小児がん病棟の子どもたち の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
小児がん病棟という”社会”において普通の子どもが病児になっていくプロセスを追った医療人類学ドキュメント。そこには「死の不在」という文化が存在した。 親子の間で、死は積極的に避けられていた。たとえば、母親は、子どもの前では病気が軽いものであるように振る舞い絶対に泣かない。子どもも親の意をくみ取りそのようにふるまう。 子ども同士においても同様であった。たとえ子どもの一人が、〇〇ががんで死んだらしいと発言しても、その場の子どもやスタッフに黙殺され話は続かない。また、子ども自身への余命告知はされず、他の子どもに知識が広まらないよう配慮されている。 そして死はなかったことにされていた。誰か死亡退院したときスタッフは、他の子どもに対し「良くなったから退院した」「家の近くの病院に移った」とだけ説明し、子どももくわしくは尋ねない。 死はついに訪れない。いよいよ終わり近くなり、個室に移され母と子だけの密接な関係下に置かれた子どもは、病児役割を急激に脱ぎ去っていき母子の緊密な結びつきの中で息絶える。しかし、死の直前でも母親は子どもに対してすぐ治る病気であるかのようにふるまい、子ども自身もそれを信じ込んだままでいる。
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フィールドワークの在り方など、考えさせられる。 人類学の視点から小児がん患児を捉えたのが興味深かった。
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