ゲーテ全集 新装普及版(8) の商品レビュー
『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』の続編。本作では、多面的な人間形成を目指した『修行時代』とはうって変わって、「一面性の時代」、手仕事への専念が説かれる。もちろんヴィルヘルムは遍歴を続けるのだから数多くの出会いが作品の中で描かれるが、作中の「教育州」や最後に説かれる移住計画、...
『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』の続編。本作では、多面的な人間形成を目指した『修行時代』とはうって変わって、「一面性の時代」、手仕事への専念が説かれる。もちろんヴィルヘルムは遍歴を続けるのだから数多くの出会いが作品の中で描かれるが、作中の「教育州」や最後に説かれる移住計画、そこで建設されるべき国家像を通じて、各自が己の分に専念する国家のあり方が提示されることになる。それと同時に、ヴィルヘルムや彼が邂逅した人々が最後マカーリエの周囲に集い、最後に「マカーリエの文庫から」と題された箴言集が置かれる。その他にも作中に頻繁に挿入されるノヴェレにより構成の把握は困難であるが、ゲーテの他の作品にも見られる主題が各所で姿を見せており、非常に興味深い。
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