江戸東京奇想徘徊記 の商品レビュー
池内紀さんの『散歩本を散歩する』に、この本のことを、博覧強記で知られた種村季弘氏のことを、「書物に囲まれた書斎人は半身であって、もう半身に『うろつく人』がいた」と評しているように、ここに挙げられた30カ所の散策は、知識欲をすごく刺激してまことに楽しい。 今年、コロナで自粛を言...
池内紀さんの『散歩本を散歩する』に、この本のことを、博覧強記で知られた種村季弘氏のことを、「書物に囲まれた書斎人は半身であって、もう半身に『うろつく人』がいた」と評しているように、ここに挙げられた30カ所の散策は、知識欲をすごく刺激してまことに楽しい。 今年、コロナで自粛を言われる前に、飛鳥山へ花見に行った。そこで私が持ち出したのは落語「長屋の花見」、「花見の仇討ち」そして「王子の狐」だった この本の「飛鳥山の花見・王子の狐」では、龍亭鯉丈の滑稽本『八笑人』、それから飛鳥山博物館の人形劇の物語(これは狐と戯れる吉宗が出て来て面白い)など。狐について『反古のうらがき』とまつたく知らない出典からだった。侍が美女に化けた狐と出来上がるはなしだが、狐狸と交わると男は必ず死ぬのだそうで、そういう話はほかにもあると紹介されている。また狐に"つままれなかった"男の話も紹介されている。 そのように、花見から狐の話へ、流れるように語られて、風景も、ちゃんと見えていくるから素晴らしい。
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半蔵門の由来が象が半分しか通らないからという話は端から信じてはいなかったが、その元になる話が実在していたとは驚いた。識字率の低さと江戸子の洒落が結びついた産物であったとは。また同様に、王子の名物に玉子、大塚に犬塚いずれも初耳。
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情報紙「大森まちづくりカフェ」の原稿執筆のため拝読。 ネットで本書のことを知り読んでみると 森ヶ崎鉱泉のことを回想している美術家・仲田定之助氏 の事を知る。彼の著書「明治商売往来」を読むことにする。
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博覧強記の種村季弘の、かなりトリビアルな楽しい東京散歩。 これ読む人は、永井荷風の日和下駄読んでいることが必須かも。 殆ど知っていても何の得にも繋がらない事柄が、少し昔の風情を残している東京のそこかしこのディープな場所から沸き起こり、種村の住んでいたテリトリーを辿るようでもあり...
博覧強記の種村季弘の、かなりトリビアルな楽しい東京散歩。 これ読む人は、永井荷風の日和下駄読んでいることが必須かも。 殆ど知っていても何の得にも繋がらない事柄が、少し昔の風情を残している東京のそこかしこのディープな場所から沸き起こり、種村の住んでいたテリトリーを辿るようでもあり、時間と空間が江戸から終戦後のあたりまで自在に漂う。 一番最初が、何故か碑文谷円融寺の蓮華往生というのも、不思議。
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