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ローマ人の物語(14) の商品レビュー

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62件のお客様レビュー

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2009/10/04

カエサルの養子となり、父の意志を継いだオクタヴィアヌスこと、のちの初代ローマ皇帝アウグストゥス。カエサルのような軍才には恵まれなかった彼だが、内政には素晴らしき才能を発揮する。そして、アウグストゥスにはカエサルにはないものがあった。それは「偽善」であった。そんなアウグストゥスが、...

カエサルの養子となり、父の意志を継いだオクタヴィアヌスこと、のちの初代ローマ皇帝アウグストゥス。カエサルのような軍才には恵まれなかった彼だが、内政には素晴らしき才能を発揮する。そして、アウグストゥスにはカエサルにはないものがあった。それは「偽善」であった。そんなアウグストゥスが、深謀遠慮をめぐらし、長い長い月日をかけて、ローマを帝政へと導いていく、、、。 -------------------------------------------------------------------------------- 前作が「カエサル・LOVE」のオンパレードであったのに対して、オクタヴィアヌスが主役になるといつもの作者の冷静な分析が戻ってきました(いえ、カエサルの分析が冷静でないとはいいませんが)。しかし、私はカエサルよりもむしろオクタヴィアヌスの方がむしろ「すごいやつ!!」と感じました。 なぜって、カエサルは確かに素晴らしい発想を持ち、既存のものにとらわれず、素晴らしき軍才を持って、明るい性格で人々を魅了しながら、成功を収めていました。しかし、彼は結局ローマの人々の心の中を見通せなかったということだと思うのです。帝政に対する元老院の抵抗があそこまで激しいものだと、激情にかられての暗殺という暴挙にも及ぶほどのものだということを見抜けなかった。それに対する防衛策を怠った、ということですよね。それに対してオクタヴィアヌスは慎重すぎるほどの遠回りをして、時間をかけて、時には偽善的な虚構を弄してまで、帝政の確立に努めた。その忍耐と意志の強さは感嘆に値します。 自らの血族が帝位を継ぐことに執着したことに対する作者の評価は厳しいものですが、私はオクタヴィアヌスが「自分の地を残す」ためにそうしたのではなく、「帝政の存続には血族による帝位継承が最も現実的」という合理的考え方から来ているのでは?と思いました。だって、実力主義の帝政など、古今東西続いた試しがあったでしょうか?結局は内乱になって終わりです。そのことを、彼は理解していたのではないでしょうか?たとえ、少々愚劣な皇帝が1,2代あったとしても、帝政の存続には血の相続の方が適しているということを。こういうことに思いを馳せる引き金を読みながらいくつもひいてくれる、そういうところが作者の筆の妙だと思います。

Posted byブクログ

2009/10/04

2004/12/24読了。 「それ以後の私は、権威では他の人々の上にあったが、権力では、誰であれわたしの同僚であった者を越えることはなかった」―アウグストュス

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