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恍惚の人 の商品レビュー

4.2

170件のお客様レビュー

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    53

  2. 4つ

    76

  3. 3つ

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2025/02/03

「老い」「介護」「主婦」の3つ問題から、色々と考えさせられる部分が多くあった。将来の自分自身の「老い」に向き合わなければいけないことを考えてしまった。また、自分の親を「介護」するときがやってくることも考えられる。「主婦」が家庭を全うするのではなく、家族同士で協力し合っていきたい。

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2025/02/03

2025.2.3 茂造の老いも凄まじかったが、昭子の何十年後かの自分の老いを意識する内容が、身につまされた。 昭子の人物像、心模様を鋭く書き上げている。 名作でをあり、ファンになった。

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2025/01/23

読んでいて休憩挟みながらなんとか読み終わりました。なかなか苦しいですし怖いです。いつか必ず自分も通る道ですし、この本は大切に取っておいて自分も昭子のようになりたいと思いました。

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2025/01/20

姑の突然死をきっかけに、舅の認知症に気づく立花一家。舅・茂造の世話をするのはもちろん嫁の昭子で、夫は役に立たない。 本書は、1970年代初頭を舞台にしながらも、家族の役割や介護など現代に通じる問題を鋭く描き出した作品です。 携帯電話はもちろん無く、和式トイレや火鉢が当たり前の時...

姑の突然死をきっかけに、舅の認知症に気づく立花一家。舅・茂造の世話をするのはもちろん嫁の昭子で、夫は役に立たない。 本書は、1970年代初頭を舞台にしながらも、家族の役割や介護など現代に通じる問題を鋭く描き出した作品です。 携帯電話はもちろん無く、和式トイレや火鉢が当たり前の時代ではあるけれど、昭子が仕事にしがみつきながら家事を奮闘する様子は詳細に描かれていますが、当時の暮らしを興味深く読むと同時に女性の役割に対して共感する場面です。嫁が割を食うなどの家族の役割は今でも変わらない印象です。 昭子の体力は限界になり、ホームに入れる選択肢を模索するなか、老人クラブの職員やケアマネージャーの「家族に世話してもらうのが一番幸せ」という価値観に読んでいるこちらも胸が苦しくなり、高齢者福祉に対する認識の変遷に思いを馳せました。 家庭に留まらず、あくまで社会での居場所も保ちつつ、家事や介護をがんばる昭子を応援しながら読みました。茂造がお風呂で溺れたことをきっかけに、嫌いな茂造の介護にふっきれた昭子。茂造を好きなだけ生かそうとするところから少し明るい兆しが見えたのが救いでした。 茂造の状態を、家族は「壊れる」と表現する一方で、「お戻りになる」と表現した医師の言葉が印象的でした。十分に生きたら、あとは戻るのが人間なのか。人間の尊厳の捉え方を考えさせられました。 作中では茂造の入れ歯や、息子の歯の治療についてなど歯に関する描写が多いと感じました。入れ歯を自分で制作するほどこだわった茂造も、認知症になってからは手入れをすることもなくなり、人間の尊厳を象徴しているようでしたし、歯の治療を進める信利も、老いが確実に近づいていることを暗示しているようでした。 50年前に書かれたとは思えない、その問題提起が現代にも通じる普遍性のある作品だとおもいました。

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2025/01/09

「恍惚の人」有吉佐和子著、新潮文庫、1982.05.25 438p ¥660 C0193 (2025.01.09読了)(2013.09.24購入)(2011.03.10/63刷) 【目次】 一~十六 解説  森幹郎 (「BOOK」データベースより) 文明の発達と医学の進歩がも...

「恍惚の人」有吉佐和子著、新潮文庫、1982.05.25 438p ¥660 C0193 (2025.01.09読了)(2013.09.24購入)(2011.03.10/63刷) 【目次】 一~十六 解説  森幹郎 (「BOOK」データベースより) 文明の発達と医学の進歩がもたらした人口の高齢化は、やがて恐るべき老人国が出現することを予告している。老いて永生きすることは果して幸福か?日本の老人福祉政策はこれでよいのか?-老齢化するにつれて幼児退行現象をおこす人間の生命の不可思議を凝視し、誰もがいずれは直面しなければならない“老い”の問題に光を投げかける。空前の大ベストセラーとなった書下ろし長編。

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2024/12/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

100分de名著(2024年12月)に取り上げられた1冊。 この本を読んで今年亡くなった祖父のことを思い出した。認知症ではなかったが、最期は寝たきりになり、祖母や父、叔母が介護していた。祖父がこれ以上苦しまないように積極的な延命治療は行わなかった。最終的には老衰であったが、それでも「もっと長生きさせてあげたかった」と皆が言っていた。 最後のシーンの敏の台詞はドキッとしたし、鳥籠を抱いて涙する昭子の気持ちも痛いほど伝わってきた。

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2024/12/22

老いの先にある壮絶な人生を垣間見た気がした。認知症の介護というのはこれほどまでに大変なものなのかと圧倒された。主人公の昭子の「茂造を生かせるだけ生かしてやろう」という肝に据えたところは、圧巻だった。今、自分にできることに向き合うことの大切さを考えた。昭和のベストセラーで名著。読ん...

