寝ながら学べる構造主義 の商品レビュー
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中枢に固定的・静止的な主体がおり、それが判断したり決定したり表現したりする、という「天動説」的な人間観から、中心を持たないネットワーク形成運動があり、そのリンクの「絡み合い」として主体は規定されるという「地動説」的な人間観への移行、それが二十世紀の思想の根本的な趨勢である、と言って良いだろうと思います。p32 言語活動とは「すでに分節されたもの」に名を与えるのではなく、満天の星を星座に分かつように、非定型的で星雲状の世界に切り分ける作業そのものなのです。ある観念があらかじめ存在し、それに名前がつくのではなく、名前がつくことで、ある観念が私たちの思考の中に存在するようになるのです。p67 私がことばを語っているときにことばを語っているのは、厳密に言えば、「私」そのものではありません。それは私が習得した言語規則であり、私が身につけた語彙であり、私が聞き慣れた言い回しであり、私がさきほど読んだ本の一部です。p73 構造主義とは、ひとことで言えば、様々な人間的諸制度(言語・文学・神話・親族・無意識など)における「零度の探求」であるということもできるでしょう。 零度:ある制度が「生成した瞬間の現場」、つまり歴史的な価値判断がまじりこんできて、それを汚す前の「なまの状態」。p80 エクリチュールとは、書き手がおのれの語法の『自然』を位置づけるべき社会的な場を選びとることである。Byバルト p121 「実存する」という動詞は語義的には「外にー立つ」を意味します。自己の存立根拠の足場を「自己の内部」にではなく、「自己の外部」に「立つ」ものに置くのが実存主義の基本的な構えです。 その点だけから言えば、「人間は生産=労働を通じて作り出した物を媒介にして自分が何者であるかを知る」というヘーゲル=マルクス主義と基本的なフレームワークには通じるところがあります。p141
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まえがきからあとがきまで、余すとこなく面白かった。 かつて20歳だった内田樹が欲した「構造主義の解説書」。 それを30年後に自分で書き上げたと言う。 これを読んだ俺も20歳。 この本は俺に、何をもたらすのかな。 内容については、特に挙げるならばジャック・ラカンの精神分析論...
まえがきからあとがきまで、余すとこなく面白かった。 かつて20歳だった内田樹が欲した「構造主義の解説書」。 それを30年後に自分で書き上げたと言う。 これを読んだ俺も20歳。 この本は俺に、何をもたらすのかな。 内容については、特に挙げるならばジャック・ラカンの精神分析論がカタリバに長くいる自分としては実感をもって理解できる箇所が多かった。 カタリバのチェッキングに、ラカンの言うユーバートラーゲンの技術をそのまま活かせるのではないか。 カタリバ人に、というかコミュニケーションの力を信じる全ての人に、この本を読んでほしい。 文句なしに☆5。
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現・神戸女学院大学文学部教授(フランス現代思想)の内田樹による構造主義の入門書。 【構成】 第1章 先人はこうして「地ならし」した-構造主義前史 第2章 始祖登場-ソシュールと『一般言語学講義』 第3章 「四銃士」活躍す その一 -フーコーと系譜学的思考 第4章 「四...
現・神戸女学院大学文学部教授(フランス現代思想)の内田樹による構造主義の入門書。 【構成】 第1章 先人はこうして「地ならし」した-構造主義前史 第2章 始祖登場-ソシュールと『一般言語学講義』 第3章 「四銃士」活躍す その一 -フーコーと系譜学的思考 第4章 「四銃士」活躍す その二 -バルトと「零度の記号」 第5章 「四銃士」活躍す その三 -レヴィ=ストロースと終わりなき贈与 第6章 「四銃士」活躍す その四 -ラカンと分析的対話 以前、同じような構造主義入門用の新書で橋爪『はじめての構造主義』(講談社現代新書)を読んだが、その本はレヴィ=ストロースを中心的に叙述しており、その他の思想家達は点描にとどめられていた。本書は、その構成からもわかるように前史→ソシュール→構造主義四銃士という進め方になっており、そういう意味では『はじめての構造主義』よりも幅広い記述がなされている。 ただ、著者がしばしば引き合いに出す喩えが、あまり要領を得ていなかったりするところもある上に、(入門書という制約もあるのだろうが)断定的に表現する時の根拠が希薄であったりする部分が散見される。個人的に気になったのは、後半部分で「歴史」に対する認識がかなり表層的であると感じた。
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高校の倫理の授業と被っているものが多く、知識の再確認+αといった感じだった。噛み砕いて説明していたり、身近な例を挙げているので、構造主義入門書としてはちょうどいいと思う。
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読みやすく書かれており、前提知識が無くても読めると思う。詳細を学ぶものではなく、全体のぼんやりした姿を掴む為の本。 p12 「ポスト構造主義期」というのは、構造主義の思考方法があまりに深く私たちのものの考え方や感じ方の中に浸透してしまったために、あらためて構造主義者の書物を読ん...
