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屈辱ポンチ の商品レビュー

3.6

69件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    26

  3. 3つ

    20

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2011/07/10

『「私はもっと有意義な人生を送りたい」という捨て台詞を残して妻が英国に留学してからこっちおかしなことばかりおこりやがるのであって、まず第一に仕事が完全に途切れてしまった。』 『どないしょ。どないしょ。と呟きつつ、ふらふら家に立ち帰ったのである。こんなことを言ってもなんにもならぬ...

『「私はもっと有意義な人生を送りたい」という捨て台詞を残して妻が英国に留学してからこっちおかしなことばかりおこりやがるのであって、まず第一に仕事が完全に途切れてしまった。』 『どないしょ。どないしょ。と呟きつつ、ふらふら家に立ち帰ったのである。こんなことを言ってもなんにもならぬのが分かっていながら、人はなぜこんなことを言うのだろうか、なんて考えながら。』 『自分は激怒した。だってそうだろう、いくら自分がこの三ヶ月庭を顧みなかったからといって、他人の邸内、しかも御近所の庭にゴミを投げ捨てていいという法はない。いくら妻が留学したからといって人を馬鹿にするにもほどがある。』 『けど、それにはやはり誠意が?』 『それは必要だろうね』 『もう俺、あんまり誠意がないんですけど』 『まあ、さっきの誠意の半分くらいでもいいけど』 『さっきの誠意なんだけどね、領収書貰える?』 『青森リンゴ娘式キャンペーン・町おこしの一環なのかも知れぬ』 『佐志は俺の俳句より寝ることの方が重要だと言ったわけだから階上で寝るのは俺は認めないよ。ここで、この部屋で寝ろよ。いいな。そのかわり、俺はここで寝ないで俳句を作るけど佐志は寝ろよを俺はここで命がけで俳句を作る。佐志は命がけで寝ろよ。絶対寝ろよ』 『田島の肉責め酒責め俳句責めは当人の意思に反して不法に監禁したってことになるんじゃねぇの?』 『純喫茶「悶」の不審な猿連れの客、ということで自分が捜査線上に上がるのは時間の問題といえるのである。』 『お互い気楽なときに会って、また楽しい会話をしよう。結句、それが友情を長続きさせるこつだ。』 『こんなぼけに引っかかるような自分ではない。注意していれば大丈夫だ。ビーケアフル。』 『跋丸ってのはどんな奴だ』 『けっこう背が高くて跳び箱が得意』 『しかしこうしてつくづく眺めてみると鳩というものは、みな同じように見えてその実、一羽一羽、様子の違うもので、もっとも一般的な灰色の奴がいるかと思ったら茶色のがいる白いのがいる、また、それらが混じり合ったような複雑な模様のもいて、いずれにしても天晴れなのは、それだけいろんなのがいながら、一羽として、美しいなあ、と思う色のがいねぇってとこである。みな汚い。』

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2012/02/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

抱腹絶倒。相変わらず主人公は貧乏で反社会的だけど、シュールさで攻撃性をぐにゃりと曲げる芸がある。個人的にツボだったのは「婆の駒」と、四万円の高級牛肉を荒縄で縛り塩化ナトリウムを大量に振りかけ卑猥な写真を貼り付けたダンボールに入れて跋丸に送りつけるところ。

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2011/04/13

十数年ぶりに読んだ町田康の著作。独特の文体と一本気な登場人物のキャラクターは相変わらず。が、なぜか全く心に響いてこない。たまたま本作が合わないのか、自分の気分が町田康の作風に合わないのかはわからないが、とにかく読み進めるのが苦痛に感じた。しばらく時間を置いてからまた読んでみようっ...

