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良心論 の商品レビュー

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2024/03/24

カント哲学の研究者である著者が、西洋哲学史における「良心」の概念の変遷をたどるとともに、その本質的な意味について哲学的な考察を展開している本です。 「良心」を意味するラテン語のconscientiaは、「共に知る」という意味であり、ヨーロッパ諸語においてもこのような原義が継承さ...

カント哲学の研究者である著者が、西洋哲学史における「良心」の概念の変遷をたどるとともに、その本質的な意味について哲学的な考察を展開している本です。 「良心」を意味するラテン語のconscientiaは、「共に知る」という意味であり、ヨーロッパ諸語においてもこのような原義が継承されています。ところが日本ではこのことばを「良心」と訳したため、その原義をうかがい知ることが困難になってしまいました。著者はこのことを指摘し、ヨーロッパの哲学史において、「良心」がまさに「共に知る」という意味をもっていたことを解説しています。そのさいに著者は、いったいだれと「共に知る」のかという問題を設定し、「世間(の他者)と共に知る」「神と共に知る」「自己自身と共に知る」という三つの可能性がありうることを指摘し、古代ギリシアから近代のカント哲学を経て、現代にいたるまでにそれらの可能性がどのようなしかたで追求されてきたのかということを明らかにします。 とりわけ著者が重視しているのが、カントの自律の発想にもとづく倫理学の立場です。これはいうまでもなく「自己自身と共に知る」という立場であり、しかもそのばあいに「知る」主体である良心の働きが、カントによって叡智的存在として理解されていたことに着目します。著者はこうした立場に立って、「良心」の働きがわれわれの意識生活においてどのような意義をもっているのかということを解明し、「良心の三法則」を提出しています。なかでも、両親の叡智的な性格にもとづいて、その時間性をめぐる哲学的な議論が展開されているところは圧巻です。 随所にカント倫理学からの影響を見てとることができますが、あくまでカント倫理学を自家薬籠中の物として消化したうえで著者自身の哲学的考察として議論が展開されています。カント倫理学の哲学的応用として、興味深い内容だと感じました。

Posted byブクログ

2015/12/28

あらためて、本当にあらためてだけど、「良心」の原義、様々な事例から、真の共同体が見えてきて、共働態の様相に想い馳せた。

Posted byブクログ