翔ぶが如く 新装版(九) の商品レビュー
戊辰戦争で血が流れな…
戊辰戦争で血が流れなければ徳川幕府にケリが付かないと言われたが、西南戦争の血も武士の時代にケリを付けるために必要な戦争だったのかもしれない。
文庫OFF
薩摩兵士による精神論の限界と物量バランスの崩れを見せつけられている感じ。 何事もバランスであって、極端なものはダメなのだろうと思うが、現代で言えばいわゆる体育会系のノリ?の危うさみたいなものだろうか。 いよいよ長かった旅もラスト…
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薩摩軍には上代の「隼人」のDNAが受け継がれているかもしれない。隼人も勇猛な戦士だったが、逃げるのも早く、そして逃げることに罪悪感はなかった。高瀬や吉次越の戦いで、薩摩軍があっけらかんと退却したのも、この隼人の血がそうしたのかもしれない63 西郷は私欲の無い立派な人だった。ただ...
薩摩軍には上代の「隼人」のDNAが受け継がれているかもしれない。隼人も勇猛な戦士だったが、逃げるのも早く、そして逃げることに罪悪感はなかった。高瀬や吉次越の戦いで、薩摩軍があっけらかんと退却したのも、この隼人の血がそうしたのかもしれない63 西郷は私欲の無い立派な人だった。ただ「人望欲」とでも言うべきものがあり、それがために担がれて身を誤らせたby大山巌122 田原坂で銃をもたず、その場で買った太刀で薩摩の堡塁に奇襲をかけた抜刀隊。その多くは元会津藩士で、「戊辰の復讐、戊辰の復讐!」と叫んで斬り込んだ156 薩摩藩は百姓への搾取が他藩に比べ非常に多く、その差別も強い。それによって武士を多く抱え、したがって維新の中心部隊になれ、独立独裁も保てた。それは明治になってからも変わらず、木戸はそれを見抜き、熊本を引き払って人吉で未だに群居する薩摩軍と「休戦せよ」と政府に申し入れた久光(藩兵を維持し独立国の君主の座を守りたい)を批判した。300
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「尊王攘夷」のスローガンで始まった筈の倒幕運動から、明治維新が為ってみたら、幕末からの開国方針が何も変わっていないという、この歴史の流れが、長らく釈然としなかったのだが、これを読んで、漸く腑に落ちたというか――当時の士族達も釈然としなくて、だからあちこちで士族の反乱が起きて、最終...
「尊王攘夷」のスローガンで始まった筈の倒幕運動から、明治維新が為ってみたら、幕末からの開国方針が何も変わっていないという、この歴史の流れが、長らく釈然としなかったのだが、これを読んで、漸く腑に落ちたというか――当時の士族達も釈然としなくて、だからあちこちで士族の反乱が起きて、最終的に西南戦争に至ったのね、と。しかし、旧支配層の武士は既得権益を取り上げられ、庶民は税金やら兵役やら負担が激増した、この明治維新という大改革が、よく破綻・瓦解しなかったものだという、新たな疑問が湧いてきた。
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※2008.3.21購入@Book Off調布 2008.11.3読書開始 2008.11.16読了 2017.5.6売却@Book Off
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「翔ぶが如く(9)」(司馬遼太郎)を読んだ。 『要するに田原坂の激突は薩人が残らず死ぬまで繰りかえされるべきものであり、薩軍の将帥にはそれ以外に思慮がなかった。』(本文より) (私は根が単純なので)怨嗟をこめて叫びたくなる。 彼だけが悪いんじゃないが。 「き〜り〜の〜!!」
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私学党の決起による西南戦争勃発からその激戦を経て薩摩軍の宮崎地方への潰走までの第9巻。西南戦争の生々しい経緯が様々な資料を元に描かれていてまさに歴史資料の感かある。 桐野、篠原、桐野等幹部の無能、と言うよりは薩摩隼人気質と、西郷の沈黙が事態を悪化させていく。村田新八や永山弥一郎の...
私学党の決起による西南戦争勃発からその激戦を経て薩摩軍の宮崎地方への潰走までの第9巻。西南戦争の生々しい経緯が様々な資料を元に描かれていてまさに歴史資料の感かある。 桐野、篠原、桐野等幹部の無能、と言うよりは薩摩隼人気質と、西郷の沈黙が事態を悪化させていく。村田新八や永山弥一郎のような逸材を含む多数の民を犠牲にしながら。西郷は薩摩隼人が死にゆく原因を自ら作っていることになんの呵責もなかったのか。その存在だけが薩摩軍の一部幹部大いなる価値を生み出すだけである意味において大罪人とも考える。銅像建立までの経緯に興味が湧く。 不謹慎だけど、戦争描写は政治的駆け引きと心理に比べて読み応えがあります。
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全十巻の「翔ぶが如く」も終盤、政府軍を田原坂での激しい攻防戦で圧倒するが、銃弾の不足に悩まされ薩摩軍は遂に田原坂から撤退するが・・・。
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田原坂の戦い~人吉での戦い~日向まで撤退という流れ。文章を読むと、薩軍は確かに強い軍隊であるが、戦いのための信念という点で統一されていなかったことが敗因だと思う。もし、西郷がこの戦いに乗り気で薩軍が西郷の下に一致団結していたらと思うと残念な感じ。戦いは情勢をきちんと認識している点と戦う理由が大切なのだなと思った。次は最終巻。西郷の末路がどうなるのか。引き続き読んでいきたい。
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物語は西南戦争のまっただ中。 激戦の末に田原坂を失い、物資と人員を欠いた薩軍は、それらを潤沢に補給できる政府軍に押され始めました。 この間、西郷隆盛さんは「神輿」であって、薩軍を指揮した様子は全くありません。 西郷さんが指揮をしないでも、優秀な参謀らが何とかしているってならまだしも、基本的にノープランなうえに、全体を見渡せない人が上に立っている。 これはやっぱり、兎狩りで森で転んで、頭を強打してからの西郷さんはおかしかった…って説が正しいのかな? みんなの命がかかっているのに。 政府では、西郷さんが征韓論で下野した直後と西南戦争の際に大量の警察官を雇用したとは聞いていたけれど、当時の警察は士族採用が基本で、このときは特に旧会津藩士をたくさん採用したらしい。 幕末に統制が取れた武勇でならした藩は薩摩と会津が双璧だったから、西の横綱には東の横綱をってことだけじゃなくて、討幕にあたって薩摩を中心とした「官軍」に苛め抜かれた会津の恨みを利用しようとした感じ。 大久保利通さんて、人間の機微に通じていたんだね。 それって通じ過ぎているのがバレると、お友達がいなくなるどころか、ヘタするとめっちゃ恨まれるよね。 前巻では政府側の乃木希典さんの使えなさっぷりが描かれていたけれど、今回はお金に汚いくせに細かいことにまであれこれと口を出す実は小心者の山県有朋さんが猿回しのサルみたいでした。 西南戦争ってかなり早い段階で薩軍の負けが見えてたんだな~。
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