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柿の種 の商品レビュー

4.2

55件のお客様レビュー

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物理学者で、夏目漱石…

物理学者で、夏目漱石の弟子であった、寺田寅彦による短文集である。ひとつ、ひとつ文章の長さにかかわらず、様々なことを考えさせられることばかりである。

文庫OFF

物理学者であるがこの…

物理学者であるがこの詩的センス。絶品です。

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漱石の弟子にはエッセ…

漱石の弟子にはエッセイの妙手が多かったが、その中でも著者のエッセイは格別である。関東大震災を予言した名言「天災は忘れた頃に来る」という語も著者の言葉。是非一読を。。

文庫OFF

2024/06/11

大正時代の終わり頃から亡くなる直前の昭和10年までの間に、小冊子の巻頭に載せた短文集。エッセイと言えばエッセイなんだけど、随筆という方がしっくりくる。巻末の解説が寺田寅彦のイメージをうまく説明しており、納得がいく。日常の情景(この人はいろいろなところで昼ご飯を食べるが、そういう時...

大正時代の終わり頃から亡くなる直前の昭和10年までの間に、小冊子の巻頭に載せた短文集。エッセイと言えばエッセイなんだけど、随筆という方がしっくりくる。巻末の解説が寺田寅彦のイメージをうまく説明しており、納得がいく。日常の情景(この人はいろいろなところで昼ご飯を食べるが、そういう時にふと視界に入ったもの)に対していろいろな想像を働かせ、それを一般化したうえで人間社会の矛盾や科学技術の行き過ぎた進歩などに対して素朴な疑問を呈する。そこが科学者でありながら、とても人間臭くて読む人の心を打つのだろう。

Posted byブクログ

2024/03/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本と対話しながら感想を書いてました。それをそのまま転記します。ネタバレ注意です。 ・寺田寅彦、夏目漱石の弟子。物理学者。 ・一発目の「土の善し悪し」で、今と昔も環境に左右されるのは変わらねえんだなと思った。 ・一節目からこの世の真理というか、当然の事をズバッと示された。共感する。日常と詞歌の間にはガラスがあるのみ。ただし穴が空いている。誰でもやろうと思えば通れる穴。通り抜けているうちに(触れているうちに)穴は大きくなり何時でも行き来できる。これはなんにでも当てはまる。俺だってギター弾かなくなったら下手くそになるし。 ・p14,スッポンが鳴いた話好き。固定観念に囚われている人々を表現できている。何が証明されていて、何が証明されていないから結論はこうだ!と言える人になりたいなあ。 ・p18,犬のあくび新聞。俺にもあくびが移った。 ・p20,人と自然の間には、想像もできないような関係があるかもしれない。それはまさにその通り。所詮、学問を完璧に完成させることは人類滅亡までには不可能なのではないかと考えてしまう。不完全な学問を前提に生活しているのが我々。一方で、理論に基づいて機械等は動くからそれでいいじゃんとも思える。 ・p21,巻雲はスースー雲。その通り。巻かれてないもん。スースーしとるもんな。 ・p25,身の回りの些細な変化でさえ恐怖になる。共感する。俺親知らず抜いた時同じことを思った。ただこいつは俺より気にしすぎな人だったらしい。文末の「坊主になった」は、髪型の変化を嫌って意図的に坊主にしたのか?それか気にしすぎて病んで病気になった?割と好きな詞かも。 ・p27,「非音楽的な耳」と決めつけるのはどうなのw そういう曲が存在するのは知っている。それもまた何か意図があって作曲された曲と思うし、ピアニストとしてそれを表現したかった可能性もあるんじゃないか?もしくは非音楽的な耳の持ち主で、ただ記録更新したかっただけかもしれないね。 ・p28,共感しかない。確かに目は閉じることができるが耳は閉じれない。鼻もそう。どんな進化を経た結果なんだ?生まれた瞬間からその状態。ただ、目が閉じられない状況もあるよねと突っ込んでしまったが、そういう話をしたいんじゃないんだろうからスルー。 ・p29,宗教と科学の話。調べたところ、宗教は脳死で何かを信仰しているらしい。だから理不尽で筋の通らない言い訳をして戦争なんか始まるんや。てっきり、宗教の起源は科学と思っていたが、違うらしい。例えば、火を神とするゾロアスター教?アヴェスター?なんか、火起こしは科学やろ!なんて思ってしまうのだが…当時は科学が発展してなかったからしゃーないんかね?2024年に生きてるから昔の価値観は分からん! 宗教なんて今では戦争するためのツールにしかなってない気がする。科学の檻にぶち込んどかないとダメなんじゃない?要は寺田寅彦に同意する。 ・美術評論家の点数付けの話、1+1は2という世界しかないと思い込んでいるヤツらの話。例えば、ベクトルは向きによって0-2の値を取るので1+1は2という考えは安直だ。固定観念に囚われているという話をしたいと思うのだが、寺田自信でその後(前か?)、俳句を例に、俳句のルールがあり、それに従ったものは俳句になる。従わなければ俳句ではない何かになる、と言っている。あくまで「美術評論」というものになるために1+1は2を使っているのであって、もしかしたら彼らも固定観念に囚われている訳では無いのかもしれない。ルールに縛られた評論家と作者の対話ではないか? ・p103,人形のような人の話。自分の意見(心)を宿さないと人形と同じという意図と捉えた。社会人になると、今までの自分を振り返ると心に突き刺さる。以下に「誰かの言いなり」だったかを痛感させられた。ただ今はどうであろうか?今は「これがやりたい」「こうあるべきでは?」等の自分なりの考えをやっと持てて来た気がする。人形から人になりつつあるのだろうか。そう願いたい。 ・p219,個人的に好きな詩。仕事に忙殺されて、帰宅する際に幸せを感じることがあるだろうか?あるならそれは幸せなことで、社会人から一個人にしっかり戻れている証拠かもしれない。経験上、社会人のまま帰宅し、社会人のまま風呂飯を済ませる。寝るまで社会人かもしれない。なんと不幸なことかと今思う。幸せは色んなところに転がっているはずなのに、それを見つけることが出来ない。それは、土曜日と日曜の夕方まで社会人として生きているからなのでは無いだろうか?

