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文明間の対話 の商品レビュー

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2009/10/04

クウェートで知り合った、ユネスコ・パリに勤務していた著者からいただいた本。 著者がユネスコで企画した「シルクロード・対話の道総合調査」での体験を綴られてある。 海のシルクロードを航海でたどることで、かつて海が文明間の交流に果たした役割を探っていくというプロジェクト。 「文明間の...

クウェートで知り合った、ユネスコ・パリに勤務していた著者からいただいた本。 著者がユネスコで企画した「シルクロード・対話の道総合調査」での体験を綴られてある。 海のシルクロードを航海でたどることで、かつて海が文明間の交流に果たした役割を探っていくというプロジェクト。 「文明間の対話」という言葉を世界で始めに提唱し、広めた服部先生の航海中の様々な経験、 そしてそこで発見した「歴史上の文明間の交流」、それに対する思索はとても深い。 多くの大学で国語入試にも採用されたという本書。 その歴史的考察や、宗教の話は広すぎて、世界史の教科書を読んでいるよう。(私には難しすぎる。。。) でも逆に言うと私が世界史で習ったことは、ここから始まったのかも知れない、 著者が始めたことによって「世界史」で認められるようになったのかもしれない と思うと、すごいものがある。 印象的だったのは 「多様性こそが人類生存の鍵」というユネスコの世界宣言。 文明が他の文明と出会うことは、その文明の発展に貢献するどころか、 その文明が生存するために必要不可欠なことだという。 地理的にはるかに離れた文明でも、よく調べると遺跡から類似の精神が読み取れたり、 そうした文明間の対話は実ははるか昔から活発に行われていて、 それがさらなる文明の発展につながっていた。 「多様性は大事」 とはよく言うけど、それがどれだけ大切か、文明間の対話の歴史をみることでそれがはっきりと見えてくる。 種の生存には生物多様性が不可欠。 人類の生存には文明の多様性が不可欠。それは互恵の精神によって成立する。 なら、私という一人の人間の生存には、自分の中に多様なものを理解する広い心が必要なのかと思う。 そしてその広い心は人生で様々な文化、宗教、価値観に出会うことで養われていくのではないか。

Posted byブクログ