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果てしなく美しい日本 の商品レビュー

3.8

18件のお客様レビュー

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2012/10/25

日本人より日本についての造詣の深いキーンさん。30年くらい前の日本についてのわかりやすい説明が出色。

Posted byブクログ

2012/07/20

第一部「生きている日本」は、アメリカ人向けに書いた現代日本だそうだ。日本人が日本に書いたものより、キーン氏が書いた日本についての指摘の方が正鵠を射ている。日本人が他民族とは違っている(特に戦前戦中においての優越感情)と感じているのは、島国感情だと指摘されている。「今日の日本は、過...

第一部「生きている日本」は、アメリカ人向けに書いた現代日本だそうだ。日本人が日本に書いたものより、キーン氏が書いた日本についての指摘の方が正鵠を射ている。日本人が他民族とは違っている(特に戦前戦中においての優越感情)と感じているのは、島国感情だと指摘されている。「今日の日本は、過去がいまだに駆逐されずに生き続けている現代国家である」と著者は喝破する。

Posted byブクログ

2012/07/15

本著は三部構成で、第一部は1973年に海外向けに書かれた日本人論を邦訳したもの。第二部、三部は1992年、1999年の講演会の書き下ろし。 第一部の日本人論は少し古臭く、現代に置き換える違和感ある箇所もあり。 第二部、三部は歴史も振り返り、過去、日本に滞在した外国人からの日本人論...

本著は三部構成で、第一部は1973年に海外向けに書かれた日本人論を邦訳したもの。第二部、三部は1992年、1999年の講演会の書き下ろし。 第一部の日本人論は少し古臭く、現代に置き換える違和感ある箇所もあり。 第二部、三部は歴史も振り返り、過去、日本に滞在した外国人からの日本人論など、興味深い記載も少なくない。ただ、第二部、第三部で内容が重複する部分が多く、少々残念。 日本は中国、朝鮮、また西欧から大きな影響を受けてきたが、それを巧く日本流に取り込み、一方で、独自の日本文化、日本人観を育んできた、この能力、独自性が日本の強みであり、エッセンスなのだろうか。 「日本人の世界意識」が触れられているが、日本人は遠い昔から世界(外国)があることを知っていた、という考え方は目から鱗が落ちる。古くは日本にアジア大陸から多くの移民が入ってきて、日本人は日本人以外の人間がいるということをよく知っていた、という。 それが永く日本人の潜在感にインプットされている、という考察。 以下引用~ ・中世に日本を震撼させた無数の内乱で敗北を喫した将軍たちにとって、外国に隠れ家を求めることはまったく不可能だった。実際、逃れる道は皆無で、屈辱的な囚われの身になるまいとすれば、残された唯一の選択は自殺以外にはない。 ・今日の日本の至るところにある古いものと新しいものとのさまざまな葛藤と折衷は、日本人の精神や感情についても見出される。いわば、日本的矛盾の内外一致性ともいうべき現象である。佐久間象山は「東洋道徳、西洋技術、清粗不遺、表裏兼該」と主張した。 ・当時の日本の文化について大作を書いたヨーロッパ人がいます。医者です。出島にはオランダ人が五、六人しかいなかったのですが、一人は医者でした。他の人は純粋な商人にすぎなかったのです。 ・あじさい、あやめ、つうじ、ゆり、さくらなど、こういう植物はそのころまで、ヨーロッパでは知られていなかったものなのです。・・・シーボルトが種を持って行ったものなのです。 ・千年もの間、日本人は中国文化を敬い、多くのものを借入してきましたが、日本独自のやり方を根本から変えはしませんでした。茶、醤油、箸、豆腐などを中国から取り入れたものの、依然として、中国料理と日本料理が混同されることはありません。 ・日本文化は西洋に深い影響を与えてきました。建築家たちがよく口にする「簡素に美あり=Less is more」という言葉には、西洋の伝統ではなく、日本的な好みが表れています。とりわけ、簡素さを好む思想は日本文化の基礎であり、外国では比較的まれなものです。

Posted byブクログ

2012/01/10

美しい日本は世界に誇れる文化である。とある日本の誰かが言うような高等な価値観や知見は僕は持ってないけれど、日本の日常を日々確実に味わっている。汚いところが見えるけれど、確かに「美」を飾っていることが実感できる。それには果てがない。地獄の如く果てがない。

Posted byブクログ

2011/09/06

日本文学研究者ドナルド・キーン氏の、日本観についてまとめた一冊。 もともと、アメリカ向けに日本を紹介するために執筆したための本ですが、日本語版として翻訳・編纂されたのが本書になります。さらには、第一部『生きている日本』のオリジナルが1973年に刊行されたものであるから、21世紀...

