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関ヶ原(下) の商品レビュー

4.3

159件のお客様レビュー

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2023/09/29

関ケ原の戦い。その結末を知っていても、細かいことは知らずにいた。実は戦をする前に勝敗は決していたともいえる。    幼いころからテレビで見ていた時代劇はたいていが潔癖な正直者正義漢が勝つものだった。しかし、この戦国時代はもっともっとどろどろの義や恩よりも利や保身を探って動く実に腹...

関ケ原の戦い。その結末を知っていても、細かいことは知らずにいた。実は戦をする前に勝敗は決していたともいえる。    幼いころからテレビで見ていた時代劇はたいていが潔癖な正直者正義漢が勝つものだった。しかし、この戦国時代はもっともっとどろどろの義や恩よりも利や保身を探って動く実に腹黒い政治力によって生き抜き合戦があったようだ。  そんな中で西軍の大谷吉嗣や島左近たちの命を惜しまない男気のある戦いぶりは実に爽快だった。その家来たちも負けるとわかっていながら大将の「逃げよ」という勧めにも従わず、堂々と死地に赴いていく。この潔さの余韻は胸をうたれ、深く余韻が残った。  一度は逃げた石田三成もかくまってくれた農民に被害が及ぶのを憂い、やがて東軍の追手のもとに身を捧げている。皆、いさぎよく死んでいく。  現代は生きてるだけで儲けものという言葉をよく聞く。もちろんそういう時代である。だが、この小説の時代は死ぬことの美学があり、あっぱれな死に様は名誉尊厳とともに後々の今になってもなお、息づいている。  もしこの時代に将軍としての身分があったなら、自分は決して家康のような切れ者にはなれないし、悲しいかな石田三成のように生き下手で人間感情に鈍い武将であったと思う。できれば友情、義を重んじいさぎよく死んでいった大谷吉嗣に憧れる。決して小早川のような後代数百年後まで馬鹿にされるような将軍にはなりたくなかったと思う(わからんけど)。  最後の初芽と黒田 如水を登場させてこの物語を締めくくったのは血生臭い戦の物語をそこそこきれいに洗い流してくれたように思う。  上巻は8日間で。中巻は3日。下巻はほぼ1日で読んだ。

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2023/09/10

「男の最大の娯楽といっていい、自分が興るかほろびるかという大ばくちをやることは」 ……引用は、石田三成の家臣、島左近の台詞から。三成は正論を振りかざすが故に諸将に嫌われ、「あらゆる細工をほどこし、最後に賽をなげるときにはわが思う目がかならず出る」ように、利をもって諸将を手懐ける...

「男の最大の娯楽といっていい、自分が興るかほろびるかという大ばくちをやることは」 ……引用は、石田三成の家臣、島左近の台詞から。三成は正論を振りかざすが故に諸将に嫌われ、「あらゆる細工をほどこし、最後に賽をなげるときにはわが思う目がかならず出る」ように、利をもって諸将を手懐ける家康の立場を更に有利にしてしまった。しかし、“利”ではなく“義”で行動する者(島左近然り、上杉景勝、直江兼続然り)もいて、彼らは現世で栄えはしなかったものの、その生き方は後世に憧れの対象となる……果たして、どちらが男の幸せなのだろうか。

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2023/08/29

・関ヶ原の戦いに至るまでの人間模様がとても魅力的に描かれていた。 ・気持ち的には石田三成に勝ってほしかったが、世を治める器量はなさそうなので、徳川家康の勝利で良かったのかもしれない。 ・小早川秀秋は今の時代でも悪者として扱われるので、人の行動が与える影響力の凄まじさを感じる。 ・...

・関ヶ原の戦いに至るまでの人間模様がとても魅力的に描かれていた。 ・気持ち的には石田三成に勝ってほしかったが、世を治める器量はなさそうなので、徳川家康の勝利で良かったのかもしれない。 ・小早川秀秋は今の時代でも悪者として扱われるので、人の行動が与える影響力の凄まじさを感じる。 ・様々な人間の思惑が錯綜するので、自分が歳を重ねて読み度に、共感する人物が変わりそう。

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2024/11/19

ついに関ヶ原の戦が始まった。兵の数、立地などを考えれば西軍の有利だといわれたが実際は家康の謀略により西軍のほとんどは家康に与していて始まる前から結果は決まっていた。三成が負け家康が勝った要因としては情報に三成が重きを置いてなかったことと、三成が利より義で人は動くと思っていたことだ...

