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神も仏もありませぬ の商品レビュー

3.9

21件のお客様レビュー

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2011/06/23

 ”そして、私は不機嫌なまま65歳になった。”  ”7歳も40歳も今でも同じでただ私が驚いている” と。 老いや物忘れの日常を、構えなく綴る。 時々深刻で時々さびしかったりもするけれど、ほとんどあっけらかんと可笑しい。 たぶんそうなんだろうな。 ”金の心配をしながら、90まで...

 ”そして、私は不機嫌なまま65歳になった。”  ”7歳も40歳も今でも同じでただ私が驚いている” と。 老いや物忘れの日常を、構えなく綴る。 時々深刻で時々さびしかったりもするけれど、ほとんどあっけらかんと可笑しい。 たぶんそうなんだろうな。 ”金の心配をしながら、90まで生きたらどうしよう、呆けたらどうしようと、暗闇に突っ込まれた様になったが、ひどくたびたび突っ込まれても、考えたからって、どうなるものでもなかった。一生懸命心配しても呆けない保証もなく、もしかしたら102歳まで生きてしまうのを止める事も出来ず、今運よく心臓発作におそわれるかもしれない。しかしそれは人の力をこえる事だった。” そうなんだ、テキトーなところで去りたいものだけれど、長生きしちゃったらどうしよう、自分では選べない。心配してもしょうがない。 「いつ死んでもいい、でも今日でなくてもいい」の境地?にたどり着き、意味もない小さいことに”ヘラヘラ”喜びたい。

Posted byブクログ

2011/06/20

やっぱり佐野洋子さんのエッセイはいいね。 こういう60代でもいいんだ!!!って気持ちが楽になります。 もちろん、常人ではないすごいエネルギーと才能がおありだった 特殊な人の例なので、凡人以下の自分が真似しても 鼻つまみ者になるだけですが、、、

Posted byブクログ

2010/12/19

佐野洋子さんは無邪気だなあと思う。いい歳をして、子供だなあと思う。そこがめちゃくちゃ羨ましい。 ★人間ってすごい丈夫だよねェ、六十年も動きつづける機械はないよ。毎日使っているんだよ。内臓なんて寝てても一秒も休まず働いているよ。時々手入れなんかすると百年も動きつづけるよ。百年も走...

佐野洋子さんは無邪気だなあと思う。いい歳をして、子供だなあと思う。そこがめちゃくちゃ羨ましい。 ★人間ってすごい丈夫だよねェ、六十年も動きつづける機械はないよ。毎日使っているんだよ。内臓なんて寝てても一秒も休まず働いているよ。時々手入れなんかすると百年も動きつづけるよ。百年も走る車ないよねェ。 ★人間は少しも利口になどならないのだ。そしてうすうす気が付き始めていた。利口な奴は生れた時から利口なのだ。馬鹿は生れつき馬鹿で、年をとって馬鹿が治るわけではないのだ。馬鹿は、利口な奴が経験しない馬鹿を限りなく重ねてゆくのだ。そして思ったものだ。馬鹿を生きる方が面白いかも知れぬなどと。 ★いつ死ぬかわからぬが、今は生きている。生きているうちは、生きてゆくより外はない。生きるって何だ。そうだ、明日アライさんちに行って、でっかい蕗の根を分けてもらいに行くことだ。それで来年でっかい蕗が芽を出すか出さないか心配することだ。そして、ちょっとでかい蕗のトウが出て来たらよろこぶことだ。いつ死んでもいい。でも今日でなくてもいいと思って生きるのかなあ。この日本で。 ★男ってみんなガキなのだ。鈴木宗男を見ているとガキの顔してやってるなあと思う。男が一心不乱になるとみんなガキになる。ワールドカップの男たちが、ちんこいボール一つに文字通り生命をかけて必死の形相でかけ回る。ガキの美しい形相に感動する。昔子供の草野球でも男の子はあんな形相をしていた。ガキの情熱がこの世を作って来たのだ。エジソンもピカソもガキの顔付きで自らに没頭して来たのだろう。小市民もガキの情熱で、つつましく生きているのだ。 ★大衆芸能というものは、大衆が望むから生れるものだろうし、もう大衆は浪曲を必要としなくなったのだろう。しかし私達は、吉本のタレントのバカ話を本当に望んでいるのだろうか。テレビは悪いなあ、どんどん人心を荒廃させていく。誰も人の道など説かない。説く奴はうさんくさい。時代と共に滅んでいったものが戻って来ることは決してない。失ったものの代わりに、私達は豊かな物質生活を手に入れただけなのだろうか。 ★アライさんはひどく記憶力のいい人で、私は「アライさんは学者になれるね」と時々思う。そのアライさんが「俺は、同じ話を同じ人にしないようにしている」と云うのでますます感心したが、「俺は、同じ話を同じ人にしないようにしている」と少なくとも三回は私に云った。そして子供の時十円を盗んで山の木にしばりつけられたという話を、私は何度も聞いている。そのたびに面白いのだが、あのアライさんでさえもの忘れが多少はあるのだ。ああ、他人がもの忘れをするとどうして私はこんなに嬉しいのだろう。 ★私が超美人だったら、きっとひどい嫌な人間になっていたにちがいない。私はブス故にひがみっぽい人格になっている事を忘れて、力弱く我が身をはげまして一生が過ぎようとしている。そして、しわ、たるみ、しみなどが花咲いた老人になって、すごく気が楽になった。もうどうでもええや、今から男をたぶらかしたりする戦場に出てゆくわけでもない。世の中をはたから見るだけって、何と幸せで心安らかであることか。老年とは神が与え給う平安なのだ。あらゆる意味で現役ではないなあと思うのは、淋しいだけではない。ふくふくと嬉しい事でもあるのだ。 ★日本中死ぬまで現役、現役とマスゲームをやっている様な気がする。いきいき老後とか、はつらつ熟年とか印刷されているもの見ると私はむかつくんじゃ。こんな年になってさえ、何で、競走ラインに参加せにゃならん。わしら疲れているのよ。いや疲れている老人と、疲れを知らぬ老人に分けられているのだろうか。疲れている人は堂々と疲れたい。 ★私は深くしみじみ腹のもっと下の方から幸せだなあ、こんな幸せ生れてはじめてだなあ、今日死ななくてもいいなあ、と思うのだった。意味なく生きても人は幸せなのだ、ありがたい事だ、ありがたい事だと、ヘラヘラ笑えて来た。