老いの先にある壮絶な人生を垣間見た気がした。認知症の介護というのはこれほどまでに大変なものなのかと圧倒された。主人公の昭子の「茂造を生かせるだけ生かしてやろう」という肝に据えたところは、圧巻だった。今、自分にできることに向き合うことの大切さを考えた。昭和のベストセラーで名著。読んでよかった。

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2024/12/15

1972年のベストセラーだそうだが、なるほど時代は古いものの、介護の教科書のような本だった。 日本の老人福祉に対する話は昔も今もさほど変わらず、自分の生まれる前のベストセラーなのに、この本の昭子のように自分の介護や老後のことを心配しながら読んだ。 ピンピンコロリできたらいいけど、...

1972年のベストセラーだそうだが、なるほど時代は古いものの、介護の教科書のような本だった。 日本の老人福祉に対する話は昔も今もさほど変わらず、自分の生まれる前のベストセラーなのに、この本の昭子のように自分の介護や老後のことを心配しながら読んだ。 ピンピンコロリできたらいいけど、こんな老人になったらどうしよう、迷惑かけたらとうしようと思うが、人それぞれに先はどうなるかわからない。 生き方の知恵とヒントをもらった気がする。

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2024/12/19

老人問題を取り上げた小説は何冊か読んでいるのに、元祖であり大ベストセラーであるこの作品をまだ読んでいなかった。 心の片隅で、もう古いのではないかと思っていたのかもしれない。 読み終えてみれば、土下座して謝りたいほど、「現代の」老人問題が描かれていた。 時代的には、私の親世代の家庭...

老人問題を取り上げた小説は何冊か読んでいるのに、元祖であり大ベストセラーであるこの作品をまだ読んでいなかった。 心の片隅で、もう古いのではないかと思っていたのかもしれない。 読み終えてみれば、土下座して謝りたいほど、「現代の」老人問題が描かれていた。 時代的には、私の親世代の家庭であるが、昭子(あきこ)がフルタイムで事務員として働いているという状況は、当時では比較的新しい家庭であったのかもしれない。 優しかった姑が離れで急死した日、嫁の昭子は、舅の茂造の様子がおかしいと初めて気づいた。 症状が出始めたことを息子夫婦には隠して、姑が一人で面倒を見ていたのだろう。 姑は、狷介でわがままな茂造の看護婦か奴隷のようなものであった。 立花家において、執拗な嫁いびりは茂造の仕事で、姑が間に入って取りなしていたのである。 しかし、ボケた茂造は、意地悪も忘れ、昭子さん昭子さんと頼りにするようになる。 そこからは、認知症老人の迷惑行動見本帳のように、茂造は次々と段階を進める。 介護はもちろん地獄だが、昭子と信利(のぶとし)の夫婦は、茂造の姿に自分たちの行く末を思い描いて、むしろそちらに戦慄する。 高校生の息子・敏(さとし)は介護に協力的だが、「パパもママもこんなに長生きしないでね」と言い放つ。 「老人福祉指導主事」の、「老人を抱えたら誰かが犠牲になることはどうしようもない」という言葉も、今もそのまんまである。おまけにヤングケアラーの問題まで浮上しているから、現代ではこの小説の状況より悪くなっているのではないかと思うほど。 考えれば考えるほど、ズブズブと泥濘に沈んでいく心地がする。 自分だっていずれは老人になるのだから、という言葉は、きれい事であると同時に恐ろしい呪文でもある。 こういう場合、あまりにも定番すぎるけれど、「男は役に立たない」ということもやはり書いておかねばならない。 昭子の夫であり、茂造の長男・信利は、少しは手伝ってと言われて「二言目には、自分の親だろう親だろうと言うんじゃない、当てつけか!」などど逆ギレする。 後半、昭子が聖母のように見えてくるが、そうらやっぱり女性の方が介護に向いているんだなどと言う輩が出てきそうで、女を取り巻く状況はこの昭和47年(1972年)からほとんど変わっていないと思うのだった。 そう思うにつけ、この作品は、時代が変わっても色褪せない傑作と言わざるを得ない。

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2024/12/15

厳格で寡黙な舅が痴呆になり自身の娘息子の顔も忘れ、糞尿も1人では碌にすることが出来ず醜態を晒す様がなんとも惨めで情けないものか。 このような実父に対して「死んでくれ」と願う家族。 己自身もこのように老い耄碌していく未来を嫌という程突きつけられていく。 世話を妻に任せきりで、言葉で...

厳格で寡黙な舅が痴呆になり自身の娘息子の顔も忘れ、糞尿も1人では碌にすることが出来ず醜態を晒す様がなんとも惨めで情けないものか。 このような実父に対して「死んでくれ」と願う家族。 己自身もこのように老い耄碌していく未来を嫌という程突きつけられていく。 世話を妻に任せきりで、言葉では謝罪をしていても自らは何も行動しない夫に苛立ちを感じた。 「ときどき、ぺちゃッ、ぺちゃッと舌が鳴る。蟹の殻が次第に積み上げられて行く。それは生きるための凄惨な儀式のようだった。」

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