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リアルワールド の商品レビュー

3.3

71件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    21

  3. 3つ

    34

  4. 2つ

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2021/03/14

読後に暗い気持ちを持たせたらNo1の桐野夏生(個人的見解)。〜賞受賞作とかではない。 高校3年生の夏を迎えた女子高生山中十四子。通称トシ。ある日、隣の家で母親殺害が行われた。 実行したのはその家の息子で、通称ミミズ。 トシは母親殺害直後のミミズを偶然出遭わすのだが、なぜかそれを...

読後に暗い気持ちを持たせたらNo1の桐野夏生(個人的見解)。〜賞受賞作とかではない。 高校3年生の夏を迎えた女子高生山中十四子。通称トシ。ある日、隣の家で母親殺害が行われた。 実行したのはその家の息子で、通称ミミズ。 トシは母親殺害直後のミミズを偶然出遭わすのだが、なぜかそれを警察に告げれない。 ミミズはトシの自転車とその籠に入れておいた携帯電話を駅で見つけ、それらを持って逃亡していた。 そして何故かミミズはトシの友人3人(ユウザン・キラリン・テラウチ)にトシの携帯を使って電話をかけ、 それぞれと会話を交わしていたのであった。 その後、ユウザンは自転車と新たな携帯を渡し、キラリンは好奇心からミミズと行動を共にする。 テラウチはミミズから犯行声明文の執筆を頼まれる。 こうしてそれぞれの考えを持ちながら、4人はミミズの逃亡に関わってしまうのだが。。。 題名『リアルワールド』であるが、果たして本書に描かれているのが女子高生の“リアル”なのかどうか、判断しかねる。 しかし表面上仲の良い4人組がそれぞれ他の3人に対して色々な思いを持っていたり、 それぞれのプライベートな問題を抱えていたりするのはリアルといっても差し支えない。 それまでは何となく仲良く過ごしていた仲間達が、ミミズという外部の異端者を介することで 本質を顕わにしていく様は、桐野夏生ならではの「内面ドロドロ」感たっぷりである。 物語は後半に進むにつれ、どんどんと「取り返しの付かない」状況になっていく。 最初は本当にちょっとした好奇心でミミズの犯罪に軽く加担しただけだったのかもしれない。 しかし、それは最悪の結末へと進んでいく第一歩だったのである。 ラスト近くのテラウチの独白は圧倒的な迫力で読み手に語りかける。 こんな終わり方でいいのか。小説としてではなく、登場人物たちの人生として。 重くて後味の悪い話ではあるが、登場人物が主に高校生という事と その人物達が概ね表面を取り繕っているところもあり、会話だけを読めば軽い。 だが、その裏に潜む「ドロドロとした何か」を感じてしまうと、やっぱり重い。 桐野夏生に抵抗がなければ読んでみて欲しい1冊。3.5点。

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2019/03/18

隣の家の母親殺しの高校生殺人犯を噓みたいにあっさりと受け入れる女子高生とその仲間達。現実感がないけど、逆に一周回ってこんな感じがリアルなのかも。 そもそもリアルな生って一体何なのか?

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2016/11/09

くらくらした。 この怒りと悲しみは高校生特有なのかもしれない。わたしはこのタイプではなかったけど、大学生になってからそんな感じだった人たちの思い出話をぽつりぽつりと聞かされたから、こういう感じだったのかなって。 物語はリアルじゃないけど気持ち悪いエネルギーはリアルっぽいんだ。テラ...

くらくらした。 この怒りと悲しみは高校生特有なのかもしれない。わたしはこのタイプではなかったけど、大学生になってからそんな感じだった人たちの思い出話をぽつりぽつりと聞かされたから、こういう感じだったのかなって。 物語はリアルじゃないけど気持ち悪いエネルギーはリアルっぽいんだ。テラウチが学んだばかりの熟語を使いまくったり、ミミズがほんとうにダサい男だったり、キラリンが男レベルを判定してそれに元カレのあの感じとか。 テラウチが著者に1番近い気がするな。文学好きの女の子の共通点をたっぷり備えているから。 人が死ぬと自分のせいだと思う現象は名前あるんでしょうかね。

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2015/12/06

リアルから程遠いリアルと思ってしまったのは、読んだのが年取ってからなのか。 高校時代とかに読んでいたら、少しは理解でき…ないような…。 ひとりの少年の犯罪を通じて、少女たちの本質が晒されていく。にしても代償はでかいなぁ。

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2015/11/04

隣家で起きた男子高校生による母親殺し。 隣に住む女子高生が、小さなキッカケで巻き込まれ、そのキッカケから女子高生の友人3人も巻き込まれていく。 コギャルとか一昔前の設定の話だけど、違和感なく読めた。若い世代の友人関係は今も、そのまた昔も大差がなさそう。 広い視点で見ると人間の成...

