銀の匙 の商品レビュー
自然の表現が分からない事も多いのに、どこか大事なこと、懐かしいこと、忘れたくない事が詰まってるようて、会津や白河のおばあちゃん家を思い出す本だった。2022年読了。
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やっとこさ読む事が出来た。 某進学校では3年間でこの本一冊を読む授業があったとか。 とにかく日本語の表現が独特。 嫌みのない表現と言えばいいのだろうか。 物語自体はどこか物悲しさを感じさせるラストではあるが、育ての親である叔母の優しさを事細かに、思い出すように描いている。...
やっとこさ読む事が出来た。 某進学校では3年間でこの本一冊を読む授業があったとか。 とにかく日本語の表現が独特。 嫌みのない表現と言えばいいのだろうか。 物語自体はどこか物悲しさを感じさせるラストではあるが、育ての親である叔母の優しさを事細かに、思い出すように描いている。
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大人になっても捨てられない銀の匙 虚弱な赤ん坊だった彼は それを用いて漢方薬を飲まされていた 母から聞いたその頃のエピソードをとっかかりに 幸福な少年時代が回想される 虚弱だったもんで伯母さんに甘やかされており 乱暴な男の子たちのことは憎んでいた それで、よその遊び相手といえば専...
大人になっても捨てられない銀の匙 虚弱な赤ん坊だった彼は それを用いて漢方薬を飲まされていた 母から聞いたその頃のエピソードをとっかかりに 幸福な少年時代が回想される 虚弱だったもんで伯母さんに甘やかされており 乱暴な男の子たちのことは憎んでいた それで、よその遊び相手といえば専ら女の子であった しかし成長するにつれ 虚弱なままでは女の子にも相手されないということに気づく それでだんだん活発な子供へと自分を変えていった 他の男の子と喧嘩もできるようになった ところが時は流れて奇妙なことに いつしか女性とまともに喋ることもできない若者となっていた そんな皮肉でこの話は終わる
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前篇が1911(明治44)年、後篇が1913(大正2)年の作。 当時夏目漱石がいたく賞賛した作品とのこと。確かに子どもの心、子どもの世界をよくとらえており、自分とは全く違う環境・違う経験のプロセスにいるのに、読んでいるとどこか懐かしい感じに囚われるのは、やはり「子ども」の普遍...
前篇が1911(明治44)年、後篇が1913(大正2)年の作。 当時夏目漱石がいたく賞賛した作品とのこと。確かに子どもの心、子どもの世界をよくとらえており、自分とは全く違う環境・違う経験のプロセスにいるのに、読んでいるとどこか懐かしい感じに囚われるのは、やはり「子ども」の普遍を掴んでいるからだろう。大人から見れば「ほほえましい」のかもしれないが、子どもは子どもで真剣に悩んだりしているものである。しかしその頃世界はまだ自分とつながっていて、全体はふんわりと包まれているような優しさだ。そんな幼年時代の、守られている幸福。 後篇でかつて長いこと可愛がってくれた叔母さんが亡くなるところが、悲しい。 文体はとても滋味があって良い。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
以前、北村薫さんの「詩歌の待ち伏せ1」を読みかけていた頃のこと、たまたま新聞の読書欄で、偶然にもその北村さんが私を待ち伏せしていた。 コラムのようなショートエッセイのような記事だったのだが、内容はこうである。 中勘助の「銀の匙」の大正十年の岩波書店版に、「夏目漱石と私」という文章が付されているそうだ。 教師時代の夏目漱石のエピソードを、漱石の教え子であった中勘助が書き留めたものだ。 「時の流れの中に確かにあった一瞬」だけれども、「中勘助という人がいなければ、確実に消え去っていた」一瞬でもあり、そうして「伝える者」がそこにいたからこそ生まれた、ということの素晴らしさや大切さを北村さんは書いておられた。 前置きが長くなったが、そんなわけで北村さんが私を待ち伏せして、ハイと手渡してくれたような気のするこの本を、再読することにしたのだった。 『銀の匙』 中勘助 (岩波文庫) 書棚の奥深くにひっそりと眠っていたこの本は、1990年の91刷版で、もうすでに古書扱いになっている。 こんなことでもない限り、たぶん私の人生の中ではもう二度と開くことはなかったであろう本だから、縁というのは不思議なものだなぁと思う。 この作品は、作者27歳のとき、大正元年から二年にかけて書かれたものだ。 ある日、茶箪笥のひきだしで「私」が見つけた小さな一本の銀製の匙。 それは病気がちだった幼い頃の自分が、薬を飲むために使っていた思い出の品であった。 これは、主人公の「私」が生まれた時から幼年時代、少年時代、青年時代へと続く思い出を綴った、中勘助の自伝的小説なのである。 難産で生まれ、虚弱で神経過敏だった幼少期の「私」を、親代わりとなって育ててくれた伯母さんの深い愛情。 伯母さんの背中に負ぶさって、お稲荷さんや大日様やお祭りやらに出かけたことや、お気に入りの玩具のこと、学校のことや友達のこと、いろいろな遊びのこと。 特に何の事件が起こるでもなく、まるで日記帳を1ページずつめくるように、ゆったりと丁寧に描かれる一人の子供の生命のきらめきが素晴らしい。 でも、彼はまあいわゆる良い子ではないんですよ。 家人にはわがままを言うし、我を通すし。 冷めた目で大人を見、長じては学校をさぼったり先生に口ごたえをしたりする。 しかし彼は、海の波の寄せる音に胸が迫って涙をこぼしたり、女性に淡い恋心を抱いたまま何も言えずに終わったりするナイーブで感受性の強い少年なのだ。 