十数年ぶりに読んだ町田康の著作。独特の文体と一本気な登場人物のキャラクターは相変わらず。が、なぜか全く心に響いてこない。たまたま本作が合わないのか、自分の気分が町田康の作風に合わないのかはわからないが、とにかく読み進めるのが苦痛に感じた。しばらく時間を置いてからまた読んでみようっと・・・

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2011/03/30

映画を見たときはさっぱり意味が解らなかった。画的には正解だと思うよ! 表題作と「けものがれ、俺らの猿と」の二篇収録。

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2011/01/12

A面B面、共にやっぱり不条理物語。『けものがれ、俺らの猿と』が良かった。 町田康独特の、流れるような長い長い1文の文章を楽しめる作品。 虫とか泥とか不快感とか、それらを嫌悪感持たせつつ陽気に書かせたらぴかいち。 MVP:田島

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2010/12/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

9月13日(土)、収録作品の一つ目「けものがれ、俺らの猿と」を読み終わった。 なんだかワケがわからない。 町田康の作品は前回エッセイだったのだが、小説も同じようなノリ。 これって、どうなの? 好き嫌いを問われればキライじゃないけど、時間を割いて読むほどのものかどうか・・・。 とりあえず、今回は一冊なんとか読み切ろう。 ちょっと休むけど。 読み終わったけど、イマイチよくわからん。 気合いを入れて読むほどのモノではないな。

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2010/09/21

もう完璧に町田康の小説世界に生きる主人公が友人に頼まれて人に嫌がらせをする話。 僕等も一応考える事は考えるかもしれないけど口には出せないような変な事を主人公にさせたりする。ってあたりが町田さんの凄さであると同時に小説の凄さか。

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2010/09/14

久しぶりに強烈な文体に出会った感じ。 なんて破天荒。ストーリーも文章も。 かなり突き抜けてしまっていて、正直、ついていくのが大変です。 いろんな意味でタダモノではないです。こんな文章が書ける人は。 「屈辱ポンチ」という本に納められた、2編のうちの1篇が「けものがれ、俺ら...

久しぶりに強烈な文体に出会った感じ。 なんて破天荒。ストーリーも文章も。 かなり突き抜けてしまっていて、正直、ついていくのが大変です。 いろんな意味でタダモノではないです。こんな文章が書ける人は。 「屈辱ポンチ」という本に納められた、2編のうちの1篇が「けものがれ、俺らの猿と」。 タイトルからして意味不明ですが、Getting wild with our monkey.という副題が。 これ、確か映画化されたような。だいぶ前ですが。 妻が留学してしまった(=逃げられた)売れないシナリオライターである主人公。生活は荒む一方。 そこに映画のシナリオの話が舞い込んでくる。 そこから悪夢のような散々な目にあいまくる、という話。 主人公の俺、の一人称で語られていて、俺が狂っているのか、それとも世間が狂っているのか、混沌としたまま、どんどんと話が進行していきます。 怖くて、グロくて、かなりつらい、ながらも、独特のリズムでがんがん進む文章はむきだしのパワーを読み手に叩きつけてきます。 これは刺激的。 日常生活へのカンフル剤として読みたい作家。 はっきり言って、通勤読書には向いていません。 こちらの世界に体がなじむまで時間がかかります。 それに、あの、食肉虫が(以下略)。

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2010/07/09

初町田作品。町田康はなんとなく敬遠し続けてきたのだが、突然、町田康が読みたいと思い。とりあえず読みやすそうなこれから。 「けものがれ、俺らの猿と」 「屈辱ポンチ」 なんの繋がりもない短編2作品収録。 タイトルの屈辱ポンチより、けものがれ~の方がボリュームがある。 文体にやられ...

