銀の匙 の商品レビュー
もう書いてしまうのは何故かというと・・・ 昨日ひょんなことから10年ぶり位に本書を開いたのでした・・・案の定、もったいなくて、直ぐに読むのを止めてしまった。宝物すぎて、老後の楽しみを潰したくないという、訳の分からない不安と混乱・・・でも近いうちにやはり読んでしまう予感あります。 ...
もう書いてしまうのは何故かというと・・・ 昨日ひょんなことから10年ぶり位に本書を開いたのでした・・・案の定、もったいなくて、直ぐに読むのを止めてしまった。宝物すぎて、老後の楽しみを潰したくないという、訳の分からない不安と混乱・・・でも近いうちにやはり読んでしまう予感あります。 というわけで、「不朽の名作」であり「奇蹟の書」なのである。いまだこれ以上の書物には出会っていません。日本人に生まれてよかった。
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いい!久しぶりに文章に酔った! そんな風で私が何を食べてもうまがらないのを伯母さんは独特の弁舌で上手に味をつけてたべさせる。 平仮名の「を」の字はどこか女の座った形に似ている。 「先生が怖くないか」「いいえ、ちっとも」「なぜ怖くない」「先生だってやっぱり人間だと思うから」 ...
いい!久しぶりに文章に酔った! そんな風で私が何を食べてもうまがらないのを伯母さんは独特の弁舌で上手に味をつけてたべさせる。 平仮名の「を」の字はどこか女の座った形に似ている。 「先生が怖くないか」「いいえ、ちっとも」「なぜ怖くない」「先生だってやっぱり人間だと思うから」 人びとは多くのことを見馴れるにつけただそれが見馴れたことであるというばかりにそのままに見過ごしてしまうのであるけれども、思えば年ごとの春に萌えだす木の芽は年ごとにあらたに我らを驚かすべきであったであろう。 そのまろまろした声
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共感できる心情と,なつかしい情景…100年以上も前の物語であるにもかかわらず,自分の少年時代と重ねられる。
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灘中をすべりどめから進学校に変えた先生が授業で使用したという銀の匙。難しそうですがいつか挑戦してみたいです。
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背中に負われた幼年期。細やかで、影がなく全てに等しくピントが合っていて、不思議な感じ。主観だけを客観的に描写。恬淡。 見返したら、100年前の小説でたった今びっくりした。目に映るのも全てが均しくて、ストーリーに起伏がなく、読むのにえらい時間掛かりました。
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日本語が美しく、綴られた言葉から風景、色、音がありありと浮かぶ。 自分の語彙の無さ故にこの感動をうまく言い表せないのが恨めしい。
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夏目漱石が未曾有の秀作と絶賛した、中勘助の散文処女作。詩人としての感性と子供の視点で幼年期の原風景をみずみずしく描き、特にふわりとした形容詞の使い方が個性的です。懐かしさと新鮮さに溢れた一冊。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
以前から気になっていた中 勘助の「銀の匙」を読了。 大人が書いたとは思えないほど、子供の心理描写が秀逸。「確かに幼い頃にこんな気持ちをよく抱いたが、なぜ大の大人がさも子供がするかのように、これほどうまく子供の心理を描写できるのだろう」と、度々唸らされた。 大人には大人の、子供には子供の世界があるが、今大人から見て「子供はなぜそんなことをするの」と感じる子供の行動が、子供であった時分にはなんの違和感もなく自然に振舞っていた行動であることを思い出させられた。 感性や価値観が比較的に少数派な部類に属することは自他共に認めているが(笑)、敏感でどこか難しいところのある、物事を少し斜めに見るようなところのある人にとっては、自らの成長を主人公に重ね合わせながら楽しく読める小説。
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1915年(大正4年)。 懐かしい思い出を閉じ込めた宝箱のような本。少し切なく、限りなく優しい。他愛のないエピソードが、たおやかな美しい日本語で綴られている。
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二十年以上を経て再読. 前回読んだのは学生時代だった.ウェブ検索によれば1987年に「私の好きな岩波文庫」というフェアがあって,その中でいちばん多く選ばれたのが「銀の匙」だった.「こころ」などをおさえてこの意外な作品が一位になったので,かなりいろいろなところで取り上げられ話題にな...
二十年以上を経て再読. 前回読んだのは学生時代だった.ウェブ検索によれば1987年に「私の好きな岩波文庫」というフェアがあって,その中でいちばん多く選ばれたのが「銀の匙」だった.「こころ」などをおさえてこの意外な作品が一位になったので,かなりいろいろなところで取り上げられ話題になった記憶がある.私もその話題にのって買ったのだと思う.その当時読んだときも解説の和辻哲郎が書いている通り,大人というフィルターを通した子供の世界ではなくて,「子供の体験した子供時代」が書かれているのに驚いた.そして,自分の中に眠っていた小さな子供のときの感情が揺り動かされたのを良く覚えている.そのころこういうことを話せる友人が身近にいて,ふたりでこの本について話したこともよく覚えている. 今回読んでも,学校に上がる少し前から級長になるくらいまでの,小さな子供の時代の心理描写のリアリティーに驚いた.よくこういう感情を27歳の執筆当時まで,子供時代のそのままにとっておけたものだと思う.本当に不思議だ.
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