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暗黙知の次元 の商品レビュー

3.9

49件のお客様レビュー

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2015/04/30

「暗黙知」や「創発」など、なかなかエヴィデンスの得られにくい事柄というのは、世間に認知されにくいのかもしれない。 しかし、新鮮な視点を感じた。

Posted byブクログ

2014/02/18

諸要素を包括して理解することが「暗黙知」の原理であり、それはより高次のものへ進化する基礎をなす。また高次に向かう志向性こそ進化の本質であるとポランニーは述べている。 この志向性は今西進化論に通ずるものを感じる。

Posted byブクログ

2022/10/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

     -20080619 80年初訳の紀伊国屋書店版には「言語から非言語へ」と副題されていたこの書は、ポストモダン思潮のひろがりのなかで栗本慎一郎らによってものものしく喧伝されていたが、本書はその新訳にて「暗黙知」再発見を問う、03年刊

Posted byブクログ

2013/06/20

本書は形而上学の復権を目指した本である。著者はスターリン時代のソ連において経験主義的唯物論が全体主義の道具になるのを目撃した。著者は新たな形而上学の基礎を存在論ではなく生命論に求める。物質的要素を総合する暗黙的な知が存在する。それは創造性の根源であり、生命進化の推進力となったもの...

本書は形而上学の復権を目指した本である。著者はスターリン時代のソ連において経験主義的唯物論が全体主義の道具になるのを目撃した。著者は新たな形而上学の基礎を存在論ではなく生命論に求める。物質的要素を総合する暗黙的な知が存在する。それは創造性の根源であり、生命進化の推進力となったものである。物質主義に対して生命的形而上学を措定しようとする試みは、ベルクソンの哲学と類似する。最後に著者は意識の発生や道徳の進歩の基礎を生命論に置こうとする。経験・実証主義哲学に対する異議申立てを試みた非常にラジカルな哲学書である。 近代科学は中世神学と結びついたアリストテレス形而上学を論破することから始まった。しかし物質主義的経験論は人間の横暴や残虐を諌める力を持たなかった。宗教も形而上学も死んだ近代で、人類は何を拠り所として生きるのか?その答えの一つとして提示されたのが生命哲学である。 本書は本来であれば数巻にも及ぶ大著となるべき内容をわずか100ページ余りに圧縮して記述している。これだけの内容をコンパクトに記述した知性とその熱意には感服せざるをえない。

Posted byブクログ

2013/06/18

暗黙知を簡単に言えば基本的に言語の外にある理解、語れなくとも自分の中に内在化されている知の事だが、より詳細には私たちが何かを知ろうとする時、既に内在化された知と関連付けられ、言語外のうちに包括的に統合されていくそのプロセスそのものだと言う事ができる。暗黙知そのものは包括的理解であ...

暗黙知を簡単に言えば基本的に言語の外にある理解、語れなくとも自分の中に内在化されている知の事だが、より詳細には私たちが何かを知ろうとする時、既に内在化された知と関連付けられ、言語外のうちに包括的に統合されていくそのプロセスそのものだと言う事ができる。暗黙知そのものは包括的理解であり、それは分析し明示的統合を目指す科学的方法と相反するものだが、暗黙知がなければ科学的発展の為の問題設定が行えないのだという指摘はゼノンのパラドクスを克服する。未だ理解の途中だが興味深い論点が多数存在しており、議論されるべき名著。

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2013/03/31

人の顔全体は覚えているが、目や鼻などの各部位だけを見させられても、それが誰かわからない。しかし、その目や鼻が、その人の部位だということは(自覚できないにも関わらず)知っている。 もし本当にその部位が誰のものか知らないのなら、それらの部位を組み合わせた顔全体を見ても、誰の顔か分かる...

人の顔全体は覚えているが、目や鼻などの各部位だけを見させられても、それが誰かわからない。しかし、その目や鼻が、その人の部位だということは(自覚できないにも関わらず)知っている。 もし本当にその部位が誰のものか知らないのなら、それらの部位を組み合わせた顔全体を見ても、誰の顔か分かるはずがないからだ。 この奇妙な状態を表したのが暗黙知だ。 暗黙知は、言語化が困難で、場合によっては「知覚していることを知覚していない」ことすらある(本書ではそれを実証する実験例がいくつか掲載されている)。だからといって「知覚していないと思っていることは、知覚していないことと同一ではない」というのがポイントだろう。 本書によると、暗黙知は、高次元の対象(顔全体)を知覚することによって「はじめて生じる」、1つ低次元の対象(目や鼻)の知覚のことである。 「はじめて生じる」というところがポイントで、顔全体を見ようとしないと、暗黙知は生じない。 もちろん目や鼻をそれぞれ「非暗黙知的」に知覚することはできるけれど、それは「顔」という全体性についての「意味の破壊」(≒ゲシュタルト崩壊)を引き起こし、顔全体の知覚を不可能にする。 こういった暗黙知を解説しているのが第1部、暗黙知の働きを「創発」として論じているのが第2部、暗黙知から人間の探求活動そのものを論じているのが第3部だが、2部以降は難解。けれど、1部だけでも十分に読む価値はある。 個人的には、個別単体は、組み合わせることにより「総和」以上のものを生み出すのだろう、という気がしているし、実際にそういったことは社会で多く起こっている。 数学における「1+1=2」という最も根本的な理論が、生命や社会においても成り立つのかは疑問だ(本書でも、非生物と生物の問題がとりあげられている)。

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2012/10/29

tacit demensionについて勉強。ここはゲシュタルトとともに非常に納得だったが、そのあとのヒエラルキーや進化論、創出に対するナイーブさも目についた。量子力学みたいな概念の安易な社会科学へのアナロジーも、ソーカル以来の問題かと思う。でも、全体としては読み応えありました。

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2012/10/24

一言で言うと、難しい本。 自分の理解力が至らないのか、半分以上何を言っているのかわからない。ただそもそも、言葉にし難い暗黙知について語るのだからそうなるのもやむを得ない、とも言える。 印象に残っているところを2点書き残す。 ・創発。機械工学は、物理学では規定しない境界条件を埋め...

