恍惚の人 の商品レビュー
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まじでリアルで共感しすぎて辛かった なんか昭子の境地に行けなくて、だったら敏のまま無邪気な悪でいた方が楽だろうなーって考えながら読んでた自分おそろしーってなった
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昭和57年発行とは思えない。41年前。介護保険制度も整い、痴呆から認知症と呼び方も変わった。世間の認知度も変わり、施設に預けている人もいる。ホームヘルパーから介護士、ケアマネジャー資格が登場。 お漏らし、嫁を泥棒よばわりする事も世間に話せるようになり、NHKでは認知症特集まで放送...
昭和57年発行とは思えない。41年前。介護保険制度も整い、痴呆から認知症と呼び方も変わった。世間の認知度も変わり、施設に預けている人もいる。ホームヘルパーから介護士、ケアマネジャー資格が登場。 お漏らし、嫁を泥棒よばわりする事も世間に話せるようになり、NHKでは認知症特集まで放送。本屋に行けば認知症の方が見えてる世界や認知症の漫画までつんであるぐらいポピュラーに。 娘孫の顔を忘れても身体が丈夫というだけで介護1の父。 昨年夏から日課のウォーキングも行かなくなり、今年から一日中寝て過ごす状態。ご飯やおかずはあまりたべなくなる反面パンは布団の中で食べたり、風呂に2時間入ったり、トイレに2時間こもったり、とうとう去年から床屋に一度も行かなかった。着ている物は食べこぼしたしみだらけでくさく、同じ物ばかり着てた。他界1ヶ月前は固形物を食べなくなり、飲むゼリーOS1 お湯 ヤクルト、牛乳。点滴を拒み、布団の上で臨終した。おむつは2回しか使わなかった。がんでも病気でもなく老衰だった。 苦痛の顔は見た事がない。口をあけてぽかーんと逝った。命を使い切ったかのような感じ。 籍を入れただけの結婚と嫁の学歴が気に食わず、無視された出会いに始まり、スーパーで会っても顔を覚えてないせいか知り合いと間違え笑顔。妻に嫁だと耳打ちされると無視。嫌われたもんだ。三越へ行き、ラウンジでお茶しデハ地下で買い物して帰る。なんだか、私は笑顔で応対したが心から笑った事は一度もなかった。時間をやたらとメモしてた。不親切な思いやりない父のためにさ時間をさき下働き的な通夜告別式。私は私を褒めたい。 私は昭子の、ようには出来ない。施設に預けただろう。
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一気読み。昭和47年刊ながら、高齢化社会について考えるのにとてもよい小説。認知症を患った義父のケアをする嫁の昭子を通して、高齢者のケアがどんなものかがとてもよく分かる。我が事として考えるきっかけになった。
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妻は、私に介護が必要になったらすぐ施設に入れると。頑張って、健康維持に努めなくてはいけませんw。遅れ馳せながら、有吉佐和子さんの「恍惚の人」(1972.10)を読みました。これが、50年前の作品とは。全312頁を一息に読了しました。老人性痴呆が始まり、息子や娘がわからなくなった立花繁造84歳、息子の嫁の昭子だけはわかって、昭子さん、昭子さんと。この小説は、ボケが進行していく義父と、働きながらも義父をしっかり面倒をみる昭子が描かれています。昭子さんが素晴らしいです!
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今年の6月5日にオープンした有吉佐和子記念館(和歌山県和歌山市)に先日訪れた。建物は氏の東京都杉並区にあった邸宅を故郷和歌山市に移したもので書斎も見学できる。しかし…あろうことか著書を一冊も読まずに来てしまい、帰宅後多くの方からオススメの作品を教えていただいた。「大変失礼致しまし...
