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恐るべき子供たち の商品レビュー

3.6

64件のお客様レビュー

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2022/09/20

少年少女幻想  比喩が多く、そのいちいちが大仰。加へて訳が下手なのか1957年だから古いのかまるで意味不明。  しかも作者の少年少女幻想についていけない小説である。どうも現実味のうすい話で、病的に無想ばかりしてる不健康な十五、六歳の子供が無垢だと言はれても、いたづらなどをしてゐて...

少年少女幻想  比喩が多く、そのいちいちが大仰。加へて訳が下手なのか1957年だから古いのかまるで意味不明。  しかも作者の少年少女幻想についていけない小説である。どうも現実味のうすい話で、病的に無想ばかりしてる不健康な十五、六歳の子供が無垢だと言はれても、いたづらなどをしてゐて悪餓鬼にしか思へない。コクトーは子供らが無垢だと書いてゐるがそんなのはただの大人の幻想であり、登場人物がおしなべて15歳やら17歳やら十代後半、いったいこの年齢のどこが無垢なのか。  描かれてゐる異性愛もまともではなく、しまひには子供らは自殺してしまひ、そこに美しさがあると言はれても「は?」である。どうも悪人にも美はあるといったたぐひのもの同様理解できない。美があるとしてもさういふのは些末なもので、だからなに?私はそれに惹かれませんよ、である。解説をちらとのぞけばコクトーが阿片中毒の治療中に書き上げたとあって、つまりさういふことだ。しらべたら小谷野敦が、コクトーは同性愛者であって、これは同性愛者か女でなければ理解できないと書いてゐてなんだか妙に納得した。  岩波文庫の翻訳も古いので訳が分らず、読むなら光文社古典新訳文庫の方がいいのではないか。本屋で光文社古典新訳文庫を立読みしたら、驚いたことに岩波文庫の101頁《彼女はネクタイで腰にゆわえたタオル地の部屋着をひっかけていた。》の特に《タオル地の部屋着》が「バスローブ」となってゐて、さらにミカエルはマイケルで、岩波文庫の翻訳の古さと悪さを痛感させられた。

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2021/08/27

うん、なんかわかった様なわからなかった様な感じ。でもちょっと精神的に病んでるのかなぁ、って思った。なんか最後が壮絶だった。結局ジェラールはどうなったんでしょ。

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2021/02/07

p99 なぜなら、彼らは生まれながらの、嫉妬ぶかい麻薬に影響されて行動しており、麻薬を用いるのは、彼らにとって白の上に白を、黒の上に黒を塗るようなものだったからである。 悲劇。退廃的な子供たち。無知と若さゆえの残虐さ。子供同士の掟と愛情。 勝ったのは性愛か、肉親の愛か。

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2019/08/17

死にたかったり、目が見えなくなったら……と縫い針を見つめた高校時代。忘れないけれど、今になってみれば衝動的にしなくてよかったことばかり。そんなことを思い出させてくれる若者の混沌とした複雑な気持ちに浸りきってしまった。第一次世界大戦後に書かれたのに現代も同じ問題から逃げられていない...

死にたかったり、目が見えなくなったら……と縫い針を見つめた高校時代。忘れないけれど、今になってみれば衝動的にしなくてよかったことばかり。そんなことを思い出させてくれる若者の混沌とした複雑な気持ちに浸りきってしまった。第一次世界大戦後に書かれたのに現代も同じ問題から逃げられていない。すごい洞察力と筆致力だと感じた。ただひとつ笑えたのは、岩波文庫の表紙がネタバレであることかな。

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2019/01/11

ダルジュロスの放った雪玉によって学校を辞めることになり、成長しないまま姉との退廃的な「劇」を続けて生きてきたポールが、ダルジュロスが子供の頃と何ら変わらないことを示すために贈った毒の玉で息の根を止められた(自殺ではあるけど)という展開が好き。姉弟は精神的な近親相姦の境地に至り、幼...

