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日本のもの造り哲学 の商品レビュー

4.3

24件のお客様レビュー

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2023/04/24

地に足がついた感のある戦略論で基本的に共感がもてる本です。なにより藤本氏自身の言葉で語られているのがいい。アーキテクチャーによる分類、裏の競争力、表の競争力、組織力といったフレームワークは製造業だけでなくすべての企業にあてはめることができるでしょう。私はサービス業勤務ですが、うち...

地に足がついた感のある戦略論で基本的に共感がもてる本です。なにより藤本氏自身の言葉で語られているのがいい。アーキテクチャーによる分類、裏の競争力、表の競争力、組織力といったフレームワークは製造業だけでなくすべての企業にあてはめることができるでしょう。私はサービス業勤務ですが、うちの会社はどこが強いかな?とこのフレームワークを応用して考えてみました。 1冊読めば「モジュラー」「インテグラル」などの用語はもう体の一部として染みこむでしょう。私は、この分類自体は大した発見ではないと思うけれど、製品アーキテクチャーと組織力の相性や裏の競争力と表の競争力とのつながりを強調している点が、特に重要だと感じました。組織力についてはまだ体系化されていないようなので今後はそこの研究をしていただけるとより洗練されたモデルになる気がしました。

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2021/08/08

藤本隆宏氏を読み漁ることにした。本書は2004年の書。 「一般に、もの造りの現場で人々が何か新しい製品や工程を設計するとき、どのようなものの考え方で設計するかは、製品によって違いがあります。そうした製品・工程の基本的な『設計思想』のことを『アーキテクチャ』という。」として、「アー...

藤本隆宏氏を読み漁ることにした。本書は2004年の書。 「一般に、もの造りの現場で人々が何か新しい製品や工程を設計するとき、どのようなものの考え方で設計するかは、製品によって違いがあります。そうした製品・工程の基本的な『設計思想』のことを『アーキテクチャ』という。」として、「アーキテクチャに基づく戦略論」を展開している。 楠木先生は、競争優位には、SP(Strategic Positioning)とOC(Organizational Capability)という2つの方法があると整理しているが、本書では、日本のもの造りに陰りが見えているという一般的な捉え方は不適切であり(=表の収益力は、その時の戦略や競争環境に左右される)、日本のもの造りのOCにおける優位性は健在だし、失ってはならないものだと説いている。 本書にたびたび「擦り合わせ」という言葉が登場するが、この言葉いかにも日本人らしく、日本人が得意な分野だと思う。それは、もの造りの現場に限らないことだろう。

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2017/01/24
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※このレビューにはネタバレを含みます

2004年刊行。著者は東京大学大学院経済学研究科教授兼ものづくり経営研究センター長。◆本社からでなく「ものづくりの現場からの経営学」を標榜してきた著者が、元気のない日本の製造業の実情を説き起こし、単純な分析の誤謬を修正しつつ、実際の問題点も論じる。キーは、摺り合わせ型(例セダン型自動車)とモジュラー型(例 デスクトップ型パソコン)の分別と、これを鉄鋼・化学等の産業分野でなく、製品の製造工程の内実、製品の利用目的・箇所毎に分析すべきとする点。◇また、米、欧、中、韓、東南アジア毎の特徴も解説。 ◇「疑似オープン・アーキテクチャー」(汎用部品やシステムを強引に結合)するタイプの中国(新幹線が判り易いか)。部品やその統合に関する技術進歩が望みにくい問題点の外、一部では部品等の質の向上が図られている点、カップラーメンの新商品開発の如き大量の種類の市場投入⇒販売不振商品の早期撤退⇒売れ筋の爆発的な大量生産という特徴を切って見せ、なかなか面白い。◇日本の製造業に関し、自社・顧客・競合他社・市場等を分析した製品の位置取りが下手な点が、利益向上を阻害するというのも、ほほっと思わされる。 勿論、日産とルノーの提携シナジー(利用技術面と工業デザイン)の真の意義、トヨタの凄さ(改善回数が1日3回位)、他社の基幹部品の製造で光る企業、日本企業ながら大量低価格生産で世界トップシェアを誇る企業等、単純分析が如何に浅薄かを教えてくれる。◆個人的に製造業と関わることはないが、有益な示唆を受けた書。◆また、多能工労働者を二種に分け、長期的な現場教育・経験が不可欠の場面(つまり正社員化の必要が大)も指摘。◆PS.3Dプリンターの技術革新がもたらす意味は、04年刊行のためか、触れられない。

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2015/10/07

メーカーの経営を 経営側と生産側という切り口で説明。 自動車業界においていかにトヨタが 優れているかを解説。

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2015/02/19

日本企業のもの造りの論理。日本ならではの競争優位を築くための指南書。10年前の本であっても、とても勉強になる。

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2013/12/16

インテグラル(擦り合わせ)型とモジュール(組み合わせ)型。クローズ型とオープン型。もの造りのあり方を考える際に便利な指標を得られた。 情報技術の分野だと、ホスト型と分散型の議論が近いのだろう。そのせいか、個人的にはオープン・モジュール型に親近感を覚えます。

