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ねじの回転 の商品レビュー

3.8

114件のお客様レビュー

  1. 5つ

    34

  2. 4つ

    30

  3. 3つ

    40

  4. 2つ

    6

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2024/01/16

面白かった。 新型コロナよりもずっと前に、 未来に未知の疫病が蔓延していることなど、 著者の発想がすごい。 ただ、なぜ2.26事件を歴史の転換点と 捉えたのかはちょっと考えたい。 青年将校たちのクーデターで、 確かに陸軍の統制派は皇道派を追いやることができた。 ただあのクーデ...

面白かった。 新型コロナよりもずっと前に、 未来に未知の疫病が蔓延していることなど、 著者の発想がすごい。 ただ、なぜ2.26事件を歴史の転換点と 捉えたのかはちょっと考えたい。 青年将校たちのクーデターで、 確かに陸軍の統制派は皇道派を追いやることができた。 ただあのクーデターが成功して、 思惑通り昭和維新が行われていたとしても、 結局昭和天皇は戦争に突入していただろうし、 親政も長続きはしなかったはず。 どちらにせよ欧米列国を敵にまわして、 壊滅的な被害を受けることは避けられなかっただろう。 軍事大国化が進みすぎて、コテンパンに叩かれ、 アメリカに占領された未来だってあったはず。 であれば、国を憂いて行動を起こした 青年たちの想いはなんだったのか。 決してムダだったなんて思いたくはない。 この本をきっかけに、昔から興味を持っていた 2.26事件にあらためて向き合ったが、 クーデターが成功しても、失敗しても、 近現代の日本に明るい未来はなかっただろう。 歴史にifはない。けれど考えてはみたくなる。 それを見事なエンターテインメントに昇華させた 傑作と言っていいだろう。天才だね恩田陸は。

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2023/05/21

中盤から一気にテンポが上がって面白くなってきた。 組織である以上それを動かすのは力関係と政治。政治と経済を抜きにした活動など、所詮絵空事に過ぎない。 自分もまだまだ青いのかな。

Posted byブクログ

2022/05/03

実際の2.26事件を知らなくてもわかります。 読み出しは少し抵抗感がありましたが、だんだん引き込まれて最後まで一気に読み終わりました。 面白かったです。

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2021/04/23

全体として陰鬱な空気。ミステリアスなというのでもなく。舞台が日本で戦争前の起点と言われる二・二六事件が舞台。歴史をやり直せるSF 要素があり。事件を見守る未来の人間側は空気感が違うのだけど、歴史を続ける側の兵士一人一人の気持ちとなると、苦しくなる。 ただし、どちらも好奇心が行動原...

全体として陰鬱な空気。ミステリアスなというのでもなく。舞台が日本で戦争前の起点と言われる二・二六事件が舞台。歴史をやり直せるSF 要素があり。事件を見守る未来の人間側は空気感が違うのだけど、歴史を続ける側の兵士一人一人の気持ちとなると、苦しくなる。 ただし、どちらも好奇心が行動原理になっている。この歴史を変えたらどうなるか。熱がうくまま進んだらどうなるか。それに伴う結果に思いを馳せる前に動いてしまう好奇心。 人間の原理はそこなのかもと思わせられた一冊。タイムパラドクスは、ちょっと混乱した。

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2020/09/27

小説の中とはいえ、こう何度もタイムマシンが描かれていると、もしかしてもうすぐにでも実現するんじゃね?って気分になってくる。そんな甘くはないんだろうけど。 今回の旅の目的地は226事件の東京ということで、やや重苦しい空気が漂ってるんだけど、意外となんで226の後に軍部が力を握ったの...

小説の中とはいえ、こう何度もタイムマシンが描かれていると、もしかしてもうすぐにでも実現するんじゃね?って気分になってくる。そんな甘くはないんだろうけど。 今回の旅の目的地は226事件の東京ということで、やや重苦しい空気が漂ってるんだけど、意外となんで226の後に軍部が力を握ったのかとか、ちゃんと説明してもらったの初めてかも。この年になってやっと理解できたわ。他にも石原莞爾ってどんな人なの?てなこととか、調べちゃうのがまた楽しいじゃないか。

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2020/03/30

226事件を題材としている。そこにタイムパラドックスを 取り込み、さらにAIDS(エイズ)ならぬHIDS(未来の病気)を織り交ぜているのだが。 何度でもタイムパラドックスが出来てしまうと、面白みに欠ける。 私の所感だか、恩田陸節(独特の発散、読者に委ねる)炸裂なのかもしれない。 ...

