「われ」の発見 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
佐佐木幸綱という人がどの時代の人なのかは、利綱・徳綱・弘綱・信綱・治綱・幸綱と6代にも及ぶ系譜を見て吃驚です。そして父治綱、祖父信綱とも先代の存在感の大きさと闘ってきた歴史の重みを感じました。 「歌人おほかた 虚空に遊ぶ 青葉時 たのみの綱の佐佐木幸綱」という歌の面白さ、というか、大変さを鶴見が指摘しているのは新鮮です。二人の対話に出てくる与謝野晶子の衝撃性というのが、明治時代であればこそ痛感しますね。幸綱が紹介するのは次の歌などです。 「今はゆかむさらばと云いし夜の神の御裾さはりてわが髪ぬれぬ」確かにあまりにも大胆です。 死刑囚の歌人が多く、なぜ俳人がいないかを、歌は日常的、俳句を非日常的、そして死刑囚は言葉を大切にするから、と二人が説明するところも納得です。連赤事件の「坂口弘歌集」などもあるのですね。
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