日本文学研究者ドナルド・キーン氏の、日本観についてまとめた一冊。 もともと、アメリカ向けに日本を紹介するために執筆したための本ですが、日本語版として翻訳・編纂されたのが本書になります。さらには、第一部『生きている日本』のオリジナルが1973年に刊行されたものであるから、21世紀になって10年以上も経過する昨今において本書を読むと、ところどころで聊か古めかしい時代の感覚を覚えます。 しかし、1970年代前半の世相に比べ、国際的な情勢や情報の質と量、価値観に変化・変質が見られるとは言え、日本人としての根幹となる部分、本質の部分は大きく変わっていない、というよりほとんど変わっていないことが、本書から見受けられます。また、生粋の日本人ではない、アメリカ出身の日本(文学)研究者であるからこその視点に、ドキッとするところもあり、その鋭い観察眼によって綴られた本書に散りばめられた言葉の端々には、目を見張るものがありました。 本書における、キーン氏の日本観の基点は、宗教。といっても、ベタベタに宗教の語っているのではなく、また特定の宗教を推しているものでもなく、日本観を述べるにあたって宗教を一つの『ツール』として客観的に使役している、という具合です。 日本という国土とその地理、海に囲まれていること。国土の大半が山と森林に覆われているということ。そこから生まれ、そして派生するものの考え方、『外国』というものの意識とその文化を対比し受け入れるしなやかさ、けれども全てを受け入れているわけではない強かさ。時代と時間という縦軸と、教育や政治、生活習慣という横軸を巧みに交差させ、細かい文字を300以上のページにぎっしりと詰まらせながらも、決して高尚な専門性に終始帰結するような、窮屈した文体ではなく、むしろスラスラと読むことが出来ました。もちろん、1970年代前半の世相を、時を超えて読んでいるため、ところどころで時代背景の差異に異なる印象を受けつつも、概ね日本観と日本人観は、劇的な変化を遂げているとは言い難く、むしろ何となくですが、ホッとしてしまいました。 後半の二部は、内容は双方ともほぼ同じで、キーン氏の講義内容を文章化したものです。双方とも、日本を知る、日本を研究する、日本に来日した、日本人ではない人物の研究誌や観察記録を交えた内容になっています。これまで、日本についていたく感心した人物であっても、方や違う視点・違う考え方を持っていたんだな、ということを知らされました。単に手放しで日本とその文化を褒め称えているのではなく、勿論、好んでいる部分もあるのでしょうが、総じて冷静で客観的な観察眼で綴られていることに、研究者としての冷徹な姿勢を垣間見ることが出来たと思います。 あまりに偏った、ある種の欺瞞に満ちた日本観を綴っている本より読み応えがあると思います。勿論、自分自身の目で日本観を、自分の足で歩きながら確かめるのは言うまでもないですが、冷静かつ客観的な他者の目を、多角的にとらえながら『日本』という国を研究することも、大切であるし、価値のあることではないかと思います。

Posted byブクログ

2011/09/04

2011/8月 外から見た日本を分野を絞らずに全体像を書いたら偏ってしまうのは当たり前。日本が好きで、細かい所まで見てるのはよく分かったが、、、ちょいと焦点が広すぎて偏ってるように思えてしまう

Posted byブクログ

2011/06/28

【レビュー】”日本”を研究してきた人の本を日本語訳にしたもの。 とても興味深かった。本当に良く日本を見ていたんだなこの人は。。 日本人が自覚しにくい日本の良さをたくさん見つけられた。

Posted byブクログ

2011/08/14

異邦人によって明らかにされる日本の美とはいったい如何なるものか・・・・、などと今さら気取って叙述してみても始まらないほど、ドナルド・キーンの眼はもはや日本人より日本人以上に、日本の本質をあますところなくとらえて、私たちを大いに驚嘆させるのです。 それが単なる異国情緒趣味ではけっ...

異邦人によって明らかにされる日本の美とはいったい如何なるものか・・・・、などと今さら気取って叙述してみても始まらないほど、ドナルド・キーンの眼はもはや日本人より日本人以上に、日本の本質をあますところなくとらえて、私たちを大いに驚嘆させるのです。 それが単なる異国情緒趣味ではけっしてないことを証明したのが、このたびの震災の報道を受けて彼が表明した、帰国して落ち着いた米国を脱出して(!)終の棲家を日本で迎えたい、日本は米国の一老人が安住して住みたいと願う国なのだという、一見風評被害に対抗するような行為でした。 ふだん穏健なドナルド・キーン教授からはとても考えられない言動ですが、真相はコロンビア大学名誉教授の職を辞して、東京に永住して著述業に専念し、できれば帰化したいということを私が勝手に早とちりしただけでした。 本書は、元々いまから50年以上前の1958年頃に『生きている日本』のタイトルのもと、紐育で出版された米国人向けの日本案内の様相を呈した本でしたが、その後1973年に朝日出版社から日本語版として出て、2編の講演を加えて再刊されたこの学術文庫版は題名変更されたというわけです。 彼は、源氏物語から谷崎潤一郎や川端康成などの文学的核心を、鋭く日本的美意識の陰影として、高く評価し世界に広く敷衍したかと思えば、安部公房を誰よりも早く評価して、その世界的な文学性を顕彰するといったふうに、古今の日本文学を深く愛するだけでなく、日本の風土の機微にまで入り込んで、日本そのものを心底愛し尽くすという、前代未聞の研究者として強烈に私たちに影響を及ぼしています。 はたして、50年以上前に書かれたもので確かに古さを感じなくもありませんが、本家本元の日本人である自分が恥ずかしくなるくらい、日本を徹頭徹尾理解し愛おしいと感じているのは彼の方だと、読んでいるあいだ何度も思って、赤面しっぱなしでした。

Posted byブクログ