ダルジュロスの放った雪玉によって学校を辞めることになり、成長しないまま姉との退廃的な「劇」を続けて生きてきたポールが、ダルジュロスが子供の頃と何ら変わらないことを示すために贈った毒の玉で息の根を止められた(自殺ではあるけど)という展開が好き。姉弟は精神的な近親相姦の境地に至り、幼さを保ったまま成長を拒んで死んでいく。やはり夢を蝕んでくる現実から完全に逃れるためには死ぬしかないのだろうか。死をもって現実に対抗する手段を知る存在としての「恐るべき」子供たち。風景、精神の描写ともに美しくて、詩人の書いた小説はかくあるべしと思った。いずれ再読したいところ。

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2024/05/12

多分、読むのではなく、感じる事でしか理解できないのだと思う。活字だけ見ると、なにが言いたかったの?になってしまう。 だから、今の自分の立場が誰に近いかによって感じ方が全く違ってくる作品。 ほんと、すごい。 子供の世界の残虐さ、純粋さ故の残虐という理不尽な世界を、よくここまで表現...

多分、読むのではなく、感じる事でしか理解できないのだと思う。活字だけ見ると、なにが言いたかったの?になってしまう。 だから、今の自分の立場が誰に近いかによって感じ方が全く違ってくる作品。 ほんと、すごい。 子供の世界の残虐さ、純粋さ故の残虐という理不尽な世界を、よくここまで表現できたな!とそこが高く評価されてる作品なのかなと思います。 もやぁとした嫌な気持ちが残る、後味の悪い、生きる上で役には立たない内容なので、話しそのものではなく、心理描写のうまさみたいなのを感じる事がこの本の醍醐味。 うまいだけに、ほんとうに読後嫌な気持ちになる。

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2017/04/06

傷つけ合うことでしか愛情表現ができない美しく冷酷な子供たちのお話。コクトーが阿片中毒の治療中にわずか17日で書き上げたと伝えられているらしい。

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2014/12/16

もう15年以上前に読んだので装丁も違いますがこの会社の出版したものだと思います。退廃的な破滅の匂いがプンプンする小説でしたが、何故か印象的なのはフランスではエクルヴィス(ザリガニ)がよく食べられていてその描写をよく覚えています。

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2014/08/14

神秘、運命という言葉が浮かぶ。物の配置が、居場所を作り出して、その場所が心理的に影響を与える。どうゆうわけか、そういう行動をとったことも運命だったのか?しかし、根底には小さい時の記憶や、パワーがもたらしてたことなのか。

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2014/06/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 アパルトマンの一室に閉じこもり、独自の世界の中で生きた姉エリザベートと弟ポールの話。閉じられた世界で、二人は大人になることなく大きくなる。お互いに嫌がらせをしたり、からかったり、それでも深い絆で結ばれていることを感じさせる二人。  エリザベートは、外で働いてみたり、一度は結婚して、外に出ようとするが、運命はこれを許さない。夫はすぐに事故でなくなってしまい、また、再び、エリザベートは、かつての、ある意味居心地の良い、ポールのいる世界で暮らすことになる。この世界に出入りすることを許されたのは、弟が学校に通っていた頃の学友ジェラールと、姉が一時的に働きに出た時、友達になったアガートのみ。  ジェラートはエリザベートを愛し、アガートはポールを愛する。しかし、外に出ることを運命に阻まれ、諦めてしまったかのように見えるエリザベートは、弟ポールへの執着を深め、この執着が、物語最後の悲劇を引き起こす。エリザベートは、結局ポールから離れることは出来なかった。それが彼女の運命だったのだろう。  血のつながりった愛が悲劇を起こす、という単純なストーリーだが、一貫して「生活」というものをほとんど感じさせない点が特徴的である。通常、人間が暮らすためには、それなりの収入を得るため、働き、外の世界に触れざるを得ない。ここで、通常は、ある程度皆、「大人」になってしまうのだが、エリザベート、ポールは子供の二人暮らしでありながら、特に生活のために働いたりする必要がない。そんな設定なので、最後の最後まで、二人は「子供」らしい感じを残したまま、死んでゆくのである。

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