スティーヴン・キング 小説作法 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
スティーブン・キングが小説作法について初めて書いた本。 さすがに読ませ方を心得ていて、全体の半分くらいは自伝になっているので、 書き方に興味のない人でもキングに興味があるなら楽しめる。 これを読んだ後は彼の書いた本が読みたくなります。 また、1999年に日課の散歩中、 車に撥ねられて五週間執筆が中断したことにも触れられていて、 丁度その大怪我を負ったときに執筆していたのが本書で、 この本を仕上げるまでにずいぶん苦労したそうです。 印象に残った言葉があるので、いくつか引用する。 ・私は遅読だが、それでも、一年に七、八十冊は読む。 ほとんどは小説である。 ・まずは「知っていることを書け」を可能な限り広く、 かつ包括的に解釈することから取りかかればいい。 ・構想を練ることと、 作品の流れを自然に任せることはとうてい両立しない。 ここはよくよく念を押しておきたい。 作品は自律的に成長するというのが私の基本的な考えである。 ・これは体験してみなければわからないことながら、 作中、人物が自律して奔放にふるまいはじめた時の楽しさといったらない。 そうなれば、作者は心の悩みも晴れて、あとは一瀉千里である。嘘ではない。 ・文学は、つまるところ(中略)幸福の探求だ。これこそが書くことの意味である。 [2000年、アメリカ、348P]
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「文章の極意は、不安と気取りを捨てることである。名文と悪文を区別せずにはいられないことにはじまって、気取りそれ自体が小心者のふるまいだ」 「私の場合、短編であれ、長編であれ、小説の要素は3つである。話をA地点からB地点、そして大団円のZ地点へ運ぶ叙述。読者に実感を与える描写。登...
「文章の極意は、不安と気取りを捨てることである。名文と悪文を区別せずにはいられないことにはじまって、気取りそれ自体が小心者のふるまいだ」 「私の場合、短編であれ、長編であれ、小説の要素は3つである。話をA地点からB地点、そして大団円のZ地点へ運ぶ叙述。読者に実感を与える描写。登場人物を血の通った存在にする会話。」 「私は自分の作品で人物の外見に言葉を費やす必要をめったに感じたことが無い。……読者が物語の世界を実感するためには、登場人物の身体的特徴よりも、舞台となっている場所や、そこに漂う空気を伝えることの方がずっと大切である。」 「小説においては、見せることが出来るなら語るな、が鉄則である。」 「優れた小説は必ず、物語に始まって主題に辿り着く。主題に始まって物語に辿り着くことはほとんど無い。」 20~21世紀最大のミステリーホラー作家の至言である。小説をどう書くかについては、他のハウツー本と同じキングも基本は「読みまくれ、書きまくれ」であるという。読み、書くことは作家にとっての基礎体力なのであろう。 その上で、キングは手厳しく、「所詮才能の無い作家は何をやっても駄目」であるという。何年やっても教えるのが下手な教師がいるのと同じで、そこには決定的に作家として無能な人がいる。 小説作法は折ある毎に読み返すことが多い。
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「文章とは一語一語の血の滲むような積み重ねである」 キングが原作の映画はどれも好きです。日本語訳された原作は何冊か読みましたが、彼の描写は「正しい」と思います。 それから、本書の翻訳がダメだとかのコメントはありますが、私はそれほど気になりませんでした。
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小説家の仕事ぶりに興味があります。 ベストセラーはいかにして、生まれるのか? 作家はどんな生活を送っているのか? この辺は企業秘密だと思うのですが、スティーブン・キング氏は、惜しげもなく披露してくれます。 時間割はこんな感じ。 午前 仕掛かりの作品を書き進める 午後 昼寝...
小説家の仕事ぶりに興味があります。 ベストセラーはいかにして、生まれるのか? 作家はどんな生活を送っているのか? この辺は企業秘密だと思うのですが、スティーブン・キング氏は、惜しげもなく披露してくれます。 時間割はこんな感じ。 午前 仕掛かりの作品を書き進める 午後 昼寝と手紙の返事 夜 読書 家族団欒、レッドソックスのテレビ中継観戦 1日10ページ、約2000語を書くそうです。取りかかったら、完成するまでペースを落とさない。初稿は1季(3か月)で書く。 いろんな本に書かれていることですが、頭が一番冴えるのは朝。その時を狙って、一気に書く。 作家というと、夜型、不規則というイメージがありません? バーで酒を飲んだり、徹夜して原稿を書くみたいな。 キング氏の場合、規則正しい生活で多作しています。 村上春樹氏の書くペースも、時間の使い方も似ていますね。村上氏は朝起きて、いきなり原稿を執筆。午後は運動、読書だったかな。成功している作家は、時間の使い方がうまい。
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「小説作法」と銘打ってはいるものの、文章指南ばかりでなく、稀代のエンタメ作家キングの生い立ちから今日まで―その中には瀕死の重傷を負った1999年の交通事故についても触れられている―を綴った自伝として、また作品が生まれた瞬間、作品の裏話などキング作品のガイドブックとしても読むことが...
「小説作法」と銘打ってはいるものの、文章指南ばかりでなく、稀代のエンタメ作家キングの生い立ちから今日まで―その中には瀕死の重傷を負った1999年の交通事故についても触れられている―を綴った自伝として、また作品が生まれた瞬間、作品の裏話などキング作品のガイドブックとしても読むことが出来る。 帯の煽り文句などほとんどの場合信用ならないものだが、 「これほど有益な示唆を詰め込んだ文章読本は見たことがない」 というのは、あながち大仰でもないかもしれない。世界中に名が知れ渡るベストセラー作家と言えども「文章を書く」ということに対して何ら特別なことはしていない。要はそれを続けられるか、ということか。 「よく読み、よく書くことである」 「純粋に、書くことが楽しいから私は書く」 「文章は、飽くまでも血の滲むような一語一語の積み重ねである」
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実践的な「小説指南書」であり、作家に必要な「道具箱」の中身を惜しげもなく提供している。キング自身の体験と作品との結び付きについて語られているのも面白い。本筋とは関係ないが、ラヴクラフトを評して、「今、生きていたら、インターネットのチャットルームでさぞかし勇名を馳せることだろう」。...
実践的な「小説指南書」であり、作家に必要な「道具箱」の中身を惜しげもなく提供している。キング自身の体験と作品との結び付きについて語られているのも面白い。本筋とは関係ないが、ラヴクラフトを評して、「今、生きていたら、インターネットのチャットルームでさぞかし勇名を馳せることだろう」。これには笑った。
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大事な本。 あらゆる意味で大事な本。 今まで貰った誕生日プレゼントの中で、もの凄く嬉しかった一冊。 キングの半生が面白いだけでなく、ものごとの考え方とらえ方を、改めさせられた。
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パイロット版を持っているけれど、これを読むくらいなら「死の舞踏」(福武文庫)のほうが良い。あちらでも、小説に対して何たる思いを抱いているか察しはつくようにできている。
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神がかり的面白さの小説書く人なのに、結構ふつーっぽいこと書いてあってびっくりする。バイト時代も無駄じゃないと思える。
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キングがどれほどストイックに実は作品を作っているのか痛切に伝わってくる自伝。「スタンドバイミー」でてっきり亡くなっているんだろうと思い込んでいた実兄がトテモ賢い少年で、現在も存命と知っておどろく。 少年時代のエピソードが何よりほほえましい。
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