226事件を題材としている。そこにタイムパラドックスを 取り込み、さらにAIDS(エイズ)ならぬHIDS(未来の病気)を織り交ぜているのだが。 何度でもタイムパラドックスが出来てしまうと、面白みに欠ける。 私の所感だか、恩田陸節(独特の発散、読者に委ねる)炸裂なのかもしれない。 NHK歴史ドキュメンタリードラマ(日露戦争~第2次大戦)を見たことがあるので、世間では知られていない事実をうまく表現しても良かった気がする。 私だったら、歴史を変えるのではなく、歴史上の人物の印象・謎を変えるかな。よく、なぜか、昔の書簡が出てきたり、科学分析で見方が変わることがあるのだから。

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2018/10/19

歴史の転換点として1936年2月26日からの四日間を繰り返すことになった人々の戸惑いと意思を描く。近未来の国連は、全世界で歴史の転換点となった事象を再現することで現在の世界を救おうとしていた。そして日本では、選ばれたのは2・26事件である。

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2016/01/09

好きか嫌いかで聞かれたら、あんまり好きじゃない作品だけど…なんてゆうか、あまりに練られていてアザトサを感じちゃう…でも、やっぱり描写力が凄い!

Posted byブクログ

2020/01/26

タイムパラドックス  きれいにオチが決まるなぁ。前半は少しだるいけど、後半の加速は心地良い。エピローグの時間遡行発明話もすばらしい。フィラデルフィアみたいな感じだが、厚い本を一気読みだな。

Posted byブクログ

2015/01/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

歴史に「if」があるならば。 時間遡行術が発明された世界。 人類は、起きてしまった悲惨な事件を未然に防ぐために、過去へ遡り、歴史を修正するプロジェクトを実施していた。 しかし、このプロジェクトは副作用として、人類にHIDSという病をもたらす。 国連は、このHIDSを食い止めるためにも、更なる歴史修正プロジェクトを続行させていた。 今回、国連が修正介入点として選んだのは、日本陸軍青年将校が起こしたクーデター、二・二六事件。 歴史の修正には、「現代」のスタッフだけでなく、 「当時」の重要人物の協力が必要であるが、 本件では、のちに首謀者として死刑となる安藤大尉・栗原中尉が選抜される。 彼らは、こうして「2度目」の二・二六事件を生きることになる。「1度目」の記憶を持ったまま。 国連スタッフからは、「歴史は自己を修正するので、1度目と同じように生きるように」と言われるが、 彼ら自分たちが無念・失意の中、処刑されることを知っているため、 なんとかして、自分たちの目的を果たす方法・散り方を選ぶ方法がないかを考え、実際に行動に移してみる。 その中で、多少の誤差は許されること、大胆な変化をすると修正が失敗しプロジェクトが一時中断することを学んでいく。 安藤たちの試みにより、ただでさえ中断続きのプロジェクトなのだが、 更にメカ不調やハッカー侵入など、トラブルが相次ぐ。 二・二六事件の修正は無事に終了できるのか。 そして、この修正により世界は、良くなるのか。 約10年ぶりの再読ですが、色あせない。やはり面白い。 タイムトリップものはよくありますが、 それの題材に二・二六事件を選択したところが秀逸ですよね。 そして序盤から伏線のオンパレード。(今回は首尾よく回収されます。途中のfragmentもお見逃しなく。) 構成も巧みで、ディテールも(比較的)しっかりしていて、文章も流麗。 これぞ、恩田陸!という作品です。大好きだー。 完全ネタバレですが、 自分の覚えのために、少し最後の部分を整理すると、 A 歴史上の再生時間。 B Aの不一致の時間。スタッフの時間。Aをつまめる。   ジョンはここから最終兵器マツモトをつまんでいる。   逆上がりができないよ!→少年時代につまんで、マツモトは自分の逆上がりを補助   栗原が安藤を撃つ。   マツモトはピリオドを破壊して、自力でB→Aの世界へ。   そのタイミングでジョンがAの世界を少しだけ遡行。   安藤を生き返らせる。 よくできてる。本当に。 この本は 「正しい歴史」「良い未来(現代)」について読者に考えさせます。 それらは、立場次第で変わる。 そして、ほんの少しのきっかけで、がらりと変わる。バタフライ・エフェクト。 考えれば考えるほど、安藤と栗原を選択したのはまちがいでしたね。 そりゃ、一度失敗したら学びますよ。人間だもの。 安藤といい、栗原といい、できた人なら尚更。 いくら安藤を死なせたくなかったとはいえ、 そのチョイスが最大のミスでしょーと突っ込みたくなる。 今回もいろいろ心惹かれる小ネタがありました。 ・日本人は悲劇趣味かつ思いやりのオンパレード ・好奇心は理性・知性・タブーなどのすべてを凌駕する ・時間遡行術を持った王国が結局は滅びる話。 などなど。ほかにもいっぱいあった気がする。 もう一度、二・二六事件について調べてみようと思う。

Posted byブクログ