銀の匙 の商品レビュー
岩波文庫100周年とのことだし、以前から気になっていたので、購入した 「伯母さんの限りない愛情に包まれて過ごした少年時代の思い出を、中勘助(1885~1965)が自伝風に綴った」作品(文庫カバー見返しより) 夏目漱石が絶賛し、現在の岩波文庫でも広く支持されているのも、わかるよう...
岩波文庫100周年とのことだし、以前から気になっていたので、購入した 「伯母さんの限りない愛情に包まれて過ごした少年時代の思い出を、中勘助(1885~1965)が自伝風に綴った」作品(文庫カバー見返しより) 夏目漱石が絶賛し、現在の岩波文庫でも広く支持されているのも、わかるような気がした まず、記憶力がすごい 作者がこの作品を著したのは27歳の頃のことだというが、現在私も同い年だけれど、ここまではっきりした記憶とみずみずしい感情は、残念ながら私にはない けれど読んでいて、こんな感情は自分にもあったな、と、近代の四季折折の民俗なども、懐かしく感じられる 前篇と後篇にわかれており、次第に伯母さんの描写が減るが、最後にまた顔を見せる それがあっさりしているのが、かえって、作者の実際の感情の揺れをよく表していると思う 巻末の解説も丁寧で、好印象だ
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きらきら輝く情景描写にうっとりする。 引っ込み思案でちょっと偏屈な子供の純粋な視点に共感を覚える。 日々の生活で経験する青春の甘酸っぱさと眩しさを沢山感じることができた。
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角川文庫が手拭い屋とコラボした(http://t.co/QmZXRcLy)素敵なデザインで再販されていたので購入。最初に読んだのは多分10年くらい前な気がする。当時はなんてつまらないと思って嫌々ながら読んだけど、今読み返すと全く違うな。 幼少の頃に感じた自然や家族の愛や漠然とし...
角川文庫が手拭い屋とコラボした(http://t.co/QmZXRcLy)素敵なデザインで再販されていたので購入。最初に読んだのは多分10年くらい前な気がする。当時はなんてつまらないと思って嫌々ながら読んだけど、今読み返すと全く違うな。 幼少の頃に感じた自然や家族の愛や漠然とした不安などの中から、色々な思い出を銀の匙で掬いとって語るその描写に、いち読者の自分も同じ思い出に浸るようだった。自分も幼少の頃は世界がこんな風に見えていたのだろうか。今はもう定かではないが、そんな思いに耽ることができる綺麗な本だった。満足。
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美しく細やかな描写。美しい日本語。 まさに、それらを感じられる作品なのだと思う。 物語に大きなうねりはなく、 ただひたすら、私”が過ごしている日々について描かれていく。 人見知りで弱弱しくて人間が嫌いな”私”であるが、 物語が進むに従い、 様々な人と関わっていくことで 確実に”...
美しく細やかな描写。美しい日本語。 まさに、それらを感じられる作品なのだと思う。 物語に大きなうねりはなく、 ただひたすら、私”が過ごしている日々について描かれていく。 人見知りで弱弱しくて人間が嫌いな”私”であるが、 物語が進むに従い、 様々な人と関わっていくことで 確実に”私”は成長していく。 ”私”を愛し育ててくれた伯母が老いていき、 代わりに”私”がいつの間にか大きくなっていた場面では、 ”私”と一緒に胸が苦しくなった。 誰しもいつかは直面しなければいけない場面だからなのか。 解説を読んで、この小説では擬音語・擬態語に特徴があったことに 気づかされたが、 あいにく今の私には、そこまで深くこの小説を楽しむことがかなわなかった。 いつかまた、今度はより深く文章を楽しみながら読みたいと思う。
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幼い頃の描写が特に良かった。筆者の繊細な感性には適わない。 きらきらした透明な文章に、本当に打たれながら読んだ。 素敵な小説。
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図書館で。古典と言うことなので読んでみました。 作者の目に映る世界の美しいこと。人間世界の生きづらいこと。そんなことが押しつけがましいわけでもなく淡々とと言う訳でもなく繰り広げられています。まるで一幅の絵を見るような随筆だと思いました。
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著者の子供時代の話と思われる。 しかし、現代とも知る限りの昭和時代とも全く異なり、古い習慣や祭や玩具が山ほど登場し、少々難しく分かりにくいところもある。 描き出される場面はどれも美しいが、鋭く凛としたものがある。 それ故、病弱で神経質であった子供の目を通された世界であることが...
著者の子供時代の話と思われる。 しかし、現代とも知る限りの昭和時代とも全く異なり、古い習慣や祭や玩具が山ほど登場し、少々難しく分かりにくいところもある。 描き出される場面はどれも美しいが、鋭く凛としたものがある。 それ故、病弱で神経質であった子供の目を通された世界であることがよく感じられる。 何よりも感動すれば面は、著者が大きくなり、遠くへ行ってしまった乳母を訪ねる章である。 死が迫り、おいた乳母との再会や別れは涙する。 銀の匙とは、病弱な著者が薬を飲まされるスプーンの事で、それが著者の子供時代に結び付いている。
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少年とは誰しも腕白坊主ではありません。病弱で弱虫で、繊細な少年の日記をこっそり盗み見るような、淡々として、でも心温まる作品です。
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幼少時の思い出。伯母との心温まる関係があり、思い出語りというよりも子供の日記でも読んでいるような感覚がある。子供の頃の思い出をふと思い出したくなるような気になる。
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いわゆる良き子供時代を描いた作品。夜店のホオズキ屋や松虫などのキラキラとした子供時代の宝物を鮮やかに描き出し、兄への憧れや先生との諍い、羞恥の感情などが語られるにつれて、自分の小さい時の記憶を思い出してしまうような綺麗な文章のつらなり。
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