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学校という場で人はどう生きているのか の商品レビュー

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2022/11/29

 浜田寿美男さんが編者に関わっているということで手に入れて読んでみました。  以前読んだときには,レビューを書かなかったので,遅ればせながら再読後の感想を少しだけ書いておきます。  本書が書かれたのは2003年のことですが,ここに書かれている学校現場の現状は,解決するどころか段...

 浜田寿美男さんが編者に関わっているということで手に入れて読んでみました。  以前読んだときには,レビューを書かなかったので,遅ればせながら再読後の感想を少しだけ書いておきます。  本書が書かれたのは2003年のことですが,ここに書かれている学校現場の現状は,解決するどころか段々ひどくなっています。学校に来ることに意義を見いだせない子がどんどん増えているし,学びから逃走する生徒も増えています。教師にとっても働きにくい職場となり,教員採用試験の倍率は下がる一方。さらには,産休補助教員さえも準備できないという現状があります。こんな学校にだれがしたの??  本書の「はじめに」で,浜田寿美男さんは,次のように語ります。 学校というシステムを長く支配してきた管理・統制的なパラダイムを抜け出て,私たちはいま新たに,「共生」ないし「共居」的なパラダイムを求めなければならないところにきているのではないだろうか。こうした発想は,個体の能力を軸に効率を競い,この市場経済社会で生き抜くことを求められる今日の時代には逆行するようにみえるかもしれない。しかしそのまさに同じ理由で,それは時代の最も深い要請であるともいえる。(本書p.7)  浜田寿美男さんの主張もむなしく,この20年,日本の教育界は上述のような状態です。「共居」という素敵な言葉からはほど遠い子ども同士・子どもと先生の姿があります。「一緒にその場を共有している」ということに意味を見いだせない教育界は,子どもにとり生きにくいだけです。  何も言わずに,その場にいてあげる。そんな時間を大切にしたいな。してほしいなと思います。  とりあえず,放課後や休み時間には子どもたちとたわいもない話をしようじゃありませんか。  現場の忙しい先生方に読んで欲しい本です。

Posted byブクログ