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クララは歩かなくてはいけないの? の商品レビュー

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2023/09/17

2003年、つまりいまから20年は前に出された本だ。しかし内容は「古典」とされる少女小説(など)の見事さがいまなおわたしたちのこころを打つと同様に、その小説たちに含まれる、病や死への寓意性ーー医術への無関心、「女性」が家庭人となるいわばイニシエーションなどーーを容赦なく指摘するた...

2003年、つまりいまから20年は前に出された本だ。しかし内容は「古典」とされる少女小説(など)の見事さがいまなおわたしたちのこころを打つと同様に、その小説たちに含まれる、病や死への寓意性ーー医術への無関心、「女性」が家庭人となるいわばイニシエーションなどーーを容赦なく指摘するために、すこしも古びない。 また同時に、障害者を「哀れな」存在と扱うような見方、治癒を美化しすぎる傾向もしっかり分析されている。「障害や病気は厳然としてこの世にあるもので、健常者に合わせて作られるばかりの社会がおかしい」という見方は、ヴィクトリア時代と呼ばれる頃の(少女)小説には見られなかったようであるし、皮肉なことに、こんにちでもそれは変わらない。 けれど。そんな状況を変えようと、障害者自身、またはその身内が、あたりまえに、書き手や物語の登場人物としてあるように働きかけている現実も扱われている。このことに希望を見出したいし、わたしもそのようでありたい。

Posted byブクログ