Posted byブクログ

2023/10/31

物理学者にして文学者、さらには音楽家だったという寺田寅彦のマルチな才能を垣間見ることができた。 自然現象や、動物の生態、人の行動特性とか、身の回りで生じていることへの観察眼が多角的で冴えている。 師匠の夏目漱石同様、猫が好きだったみたいで、可愛らしい側面も垣間見える。 晩年は、日...

物理学者にして文学者、さらには音楽家だったという寺田寅彦のマルチな才能を垣間見ることができた。 自然現象や、動物の生態、人の行動特性とか、身の回りで生じていることへの観察眼が多角的で冴えている。 師匠の夏目漱石同様、猫が好きだったみたいで、可愛らしい側面も垣間見える。 晩年は、日々病に蝕まれるなかで、人間の身体について淡々と描き続けていた様子が分かった。 当時は、自由に海外旅行へ行ったり、インターネットで情報収集したりできない時代だったが、寺田氏は視野が広くて自由な発想を持ち、時には婉曲的に、ソフトに社会を批判していたのだろう。 他の随筆集も読んでみたい。

Posted byブクログ

2022/11/08

物理学者であり俳人の寺田寅彦による、余所行きではない散文集。夏目漱石の門下であったということは知っていましたが、氏の文章に触れることは初めてだと思います。生活の中の何気ない出来ごとが綴られ、それが現在にも通じるところが多々あり興味深い。 印象に残った一文。「眼は、いつでも思ったこ...

物理学者であり俳人の寺田寅彦による、余所行きではない散文集。夏目漱石の門下であったということは知っていましたが、氏の文章に触れることは初めてだと思います。生活の中の何気ない出来ごとが綴られ、それが現在にも通じるところが多々あり興味深い。 印象に残った一文。「眼は、いつでも思ったこ時にすぐ閉じることができるようにできている。しかし、耳のほうは、自分では自分を閉じることができないようにできている。なぜだろう。」(p28)

Posted byブクログ

2022/09/21

科学者らしい慎重さと緻密さをもって描かれた随筆。 科学と人間の奥底にある精神を結びつけて考えるアプローチは、わたしも大切にしたい。

Posted byブクログ

2022/09/04

寺田寅彦が俳句雑誌「渋柿」に載せた短文を集めた「柿の種」「橡の実」からの176篇をまとめたもの。随筆の名手の、さらに短い文章が、寺田寅彦の心境、想いを、より深く伝えているようで、興味深く読みました。

Posted byブクログ

2021/09/29

日常の中の不思議を研究した物理学者で随筆の名手としられている寺田寅彦の短文集。何気ない日常を科学者の目と文学者の目とで見つめた彼の眼差しは科学は決して万能ではないこと、人の心を離れては科学は危険であり、また意味を成さないことをよくよく知っていたのだと思わされます。文章から滲み出る...

日常の中の不思議を研究した物理学者で随筆の名手としられている寺田寅彦の短文集。何気ない日常を科学者の目と文学者の目とで見つめた彼の眼差しは科学は決して万能ではないこと、人の心を離れては科学は危険であり、また意味を成さないことをよくよく知っていたのだと思わされます。文章から滲み出る優しく、温かみのある雰囲気は彼の人柄をそのまま表しているかのようです。秋や冬の日、温かい陽だまりの中でのんびり読むのに相応しい1冊。

Posted byブクログ