読みやすく書かれており、前提知識が無くても読めると思う。詳細を学ぶものではなく、全体のぼんやりした姿を掴む為の本。 p12 「ポスト構造主義期」というのは、構造主義の思考方法があまりに深く私たちのものの考え方や感じ方の中に浸透してしまったために、あらためて構造主義者の書物を読んだり、その思想を勉強したりしなくても、その発想方法そのものが私たちにとって「自明なもの」になってしまった時代(そして、いさかか気ぜわしい人たちが「構造主義の終焉」を語り始めた時代)だというふうに私は考えています。 p38(狂言の『ぶす』の文脈で) それは太郎冠者が主人を内心では侮っているために、自分より愚鈍であるはずの主人に自分の下心が見抜かれているという可能性を認めるわけにゆかなかったからです。主人は自分より愚鈍であって「欲しい」という太郎冠者の「欲望」が、怜悧な彼の目をそこだけ曇らせたのです。こうして、「『太郎冠者が何ものであるかを主人は知っている』ということを太郎冠者は知らない」という構造的無知が成立することになります。これが「抑圧」という機制の魔術的な仕掛けです。 p44 技芸の伝承に際しては、「師を見るな、師が見ているものを見よ」ということが言われます。弟子が「師を見ている」限り、弟子の視座は「いまの自分」の位置を動きません。「いまの自分」を基準点にして、師の技芸を解釈し、模倣することに甘んじるならば、技芸は代が下がるにつれて劣化し、変形する他ないでしょう。(現に多くの伝統技芸はそうやって墜落してゆきました。) それを防ぐためには、師やその制作や技芸ではなく、「師の視線」、「師の欲望」、「師の感動」に照準しなければなりません。師がその制作や技芸を通じて「実現しようとしていた当のもの」をただしく射程にとらえていれば、そして、自分の弟子にもその心象を受け渡せたなら、「いまの自分」から見てどれほど異他的なものであろうと、「原初の経験」は汚されることなく時代を生き抜くはずです。 p125 つまり、その本からは新しい「意味」を読み出すことのできる「読める主体」へと私を形成したのは、テクストを読む経験そのものだったのです。
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難しかった。半分以上わからんかったような・・・・(24歳) ですが、本題に入る前に著者のお話で知的探求は知らないことを知ることからだ、難しいもんは難しいんや的なことを書いてあり、それを励みに最後まで読めました。半分以上わからなかったと書いたのですが、ところどころでは理解できるとこ...
難しかった。半分以上わからんかったような・・・・(24歳) ですが、本題に入る前に著者のお話で知的探求は知らないことを知ることからだ、難しいもんは難しいんや的なことを書いてあり、それを励みに最後まで読めました。半分以上わからなかったと書いたのですが、ところどころでは理解できるところや関心できるところあったのも最後まで読めた理由だと思います。ソシュールの一般言語学、レヴィ=ストロースの贈与と返礼のあたりが面白かったです。難しくて面白い本だと思います。 自分自身が考えの素みたなのは歴史、会社、学校、テレビ、本、家族、習慣、友人などいろいろなもの(構造)から影響を受けている。
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構造主義とは、「私たちは常にある時代、ある地域、ある集団に属しており、その条件が私たちのものの見方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している」「私たちは自分では判断や行動の「自律的な主体」であると信じているけれども、実は、その自由や自律性はかなり限定的なものある」という考え方...
構造主義とは、「私たちは常にある時代、ある地域、ある集団に属しており、その条件が私たちのものの見方、感じ方、考え方を基本的なところで決定している」「私たちは自分では判断や行動の「自律的な主体」であると信じているけれども、実は、その自由や自律性はかなり限定的なものある」という考え方。 謙虚な感じで好きだな。
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固く結ばれた紐がほどけるマジックのように、 するするっとこんがらがっていた頭がすっきりした。 最高だ。 なんで! とびっくりするのだけれど、 そもそも人が考えうることに大して違いはない、 違うのはどれだけ深く潜れるだけの肺活量があるか、 だと思う。 言い回しは多少複雑だが、...
固く結ばれた紐がほどけるマジックのように、 するするっとこんがらがっていた頭がすっきりした。 最高だ。 なんで! とびっくりするのだけれど、 そもそも人が考えうることに大して違いはない、 違うのはどれだけ深く潜れるだけの肺活量があるか、 だと思う。 言い回しは多少複雑だが、ものすごく分かりやすく出来ているので、 初心者の入門書としては最適(自分も含め)。 「先生はえらい」と同じくらい好きな本。
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構造主義について主要人物5人に焦点を当て、それらの人物が著した概念を解説した本。 哲学関連の本は初めてで、「まえがき」を読んで非常にわかりやすい内容だという印象を受けたが、本文はなかなか理解しがたかった。 ただ、たとえ話はわかりやすく、「これを機に他の本も読んでみようかな」と...
構造主義について主要人物5人に焦点を当て、それらの人物が著した概念を解説した本。 哲学関連の本は初めてで、「まえがき」を読んで非常にわかりやすい内容だという印象を受けたが、本文はなかなか理解しがたかった。 ただ、たとえ話はわかりやすく、「これを機に他の本も読んでみようかな」と思えた本だった。
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言い回しや言葉が難しかった。構造主義って、今の自分たちのこの考え方のことを言うの?なんとなくわかった気はするけど、しかし理解があやしいまま終わってしまった気もする。寝ながらは読めませんでした。主義とかいうと難しいけど、考え方のひとつで、この出来事はどうして起こったのか分析する(分...
言い回しや言葉が難しかった。構造主義って、今の自分たちのこの考え方のことを言うの?なんとなくわかった気はするけど、しかし理解があやしいまま終わってしまった気もする。寝ながらは読めませんでした。主義とかいうと難しいけど、考え方のひとつで、この出来事はどうして起こったのか分析する(分けて考える=構造がどうなってるか)ことっぽい??
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