今年の6月5日にオープンした有吉佐和子記念館(和歌山県和歌山市)に先日訪れた。建物は氏の東京都杉並区にあった邸宅を故郷和歌山市に移したもので書斎も見学できる。しかし…あろうことか著書を一冊も読まずに来てしまい、帰宅後多くの方からオススメの作品を教えていただいた。「大変失礼致しました…」と氏に謝意を表しながら、その内の一冊から読むことにしたのである。 ある雪の日、仕事帰りの昭子は離れで暮らす舅 茂造が、コートも着ずにあてもなく雪道を歩く現場に出くわす。この茂造の様子がどうもおかしく、タイトルの通り恍惚としていた… これは言わずと知れた認知症だが、1970年代を生きる登場人物らを見ていると、老化によって発生する自然現象とでも認識しているように思えた。実際「認知症」という名前は2004年に銘打たれたものらしい。 単なる「耄碌(もうろく)」と見られていた認知症をただならぬ病だと捉えた著者の見識たるや……作品が長く受け入れられているのも非常に納得した。 発症前から昭子をいびり倒していた茂造を彼女が主体となって世話しなきゃいけないのがまず不憫でならなかった。息子 敏を除く家族・ご近所・老人向けレクリエーション施設や福祉事務所の職員とヘルプを求める範囲が広がっても、結局は「家族が見てあげるのが一番」と振り出しに戻(され)る。 自分の近親者に該当する者はおらず、何がお互いのためになるのか今でも分からずにいるが、ワンオペがアウトなのは想像に難くない。 本書に出てくるような、健康体で頭脳明晰な高齢の方をどこでも見かける一方で『認知症世界の歩き方』といった関連本が今でもよく売れている。手に入れたのが不老長寿の長寿だけだったとしたら…? 昭子や夫の信利が、茂造の衰えを通して自分達の将来像に不安を抱くのも無理はない。人生100年時代の現在、50年も前の作品を前にしていると言うのに、やっぱり著者の見識たるや…(以下略) 昭子があの境地に至ったのは驚いたが、気難しかった茂造をあそこまで生まれ変わらせたのだと思えば、彼女の苦労も偲ばれる。 「ママ、エキスパートになったね」 たった一人でエキスパートになっても、全てが終われば今まで通りの、自分らしい人生がちゃんと返ってくるのだろうか? 涙ぐむ昭子に視線を注がずにはいられなかった。 度重なる感染拡大によって、またもや気軽に会えないご時世が続くなか、ブクログ以外でオススメ本を教えてもらえたのが今回何よりも幸せでした。勿論ブクログでもこうした交流を継続させていきたいです。今後とも宜しくお願いします!
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何考えてるんだ、こやつは・・・ 認知症の親の瞳を覗き込む。 でもそれは、「恍惚」と言った陶然とした表情でなく、単に感情が読めない、そんな感じ。 「恍惚の人」を知ったのは、高校生だった昭和57年、文学史の教材で。 それから40年、気になっていたが、老人問題なんて・・・読むのを後回しにしてきた。 この小説のすごいところは、昭子の介護の奮闘ぶり。 僕も介護の入り口に立った経験からわかるのだが、時間的にも体力的にも精神的にも、食事と下の世話までしなければならず睡眠も妨げられる、となれば、限界はあっという間にやってくる。 介護保険が整う前、昭子のように舅の介護に全力を尽くす主婦が珍しくなかったとすれば、その献身・実行力には驚嘆するしかない。 この作品は、1972(昭和47)年に一番売れた本であり、その後の介護制度・人々の価値観の礎となった・・・ ということを先ほど知った。 この作品の小説を超えた偉大さは理解したつもりだが、読んでいて決して楽しいものではない。 老いは家族と自分、いずれは誰にでも訪れる、避けては通れない未来ではあるが、それが実際に訪れたとき、看護師やヘルパーや介護施設、病院の助けを借りて、自分らしい、充実した人生を送ることができるよう生活環境を整えていく。 これも、今の時代を生きるには、とても大切な価値観だと思う。
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途中、読み進めるのが辛いと思うくらい、生々しく描かれているが、だからこそのめり込んで読み切ってしまった。生きるということ、死ぬということについて考えさせられる作品。何かの答えを示してくれるというよりは、高齢社会について考えるきっかけを与えてくれる作品だと捉えています。
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気難し屋の義父にさんざん泣かされ、別居して暮らしていたが義母が亡くなり義父のアルツハイマーが発覚。 半年は仕事を続けながら世話もできたがどんどん悪化して施設に入れようか福祉に相談するが規約で受け入れる先が困難だと分かる。しかも家族が面倒を見るのが当たり前とも言われ、途方に暮れる。...
気難し屋の義父にさんざん泣かされ、別居して暮らしていたが義母が亡くなり義父のアルツハイマーが発覚。 半年は仕事を続けながら世話もできたがどんどん悪化して施設に入れようか福祉に相談するが規約で受け入れる先が困難だと分かる。しかも家族が面倒を見るのが当たり前とも言われ、途方に暮れる。 この小説の救いは家族以外の人が手を差し伸べてくれること、一人息子も協力してくれて介護も地獄のような苦々しいものになっていないので、途中で気落ちすることなく読み進めることができた。 なる様にしかならないのはわかるがどこで諦めがつくのか、心境も綴ってあるので備えとして読むのもいいかもしれない。
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進んだ先か、戻っていく末か、はたまたその道半ばで。人は皆いつか死ぬとはいえ、最期をどう迎えるのかは分からない。アンチエイジングだなんだと頑張ってみても、老いていく。少しずつ、時に急激に。「老いる」ことを家族のこと自分のこと他人のこととして、考えておく。他に何かできることがあるだろ...
進んだ先か、戻っていく末か、はたまたその道半ばで。人は皆いつか死ぬとはいえ、最期をどう迎えるのかは分からない。アンチエイジングだなんだと頑張ってみても、老いていく。少しずつ、時に急激に。「老いる」ことを家族のこと自分のこと他人のこととして、考えておく。他に何かできることがあるだろうか。
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この本が発売された1970年代にはもう高齢者の介護問題があったことに驚いた。生々しい描写で老いた舅が書かれていて非常に興味深い作品だった。
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