ついに関ヶ原の戦が始まった。兵の数、立地などを考えれば西軍の有利だといわれたが実際は家康の謀略により西軍のほとんどは家康に与していて始まる前から結果は決まっていた。三成が負け家康が勝った要因としては情報に三成が重きを置いてなかったことと、三成が利より義で人は動くと思っていたことだろう。家康がいつ江戸を経って進軍しているのかも把握しておらず、また小早川秀秋が秀吉からの寵愛を受けているから絶対に裏切らないと思い込むなど慎重さが足りなかったのかな。結果負けてしまったが三成が挙兵することで秀吉の名誉も保たれ全く意味のないことではなかった。宇喜田秀家、三成、大谷吉継らの軍の勇猛さはとても面白かった。

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2023/07/06

大河ドラマに触発されて再読。 時代背景や人間模様がとても丁寧に書かれていてとても楽しいです。 人を動かすには、ついていきたいと思わせる力と、欲しい物を与える力が必要なんですね。

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2023/05/01

 関ヶ原の戦いを扱った歴史小説の最終巻。読み終えてから少し時間が経ってしまったので、読んだ時の感想の細かいところは忘れてしまったが、最後まで面白く読めた。この司馬遼太郎の本の中では、石田三成は決してすごく格好いい人物としては描かれていなかった。

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2023/04/01

誰もが知る関ヶ原。その後の泰平の世を思えば家康が勝者であってよかったと思うし、小早川秀秋がどう評されようがその裏切りは正解だと思う。 だけど、司馬さんの関ヶ原を読むと義に生きた青くさい三成に勝たせてやりたかったとも感じる。

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2023/02/14

タイトルは「関ヶ原」だけど、そこに至るまでの家康と三成の駆け引き、工作が詳しく描かれていて、それぞれの大名の戸惑いや計算、心情が分かって面白い。戦そのものは、戦力や布陣から言ってどちらが勝ってもおかしくない状況だったことが分かる。 西軍の敗色が濃くなった中で、名に恥じぬよう自分の...

タイトルは「関ヶ原」だけど、そこに至るまでの家康と三成の駆け引き、工作が詳しく描かれていて、それぞれの大名の戸惑いや計算、心情が分かって面白い。戦そのものは、戦力や布陣から言ってどちらが勝ってもおかしくない状況だったことが分かる。 西軍の敗色が濃くなった中で、名に恥じぬよう自分の死に様を飾ろうという数多の武士たちの激闘がすさまじい。 結局三成の挙はなんだったのか、最後の場面でそれを評した言葉に、救われた気がした。

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2021/09/08

歴史上の有名なことなので、結末は知っている。 ただ展開を追うとどちらに勝敗が転んでもおかしくない状況で大将の器の違いが左右した印象。 合戦よりも、総大将の家康、三成とその周囲を取り巻く人間模様の方が面白く、読み応えあり。 みんな時勢に流される中、中立を固辞した人物(氏家行広)が現...

歴史上の有名なことなので、結末は知っている。 ただ展開を追うとどちらに勝敗が転んでもおかしくない状況で大将の器の違いが左右した印象。 合戦よりも、総大将の家康、三成とその周囲を取り巻く人間模様の方が面白く、読み応えあり。 みんな時勢に流される中、中立を固辞した人物(氏家行広)が現れたことが個人的には救い。

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2021/08/23

関ケ原の合戦を描いた物語。 家康、三成が争った天下分け目の戦い。司馬遼太郎が描く、政治と軍事の融合した時代小説である。 ゲームや映画の登場人物かのように感じる部分と、事実として歴史上に存在したことに驚愕し感慨にふけってしまう。当然、その流れの上に現代があることは、にわかに信じ難い...

関ケ原の合戦を描いた物語。 家康、三成が争った天下分け目の戦い。司馬遼太郎が描く、政治と軍事の融合した時代小説である。 ゲームや映画の登場人物かのように感じる部分と、事実として歴史上に存在したことに驚愕し感慨にふけってしまう。当然、その流れの上に現代があることは、にわかに信じ難い。 それにしても家康の知略とは、現代の派閥闘争の工作そのものと言えるのではないだろうか。義や利とは誰にとってのものであったか。後世に何が伝えられるのだろうか。その延長線上にいる私は彼らから何を学ぶことが出来たのだろう。 それよりも、やはりおもしろいと感じるのは、どこか歴史をエンタメ化して見ているからだろうか。 慣れていないジャンルで、ものすごく読むのに時間が掛かった。良い読書ができた。 読了。

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