大人の目から見て良くできた子ではなく、当たり前の子供の成長が当たり前に描かれているところが、この時代の話にしては今っぽいというか、新しい感じがする。 年老いた伯母さんとの再会の場面や、その後まもなく伯母さんが亡くなったという事実も描かれるのだが、特別ドラマチックな脚色がされるでもなく、淡々とした語り口のまま最後まで同じトーンで書かれているのがすごい。 色がついていないからこその普遍性が静かな感動を呼び、この小説の魅力になっている。 またこれは、古い日本語の美しさを楽しめる小説でもある。 「倶梨迦羅紋紋(くりからもんもん)」「お賓頭蘆様(おびんずるさま)」なんて何とも味があっていいし、「でこでこ」(たぶんでこぼこした感じを表している)や、「ぽくぽくちりちり」という女の子のぽっくりの足音など、オノマトペが独特だ。 茶の木に咲く花のことを 「なんの奇もないながらかすかなさびのある茶の花は稚いおりの思い出にふさわしい花である。」 と書く。 なんかいいなぁ。 作者はもともと詩人だったので、文章が詩的で流れるように美しい。 短いセンテンスの中に映像が鮮やかに浮かぶ。 どことなくブラッドベリの文章に似ているなと思った。 昭和10年に書かれた和辻哲郎氏の解説によると、この作品の価値を最初に認めたのは夏目漱石だったそうだ。 漱石はこの作品の独創性(先人の影響を全く受けていない)を、高く評価した。 作者が亡くなったのは私が生まれた年だ。 もっと大昔の人かと思っていたので、意外に近い時代にいたことに驚いた。 文壇と距離を置き、特定の派閥にとらわれない孤高の文人中勘助。 地味だけれども味のある作家である。
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中勘助が、自身の幼少時代を振り返り、様々な出来事とその時々の心情を描いている。 解説を見るに、この作品が「大人の見た子供の世界」ではなく「子供の体験した子供の世界」として描かれていることに良さがあるとの記載があったが、私にはそこまでの良さは理解できなかった。 こういった話に少なか...
中勘助が、自身の幼少時代を振り返り、様々な出来事とその時々の心情を描いている。 解説を見るに、この作品が「大人の見た子供の世界」ではなく「子供の体験した子供の世界」として描かれていることに良さがあるとの記載があったが、私にはそこまでの良さは理解できなかった。 こういった話に少なからずでもオチを求めてしまうのは無粋なのかもしれないが、私にはあまり合わない作品であった。
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主人公と叔母の話 国語の教科書にのってそうな、綺麗な表現ってかんじ。ひらがなっていいなってなる。 内容はあんまり面白くなかったかなぁ、。 恋実らずずっと泣いてたしな
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導入で引き出しの中の銀の匙、というアイテムから子供時代の回想に入っていって、あとはもうひたすらに、子供時代が描かれていく。 描かれている時代に懷かしさを感じる、というわけではないのだけれど、 あぁ、こんな事に喜んでいたな、とか、ああ、こんな感じだったかもしれないな、と、自分の子供...
導入で引き出しの中の銀の匙、というアイテムから子供時代の回想に入っていって、あとはもうひたすらに、子供時代が描かれていく。 描かれている時代に懷かしさを感じる、というわけではないのだけれど、 あぁ、こんな事に喜んでいたな、とか、ああ、こんな感じだったかもしれないな、と、自分の子供の時分にも思いを馳せる。 この鮮やかさはどこにいってしまったんだろうか。ノスタルジー。開けば出会える子供時代。
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著者の子供時代を描いた自伝的小説。書き口が可愛らしくて、思わず微笑んでしまう。「こう書けば可愛くなるんだろう」といった大人の打算は全く感じられず、子供の純粋な心がそのまま語られている。 巻末の解説に「描かれているのはなるほど子供の世界に過ぎないが、しかしその表現しているのは深い人...
著者の子供時代を描いた自伝的小説。書き口が可愛らしくて、思わず微笑んでしまう。「こう書けば可愛くなるんだろう」といった大人の打算は全く感じられず、子供の純粋な心がそのまま語られている。 巻末の解説に「描かれているのはなるほど子供の世界に過ぎないが、しかしその表現しているのは深い人生の神秘だと言わざるを得ない」とあるが、本当にその通りである。この作品はいくつものエピソードを通して、我々が子供の頃に確かに持っていた心を思い出させる。大人になった今、その心を認識し大切にすることで、人生は豊かになることと思う。
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伯母と私の物語。前編は伯母の主人公への優しさが溢れる。病気がちだったこともあり、自分の中に閉じこもりがちだった私を、上手く子供社会になじめるようにしたり、ぐずる主人公をあやす伯母の優しさがギュッと迫る。 後編は、伯母の元から離れて、別の人達と関わりをもつけれど伯母の影響がある も...
伯母と私の物語。前編は伯母の主人公への優しさが溢れる。病気がちだったこともあり、自分の中に閉じこもりがちだった私を、上手く子供社会になじめるようにしたり、ぐずる主人公をあやす伯母の優しさがギュッと迫る。 後編は、伯母の元から離れて、別の人達と関わりをもつけれど伯母の影響がある もう一度読みたいです
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