初町田作品。町田康はなんとなく敬遠し続けてきたのだが、突然、町田康が読みたいと思い。とりあえず読みやすそうなこれから。 「けものがれ、俺らの猿と」 「屈辱ポンチ」 なんの繋がりもない短編2作品収録。 タイトルの屈辱ポンチより、けものがれ~の方がボリュームがある。 文体にやられた。あばばば。 町田康ってこんな人だったのか。 もっとスマートな文章を書く人なのかと勝手に思っていた。 感想としては「で?」ていう。 初めて体験する文体・世界観だった。 別段おもしろくも惹きつけられる展開でもないが、急な坂道を勢いをつけて下ってたら止まろうと思ってもなかなか止まれなくなってしまったような。 現実のようで全然現実的じゃない世界になんだかイカれてしまったような気分にもなってくる。 とっとっとっとっと。 とにかく句点がなく、おもいつくままに主人公の心情がだらだらだらと次から次へ垂れ流され、いちいち一文が長く、ちくしょう読みにくいな全く、なんて思っているうちに、あらあらあらとテンポに乗せられてぺろぺろとページをめくっているのである。 読んだところでなんのためにもならないような話だが、町田ワールドにトリップしたい人にはおすすめしたい。 個性的な文体と言葉選びで、読後はついつい町田節で物事を考えてしまっていたりする。 これでもう少し内容のある作品だと非常に助かるのだが、それは贅沢かもしれない。 屈辱ポンチの帆一と岡倉コンビは腐的には萌えではなかろうか。

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2010/07/03

【本の内容】 ひょんなことから跋丸への復讐をすることになった「自分」と帆一。 考えつく限りの嫌がらせを実行するものの、なぜかうまくいかない。 無言電話、百枚の白紙ファックスを送るエスカレート戦術もうまくいかない。 そんな二人の珍道中を独特の文体とリズムで描く表題作と「けもの...

【本の内容】 ひょんなことから跋丸への復讐をすることになった「自分」と帆一。 考えつく限りの嫌がらせを実行するものの、なぜかうまくいかない。 無言電話、百枚の白紙ファックスを送るエスカレート戦術もうまくいかない。 そんな二人の珍道中を独特の文体とリズムで描く表題作と「けものがれ、俺らの猿と」の二篇を収録。 [ 目次 ] [ POP ] 友人に頼まれて復讐する事になった「オレ」と手下の帆一との珍道中を描く表題作と「けものがれ、俺らの猿と」の2篇を収録した短篇集です。 2篇とも、笑いと不条理で惨めさと現実を描いていて、主人公がテキトウなくせに大真面目なのがよいですね。 ともかくストーリーなんて、あるようでないけど、なんだかんだとテキトウながらに筋道つけないといられないのが可笑しいやら悲しいやら。 ここで、あらすじを書いてみると、「けものがれ、俺らの猿と」は、売れない脚本家の俺に、ベテランプロデューサーという爺さんから、映画脚本のオファーが来きます。 ゴミ処分場をめぐる環境問題を扱った社会派的愛と友情とバイオレンス映画のシナリオ執筆のため、爺さんの言うがままに取材などを行うのだが、取材先では決まって暴力沙汰に巻き込まれる話。 「屈辱ポンチ」の方はと言えば、貧乏パンクロッカーの俺は、いい暮らしをしているぼんぼんの浜崎の家に転がり込もうとしたが、浜崎はなにやらラリって跋丸に復讐してやるなどと訳のわからないことをほざいていた。 その場はなだめて収めるのだが、次の朝浜崎は消えていて、かわりに帆一という男がいる。 帆一は、この金で跋丸を頼む、と浜崎が言っていたという二十万円の札束を示すので、俺はその金を元手にして跋丸への復讐をすべく、その方法を考える。 とまあ~こんな感じなんだけど、あらためて文章がものすごくいいなあ~と(笑) 乱暴に書いているようで、ものすごーくリズムに気を遣っていて、むちゃくちゃ語彙が豊富でしかも絶妙に繰り出されるので、酔っ払いそうなくらい気持ち良く感じられます! 最後のオチもあるようでないのがグッド! ともかく不条理で荒唐無稽で意味不明でハイテンションで道徳観がなくて、なんだこれ?っていう支離滅裂な奇譚な物語は、いつもどおりのシュールで馬鹿馬鹿しいけど、文体の疾走感を楽しみニヤニヤと笑う、そんな作品ですね(笑) [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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