1,800円以上の注文で送料無料

ぐるりのこと の商品レビュー

4.2

25件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    12

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/08/06

旅先で、風切羽の折れたカラスと目が合って、生き延びるということを考える。 沼地や湿原に心惹かれ、その周囲の命に想いが広がる。 英国のセブンシスターズの断崖で風に吹かれながら想うこと、トルコの旅の途上、ヘジャーブをかぶった女性とのひとときの交流。 旅先で、日常で、生きていく日々の中...

旅先で、風切羽の折れたカラスと目が合って、生き延びるということを考える。 沼地や湿原に心惹かれ、その周囲の命に想いが広がる。 英国のセブンシスターズの断崖で風に吹かれながら想うこと、トルコの旅の途上、ヘジャーブをかぶった女性とのひとときの交流。 旅先で、日常で、生きていく日々の中で胸に去来する強い感情。 「物語を語りたい」ー創作への向かう想いを綴るエッセイ。 ここまで深く考えることができるなんてうらやましい。 しかも、常識に惑わされることのない独自の視点で。 このエッセイを読んだあとに、梨木さんの小説を読むとまた違った感想を得られるかもしれない。

Posted byブクログ

2017/07/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

憧れている図書館司書の方に勧められたので読んだ。 P134、「一人の人間を神格化して崇める、という行為には、自分で考える努力を放棄し、判断し決定する責任を他に押しつけた怠惰のにおいがする。」のところが大好き。そして反省する。一人の人間を神格化させがちなので。 気を付けよう。

Posted byブクログ

2014/06/02

すばらしく静かな本だと思った。 エッセイというには、硬いような、難しいような…誰かに勧める?と聞かれれば、答えはNOだけど。 わたしは、好きかもしれない。 硬質な文章は説明文みたいだし、考え方もわたしとは異なるタイプだし。この人の小説は好きなんだけどな、と最初はがっかりしたけれど...

すばらしく静かな本だと思った。 エッセイというには、硬いような、難しいような…誰かに勧める?と聞かれれば、答えはNOだけど。 わたしは、好きかもしれない。 硬質な文章は説明文みたいだし、考え方もわたしとは異なるタイプだし。この人の小説は好きなんだけどな、と最初はがっかりしたけれど。 少しずつ読む分には、嫌いじゃないかも。

Posted byブクログ

2013/08/08

 なのに僕は  こっちにいるからあっちに行けない と言った黒木瞳の詩を思い出す。 詩の題は「境界線」だった。 このエッセーには著者が、深く丁寧に考えている物事が書かれていて 今ひとつピンとこない部分もあるが、たびたび出てくるのが自分と 他者の間にある「境界」のこと。お互いを理...

 なのに僕は  こっちにいるからあっちに行けない と言った黒木瞳の詩を思い出す。 詩の題は「境界線」だった。 このエッセーには著者が、深く丁寧に考えている物事が書かれていて 今ひとつピンとこない部分もあるが、たびたび出てくるのが自分と 他者の間にある「境界」のこと。お互いを理解するにはどうしたら よいのだろう、そもそも境界というのはなぜ存在するのか、自分の境界を 押し広げて向こう側を覗くこと・・・奥が深い。 その後、小説「沼地にある森を抜けて」も読んだが、小説でも「境界」が テーマの一つになっていて、はからずも「ぐるりのこと」を読んだことが 予習になった。

Posted byブクログ

2012/10/30

タイトルから勝手に軽い内容のエッセイを予想していたんだけど、梨木さんに軽い内容などないのだった・・・。 連載時の時事が多少絡んでいる内容で、基本的にはなんだか変わってしまった日本や日本人、世界に対してどうにもならない思いがあるけど、やりきれなくて悲しい・・・というような感じ。 ...

タイトルから勝手に軽い内容のエッセイを予想していたんだけど、梨木さんに軽い内容などないのだった・・・。 連載時の時事が多少絡んでいる内容で、基本的にはなんだか変わってしまった日本や日本人、世界に対してどうにもならない思いがあるけど、やりきれなくて悲しい・・・というような感じ。 世の中みんながみんな自己中心的とは思わないけど、みんな多かれ少なかれそういった面は持っているものだし、それを隠すでもなくおおっぴらに欲望のままに行動しているから、それが問題なんだな。 かといって、何をどうこうしようとも思わないし、どうこう出来るとも思わない。だから梨木さんは悲しんでいるようだけど、 まぁしょうがないなぁなんだよ。

Posted byブクログ

2012/10/08

梨木香歩のエッセイ。ちょっと難しい。著者が様々な場所を巡り、様々なことを考え、思ったことが書いてある。

Posted byブクログ

2012/07/25

静謐な雰囲気のエッセイ集。 少し重い感じ。決して嫌な重さではないのだけど…。 草木や環境の事、そして宗教や事件(報道)に関しての考察に、色々考えさせられた。 あと、境界についての話も多くて、身の回りの事を“ぐるりのこと”というのが、なんだか凄くしっくりきた。

Posted byブクログ

2011/09/14

かんがえること、の大切さ必要性が書かれたエッセイ。幼児化された日本は、誰にとって都合がよかったのか?

Posted byブクログ

2011/09/11

2011/8月 梨木さんの世界観の由来がわかるような「ぐるりのこと」に関するあーだこーだ。 自分と自分のいる環境と自分の内側とが実はすべて連動して同一なのに、違う感じ方をしているこの世界を梨木さん的ぐるりのことから綴っている気がする。

Posted byブクログ

2011/08/20

穏やかな語り口。脈絡なく選ばれているようにみえる話題は、たいてい梨木さんが身の回りで見聞きしたことから始まりますが、いつの間にか、民族問題や教育問題、環境問題などへ、話は発展していきます。いくら考えてもなかなか結論の出ない問題。でもそれについて辛抱強く考え続けること、思考の道筋を...

穏やかな語り口。脈絡なく選ばれているようにみえる話題は、たいてい梨木さんが身の回りで見聞きしたことから始まりますが、いつの間にか、民族問題や教育問題、環境問題などへ、話は発展していきます。いくら考えてもなかなか結論の出ない問題。でもそれについて辛抱強く考え続けること、思考の道筋を間違えないことが、答えを出すよりも大切なことなのだと感じました。書き留めたい言葉はたくさんありましたが、一つ引用するとすれば、「・・・手で触り、目で確かめ、皮膚で感じ取ったものを自分の内側に帰納させてゆく、その生活の場での積み重ねを基点に、世界に足を踏み出してゆく、そうでなければ「確からしさ」というものが一体どこから湧いてくるというのか。」。思考の道筋のヒントになるかもしれません。

Posted byブクログ