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2011/07/16

面白かった。佐野さんは少し前までは絵本「100万回生きた猫」の作家で、この間「シズコさん」を読んだ時には絵本作家とはまったく別の顔を見せられて衝撃を受け、今回はとっても自由に生きる一人の魅力的な人間だった。老いてますます元気になんて言わないところがいい。もう引退したい、くらいに思...

面白かった。佐野さんは少し前までは絵本「100万回生きた猫」の作家で、この間「シズコさん」を読んだ時には絵本作家とはまったく別の顔を見せられて衝撃を受け、今回はとっても自由に生きる一人の魅力的な人間だった。老いてますます元気になんて言わないところがいい。もう引退したい、くらいに思っているところがとてもいい。いい人ぶらないしきれいごとじゃない本音も書いている。長生きしてボケることを恐れている。そうかー、そうだよなー、そうなるのかもしれないなーと、何度も思いました。

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2010/03/23

ちょうど「ジャージの二人」とこちらを同時に読んでいて・・・ 長嶋有&父が登場したのが、なんだかうれしかった。

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2009/10/04

「100万回〜」の絵本で有名な佐野さん。 初めて読んだエッセイがこれ。 面白かった。なんか辛口で。 そして確かこの本で、長嶋有さんのことを知った。

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2009/10/04

この人の文章は、軽やかでさっぱり(サバサバ?)していて読んでいて気分がいい。生き方、考え方もさっぱりしていそうだ。そして暮らしが楽しそう。そんなエッセイ。わたしなぞは爪のあかを飲ませていただく必要がありそう…。

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2009/10/04

「百万回生きたねこ」の作者。 自分は何も変わってないと思うのに、時間は容赦ないんですね。 「ふつうがえらい」もおすすめ。

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2009/10/04

佐野 洋子さんのユーモア光るエッセイ。ストレートで潔い著者の語りが胸に響きました。歳をとるのってそういうもの?どの年代の人が読んでも勇気づけられる一冊な気がします。

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2009/10/04

『神も仏もありませぬ』(筑摩書房)を読む。この佐野洋子さん、なんだかとっても面白い人。御歳65歳。鏡に映ったご自分の容姿にぎょっとしたり 過激な言葉を宣ってみたりと とても正直で、且つかわいらしいの。どんな女性なんだろう。豪快で繊細。文章も個性的で、所々 『_・)ぷっ』って笑える...

『神も仏もありませぬ』(筑摩書房)を読む。この佐野洋子さん、なんだかとっても面白い人。御歳65歳。鏡に映ったご自分の容姿にぎょっとしたり 過激な言葉を宣ってみたりと とても正直で、且つかわいらしいの。どんな女性なんだろう。豪快で繊細。文章も個性的で、所々 『_・)ぷっ』って笑える。ユーモアがあるんだね。 絵本『百万回生きたねこ』(有名なんでしょ?)を描いた絵本作家さん。この『神も仏も・・』は彼女のエッセイ集だ。 佐野さんは、生きていることにいくつになっても慣れきっていないところが素敵なんだよね。。冗談みたいなこと言いながらも、生きていくことに対して本当に謙虚。そして 歳とったなどとおっしゃってはいるが 今を生きているのよね。格好良くもある。子供みたいな瑞々しい感性にも、脱帽。佐野さんのように歳をとれたらなぁ。でもあんな風になれる人はあんまりいないだろうな。 結婚は何度かされていたらしいけれど、現在は軽井沢にお一人でお住いだ。以前は深大寺にお住いだったらしい。いろんな人に囲まれながら、人間っぽく 考えたり、あがいたり、楽しんだり、悲しんだり、笑ったり、泣いたり。 今日も佐野さんは、この空の下でそうやって生きているんだろう。こういう自由な人もいるのね。。。とナゼかすごく元気がでてくる本なのだ。生きていくのも悪くなさそ・・とそんな気にもさせる。佐野さんはいいよ。

Posted byブクログ