銀の匙 の商品レビュー
風景・心理描写、この…
風景・心理描写、この人の文章はとてもキレイだと思います。すんなりと入ってくるのに、何度読み返しても飽きない文章の美しい流れや言葉選びが大好きです。
文庫OFF
大学の頃以来18年ぶ…
大学の頃以来18年ぶりに読みましたが、またまた、小児喘息で体が弱く祖母にかまってもらった自分と主人公を重ね合わせてしまいました。主人公の叔母さんのやさしさが胸にしみます。かつて改めて読みたい小説のNO.1に選ばれた物語です。
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すごく懐かしい気分に…
すごく懐かしい気分にさせる本。風景の描写が美しいです。
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著者の自伝的なお話だそうです。最初の方は少し退屈しましたが、だんだん面白くなってきました。いじめられっ子だったのが少しいい調子になった時には「あるある」と思いました。読んでいくうちに夏目漱石の「坊っちゃん」が好きな人は好きなのかなと思っていたら、巻末の解説で夏目漱石から絶賛された...
著者の自伝的なお話だそうです。最初の方は少し退屈しましたが、だんだん面白くなってきました。いじめられっ子だったのが少しいい調子になった時には「あるある」と思いました。読んでいくうちに夏目漱石の「坊っちゃん」が好きな人は好きなのかなと思っていたら、巻末の解説で夏目漱石から絶賛された、とあり驚きました。
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読んでいる間、幸福な時間でした。 春夏秋冬の一場面を映し出す、芸術的な日本語。 息を飲む表現の数々に酔いしれました。 静かな空間、想像力と集中力を用意して読む本。 小説というより芸術作品、映像、絵画を見る感覚に近い。 唯一無二の日本文学、一番好きな本のひとつ。
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前篇で特におもしろかったのは「お蕙ちゃん」との顛末で、後篇では伯母との再会や、友人の「姉様」との経緯が心惹かれた。
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著者が幼少の頃の思い出が書き綴られている。本書はストーリー性、哀愁、教訓といったものを期待して読むものではなく、美しいものを鑑賞するように読むべきものである。 解説でも書かれているように、本書に描かれているのは著者が幼少の頃の視点の記憶でもなく、大人が想像した少年の視点でもない、...
著者が幼少の頃の思い出が書き綴られている。本書はストーリー性、哀愁、教訓といったものを期待して読むものではなく、美しいものを鑑賞するように読むべきものである。 解説でも書かれているように、本書に描かれているのは著者が幼少の頃の視点の記憶でもなく、大人が想像した少年の視点でもない、少年の視点そのものである。子供がもつ目一杯に開かれた感受性が捉えた花鳥風月の描写が美しい。主人公の繊細な気質が相俟った子供の内面の描写も美しい。
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時代は全然ちがうのに そういう子居たなぁとか、そんなこと考えてたことあるなぁーとか、なんか懐かしい気持ちになった
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
記憶力の化け物か感受性の化け物かその両方っていう本。 27歳の成人がこれだけ細かい描写で子供の心情を語れるというのが凄まじい。 p. 153あはれな人よ。なにかの縁あつて地獄の道づれとなつたこの人を 兄さん と呼ぶやうに、子供の憧憬が空をめぐる冷たい石を お星さん と呼ぶのがそんなに悪いことであつたらうか。
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おびのりさんのレビューで出会うことができました。ありがとうございます!図書館にあったのはこちらの岩波文庫でした。 解説より、前篇は信州野尻湖畔において書かれた作品でその時二十七歳。この作品の価値を最初に認めたのは夏目漱石で、漱石の推薦で新聞掲載されたらしい。後篇は夏叡山で書かれた...
おびのりさんのレビューで出会うことができました。ありがとうございます!図書館にあったのはこちらの岩波文庫でした。 解説より、前篇は信州野尻湖畔において書かれた作品でその時二十七歳。この作品の価値を最初に認めたのは夏目漱石で、漱石の推薦で新聞掲載されたらしい。後篇は夏叡山で書かれたとのこと。(解説和辻哲郎) 古い茶箪笥から見つけた銀の匙が小さい頃の思い出を象徴するように表題となっている。 前篇は、同世代とは馴染めなかった幼少期について、とても気のいいちょっと騙されやすい叔母からの愛情を受けての日常が生き生きと描かれている。駝鳥と人間の相撲という見世物の様子で観客は歓喜の声を上げる中、叔母は気の毒と涙する。叔母の計らいでご近所さんのお子さんと仲良くエピソード、学校に徐々に馴染んで学業にも少しずつ取り組む様子、毎日の家族や学校での健気な様子が眩しく微笑ましい。「ある晩私たちは肱かけ窓のところに並んで百日紅の葉ごしにさす月の光をあびながら歌をうたっていた。」 「ひーらいた ひーらいた、なんのはなひーらいた、れんげのはなひーらいた」 「うーさぎうさぎ、なにょみてはねる、十五夜お月さまみてはーねる。ぴょん、ぴょん、ぴょん」という謡、懐かしい。綾とり、にらめっこなどの遊び今は見かけない。 後篇は、キラキラした学童期から暗雲の兆し。担任の先生が急遽日清戦争に召集されて、「先生は戦争にでるのだから二度とあえないかもしれないが皆は今度の先生のいうところをよくきいて勉強して偉い人にならなければいけない」という言葉に涙をこぼしている。次の担任が「大和魂があります」と話す様子を抵抗して教師からの不信用と級友から軽蔑されてしまう。兄との仲たがい、姉への思慕なども織り交ぜて憂鬱な日々が続く。「晴れた夜など澄みわたる月の面をじっと見つめながら静な静な歌をうたうといつか涙が瞼にたまって月からちかちかと後光がさしはじめる」 成長して後叔母を訪ねる様子も切ない。「ほんによう来とくれた、まあ死ぬまで逢えんかしらんと思っとったに」と拝まないばかりにして叔母は涙をふく。最後の姉とのやり取りでも月が現れる。余韻に浸るため水蜜を味わいたくなった。
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