隣家で起きた男子高校生による母親殺し。 隣に住む女子高生が、小さなキッカケで巻き込まれ、そのキッカケから女子高生の友人3人も巻き込まれていく。 コギャルとか一昔前の設定の話だけど、違和感なく読めた。若い世代の友人関係は今も、そのまた昔も大差がなさそう。 広い視点で見ると人間の成長過程とはそういうものかと納得しそうになるが、どちらも平和な場所を生きている証左なのかもしれない。

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2015/07/31

ドロドロしてるわけでもないが、若気の至りとはこんな感じなのか。。。 4人の女子高生もミミズも単略的すぎる。。。

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2015/04/02

母親を殺した男子高校生と4人の女子高生たちの話。 普段は仲良くしているはずの女子高生たち。 でも、緊急事態になるとそれぞれの個性がぐっと出てきてなかなか面白い。 最後が慌ただしく終わってしまっているので、もう少し書き込んで欲しかった。

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2014/04/08

ひさしぶりの桐野さん。高校生の話なんでおもしろいかなぁと思ってたけど、読んだら彼らの心の闇がリアルに描かれてよかったかな。

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2013/06/03

□内容 山中十四子、通称トシ。クールなテラウチと、エキセントリックなユウザン、育ちのよいキラリンという3人の友人とともに、残り少なくなった高校生活を送っている。夏休みのある日、隣家の同い年の少年が母親を撲殺した。彼がトシの携帯電話と自転車を盗んで逃亡したことから、4人の女子高生は...

□内容 山中十四子、通称トシ。クールなテラウチと、エキセントリックなユウザン、育ちのよいキラリンという3人の友人とともに、残り少なくなった高校生活を送っている。夏休みのある日、隣家の同い年の少年が母親を撲殺した。彼がトシの携帯電話と自転車を盗んで逃亡したことから、4人の女子高生は事件に巻き込まれてしまう。警察や大人たちに真実を話せず、個々に抱える悩みを逃亡少年に照らす彼女たち。「ヒトから見られる自分」と「本当の自分」のはざまで揺れ動く思春期の心が、章ごとに語り部を変えるスタイルでつづられている。 (amazonより) □感想 最近、小学校高学年や中学生向けに『はじめての文学』という単行本が発行されていることを知りました。名だたる作家達の中に、桐野夏生が。「おいおい、ちょっと待てよ」と。 女の情念やしたたかさ、エグさを書くことに定評のある作家ですが、個人的には「物事の過程」を丁寧に描写する作家だと思います。それ故に、登場人物の狂いぶりとかが際立っていくんだろうな。 『はじめての文学』には序章の「ホリニンナ」が収録されている。それ以降は子どもに見せることが憚られるような内容です。初めて読んだのは高校生の頃。登場人物一人ひとりに、何かしらの共感を得ながら読み進めていった記憶があります。次に読んだのは大学生の中頃くらい。達観しているような印象のあったテラウチが、また違った印象で捉えられたことを覚えています。今読むと、なぜ彼や彼女はこんな行動をしたのか、と考えてみたくなる。 できれば『東京島』ではなくこちらを映画化して欲しかった。まあ、好きな作品が映画になるとそれはそれでがっかりしたりもしますが。 (たけい)

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2013/03/07

隣の家の「ミミズ」が母親を殺して、主人公の自転車と携帯を盗んで逃走した。 現実世界のほつれに直面して、恐怖よりも戸惑いに近い、どこか浮足立った感情が主人公や主人公の友達に広がる。 ホリニンナ、キラリン、テラウチ、ミミズ、それぞれの視点からほつれた現実世界が描かれている。 ひとつ...

隣の家の「ミミズ」が母親を殺して、主人公の自転車と携帯を盗んで逃走した。 現実世界のほつれに直面して、恐怖よりも戸惑いに近い、どこか浮足立った感情が主人公や主人公の友達に広がる。 ホリニンナ、キラリン、テラウチ、ミミズ、それぞれの視点からほつれた現実世界が描かれている。 ひとつの事件を巡って様々な角度から描く作品はよくあるけど、この作品は視点が変わると本当に違う世界が見えてくる。 母親を殺して逃げたミミズ視点からの描写が圧巻だったんだけど、個人的な事情もあり、テラウチの世界が読んでいてつらかった。「取り返しのつかなさ」がそういう部分にあるのならば、私の人生は取り返しのつかないことだらけだ。

Posted byブクログ