一言で言うと、難しい本。 自分の理解力が至らないのか、半分以上何を言っているのかわからない。ただそもそも、言葉にし難い暗黙知について語るのだからそうなるのもやむを得ない、とも言える。 印象に残っているところを2点書き残す。 ・創発。機械工学は、物理学では規定しない境界条件を埋めることで、それを機械たらしめている。その埋められた境界条件こそ、暗黙知(?)。 ・暗黙知の存在が、その未開の潜在的可能性を探求する動機になること。 また、「言葉とは何か」と読み比べてみるのもおもしろいと思う。 http://booklog.jp/users/yasu2kei/archives/1/4480091459

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2012/10/20

80年代に日本でもちょっと流行った本。 要するに、言語的な思考=意識/認知以前に活動し、モノを知覚している前意識的/無意識的/器質的領域を「暗黙知」と呼んでいるようだ。 「意識」なるものは、実は主体が対象を知覚し行動を決断するよりも0.5秒だけ、常に遅れてやってくる、という実験結...

80年代に日本でもちょっと流行った本。 要するに、言語的な思考=意識/認知以前に活動し、モノを知覚している前意識的/無意識的/器質的領域を「暗黙知」と呼んでいるようだ。 「意識」なるものは、実は主体が対象を知覚し行動を決断するよりも0.5秒だけ、常に遅れてやってくる、という実験結果がある。 私も「意識」とか、近代西洋が必死に称揚した「精神」なるものは、「後付け」のものであって、真の主体からみれば氷山の一角みたいなものだと考えている。 だから「意識」だけに捕らわれたハイデッガーには惹かれない。 ポランニーの思想はそういう私の考えとちょっと接点があるが、この短い本だけでは、どこまで思想が突き進んでゆくのか、ちょっとわからない気がした。

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2012/08/11

共産主義と実存主義への対抗。ミームの進化論。アーキテクチャの生態系。低次から高次の動的生成。ダニエル・デネット流の進化論的自由論(機械的決定論批判)。身体。アフォーダンス。二次的理解。基礎情報学。 私たちは言葉にできるより多くのことを知ることができる。言葉が意味するものを伝える...

共産主義と実存主義への対抗。ミームの進化論。アーキテクチャの生態系。低次から高次の動的生成。ダニエル・デネット流の進化論的自由論(機械的決定論批判)。身体。アフォーダンス。二次的理解。基礎情報学。 私たちは言葉にできるより多くのことを知ることができる。言葉が意味するものを伝える時のギャップは学ぶ側の努力によって乗り越えられる。暗黙の総合。 私たちは暗黙的認識において、遠位にある条件の様相を見て、その中に近位の条件を感知する。つまり近位項から遠位項に向かって注意を移し、遠位項の様相の中に近位項を感知する。 意味は私たち自身から遠ざかっていく傾向がある。 機能的 現象的 意味論的 存在論的 事物が統合されて生起する「意味」を私たちが理解するのは、当の事物を見るからではなく、その中に内在化するから、すなわち事物を内面化するからなのだ。 暗黙的思考が知全体にとって不可欠ならば、私的・個人的なものを排するという近代科学の前提を問い直さなければならない。 実証主義的科学哲学への批判。科学的探求は個人的なコミットメント。 暗黙知は身体と事物の衝突から、その衝突の意味を包括=理解(コンプリヘンド)することによって、周囲の世界を解釈する。 →すごくギブソンっぽい。 進化を駆動してきた「太古の自己保存の仕組み」に対抗せよ。しかし、利己主義への反抗も進化で説明できる。 →ドーキンス的? 批判精神+道徳的欲求=怒りに満ちた絶対的個人主義 啓蒙主義から生まれた壮大な哲学運動は人間の絶対的な知的自己実現を高らかに謳い上げたが、その根拠となったものを否定する。なぜなら、暗黙的思考があらゆる認識に不可欠の要素であり、なおかつすべての明示的認識に意味を与える究極の知能だとするなら、それは、現世代は言わずもがな、後続の世代が自分の受けた教えを批判的に検証する可能性を否定することになるからだ。 教育、無意味に思える、権威の受容、信じることで理解できる 科学的伝統が自己革新するための力の源泉は、隠れた実在(リアリティ)が存在するという確信である。 →探求者の社会 進化論的革新の過程 人間の思考と革新、問題の場、努力、想像上の衝迫 高次の安定的な意味への到達可能性によって触発される →こうした得意なタイプの不確実性が存在するには「意識」が発生していなければならないはずだ 倫理:思考によって形成される究極の暗黙知 暗黙知が社会的なものであるなら、それが倫理的であってもなんの不思議もない。 完全なる社会と、完全なる道徳。この二つを克服しなければならない。 →暗黙知の階層性と社会性が極端な完全主義を乗り越える処方箋 ※西垣通っぽい →より高次の知へと自らを更新し続けるということは、現行の知は常に不完全である。 科学者としてのポランニーは変化や進化の方法を科学的に基礎付けようとした。哲学者としてのポランニーは暗黙知によって人間と宇宙を貫く倫理を夢想していた。(訳者) ポランニーの英文は諦めが悪い。まるで思想を反映しているように。ある「予期」をもって書き始めるが、様々な要素が付加されて、段々に全体的な意味が達成されていく。 「書かなければ何も解らぬ」小林秀雄

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