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2012/11/09
  • ネタバレ

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日本の産業を既存の産業分類ではなく、アーキテクチャ(製品の設計思想)によって分類し、アーキテクチャに基づいた戦略について提言している一冊。 特に印象深かった箇所の要約 日本のもの造り産業は戦後以降、統合型もの造りの組織能力を鍛錬してきた。すなわち、すり合わせ製品において強みとなる組織能力を構築してきた。他方、アメリカはモジュラー型製品に強みを持つ。ここで興味深かったことは、アメリカは建国二百年以来、野心、やる気、能力のある人材を世界から移民として取り込み、中のルールを押し付け、そのルールで競争させ、選別し、ルール内で能力のある者は即戦力として使い、世界一の国力を持つようになった。ここでは成功しなければ差別という暗黒の歴史もあったが、表の歴史ではルール、競争、即戦力という原動力があり、そうした社会の成り立ちはモジュラー型と相性がよかった。これはあくまで筆者の仮説であり、はっきりとした裏付けができてはいないものだが、もの造りという観点で、過去の歴史からその国の特徴、国民性を紐解いているのがおもしろかった。実際歴史が生み出した国民性などはアーキテクチャに関係すると思う。(感覚的に感じるだけ) 日本の統合型もの造りの組織能力の例としては特にトヨタが取り上げられ、大きな特徴として統合能力(日々の作業をハイレベルでルーチン化)、改善能力(同じサイクルに陥らず改善できるか)、進化能力(一旦獲得した組織能力は横展開、フォローアップ)が挙げられる。トヨタから学ぶ際、製品の違い、産業の違いを把握したうえで、深く学べと筆者は述べている。この産業、製品の違いという点をどのように消化して深く学ぶとこがまだはっきり理解できず、イメージしにくい。 日本の強みを活かして、ブランド構築を行うには(ブランド構築は日本は苦手=弱い本社)R&Dにおいて先行開発に着目する必要がある。R(基礎的な研究開発、技術開発)の生み出す要素技術のベクトルとD(開発)の新製品のベクトルをそろえる。そのために、①技術のまとめ役に徹する②新製品が顧客にとってブランドにつながる力を評価(製品のテクニカルな性能アップにとらわれない)①②=企業内連携!?③部品、素材のサプライヤーの技術を使用する際、サプライヤーの技術を吸い上げる窓口の設置③=企業間連携!?が必要。 日本の今後に戦略についてだが、日本はすり合わせというポジションに強みがあり、他の国がどのポジションに強みがあるかを理解する。その特徴を活かし海外進出を行うべき。日本は継続的に組織能力を鍛え、すり合わせでまずは勝負するべき。しかし、すり合わせ過剰という現実がある。そんな中で、モジュラー化の努力も必要で、特に簡単にモジュラー化できない製品に関してモジュラー化を進めるべきという柴田氏と同じような提言をしていた。他にもすり合わせ一辺倒ではなく、上手くモジュラーを取り入れる。(外モジュラー内インテグラルとか)また、モジュラー化の進んだ中で技術革新がある部品に起これば、周囲の部品も適応しなければならなく、すり合わせに戻りやすい。←柴田氏の技術革新のサイクルに似ている 日本はすり合わせが相性のよいもので、強みとなっていて、そんな中ですり合わせをしとけば売れる時代は終わった。そこで、アーキテクチャの特徴を利用し、モジュラー化を一方で進めることも必要。すり合わせとモジュラーを上手く使い分けるってとこのイメージができたような、できんようなはっきりしない感じやな。 ただ、今まである産業を売り上げとか数字でしか見ていなかった自分の視点にアーキテクチャという視点を加えれば、単に赤字やから悲観論を出すという単純な今までの自分の発想を変えることができるようになった一冊やった。表は赤字でも高いレベルのものづくり企業なら嘆く一方希望もあるだろう。だた、強い工場を持ってるかをどうやって判断するかは難しそう、、、、、

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2012/08/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ものを造る個人の哲学が書いてあるのかと思ったらそうではない。 トヨタ方式とかものを造る会社の経営戦略のやりかたや考え方が書かれているところなのか。 あまり興味が無い内容だったので流し読み、結論として「擦り合わせビジネスが多くて利益に繋がらない」という内容だったらしいが、擦り合わせという概念がいまいち理解が追いつかなかった。ちゃんと読めば解るのだろうが。

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2012/08/15

とても参考になりました。 自分の会社が製造業ならば、モジュラー型/インテグラル型どっちなんだろう?って考えたり。 相手の企業がどっちなのかで、売る側の戦略も変わってくるだろうし。 普通の産業組織論とはちょっと違った視点で、いろいろ考えられるのはいいことだと思う。

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2012/07/11

日本製造業の特徴を紐解き、今後取るべき、進むべき道を示す本。 全編、「アーキテクチャ」をキーワードに論じられているが、 実に色々な示唆の得られた内容だった。 製造業関係者には是非とも読んでいただきたい。 中でも、アーキテクチャ・ポートフォリオという考え方は納得感が高く、 プロダ...

日本製造業の特徴を紐解き、今後取るべき、進むべき道を示す本。 全編、「アーキテクチャ」をキーワードに論じられているが、 実に色々な示唆の得られた内容だった。 製造業関係者には是非とも読んでいただきたい。 中でも、アーキテクチャ・ポートフォリオという考え方は納得感が高く、 プロダクト・ポートフォリオにも、海外進出にも活かせる懐の深さは、 あらゆる面で応用が利き、視点のひとつとして習得したい内容。 また、改めてブランドの果たす役割も認識できた。 日本企業の「良いモノを分かってもらう工夫の不足」の打開策としても、 有用であると感じる。 一方で、日本製造業に偏在しているとされる「統合型の組織能力」。 もの作りの源泉とされ、所与のものとして本書内でも使われいるが、 この能力を持っていない企業の場合は、どうすれば習得できるのか? この点が言及されていなかったのはやや残念。

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