅力に溢れた物語だと思う。 ぜひご一読ください。 文学の仕事とは何なのか?

Posted byブクログ

2016/09/27

相変わらず錯綜する犯人像とあちこちに散らばる手がかり。スッキリ整理されていて頭の中で経緯がゴチャゴチャにならない。終末にむけてだんだん話が加速していくところがドキドキする。 最後もなるほどなと言った感じ。 適当に照会かけまくったり、そんな気がするだけで出張に出てみたり、あとは病...

相変わらず錯綜する犯人像とあちこちに散らばる手がかり。スッキリ整理されていて頭の中で経緯がゴチャゴチャにならない。終末にむけてだんだん話が加速していくところがドキドキする。 最後もなるほどなと言った感じ。 適当に照会かけまくったり、そんな気がするだけで出張に出てみたり、あとは病気の話が出てきたりと、当時の時代背景がよく分かる。今の推理小説もの(そういうジャンルなのかこの本は)からすると、さすがに古い。

Posted byブクログ