有限と微小のパン の商品レビュー
しばらく積んでいた森博嗣のGシリーズを読みだす前に、真賀田四季の足跡を改めて読み直した方がいいかもしれない。そう思って『すべてがFになる』に続いて数年ぶりに本書を手に取った。本当なら出版順に森博嗣作品を読み直すのが一番良いのだろうが、さすがにそれほどの覚悟は決められなかった。 ...
しばらく積んでいた森博嗣のGシリーズを読みだす前に、真賀田四季の足跡を改めて読み直した方がいいかもしれない。そう思って『すべてがFになる』に続いて数年ぶりに本書を手に取った。本当なら出版順に森博嗣作品を読み直すのが一番良いのだろうが、さすがにそれほどの覚悟は決められなかった。 S&Mシリーズ第10弾の本作はシリーズの最初の作品『すべてがFになる』で登場した天才プログラマ真賀田四季が、事件の影で暗躍する。 文庫にして900頁近い物量があり、その中で不可解な事件の謎はもちろん、許嫁という存在が現れた犀川と萌絵の関係値の変化や、真賀田四季との対決など見どころが詰まっている。その中でキーワードとなるのはやはり「天才」だろうか。作中ではナノクラフト社長の塙理生哉によって、天才について次のように語られている。 ”「人格だけじゃない、すべてに概念、価値観が混ざっていないのです。善と悪、正と偽、明と暗。人は普通、これらの両極の概念の狭間にあって、自分の位置を探そうとします。自分の居場所は一つだと信じ、中庸を求め、妥協する。けれど、彼ら天才はそれをしない。両極に同時に存在することが可能だからです」” 凡人には天才の思考など想像もできないが、それでも真賀田四季の、そして犀川や萌絵の気持ちを読み解こうとするのであれば、この考え方が参考になるのかもしれない。
Posted by
犀川先生と萌絵のS&Mシリーズの最終巻です。シリーズ冒頭に出てきた天才真賀田四季と犀川先生の最終対決。 話の大筋はドラマの通りなのですが、この本の魅力は登場人物会話の端々に盛り込まれる工学的、哲学的な考え方が垣間見えるところで、多次元直方体について雑談している場面が私のお気に入り...
犀川先生と萌絵のS&Mシリーズの最終巻です。シリーズ冒頭に出てきた天才真賀田四季と犀川先生の最終対決。 話の大筋はドラマの通りなのですが、この本の魅力は登場人物会話の端々に盛り込まれる工学的、哲学的な考え方が垣間見えるところで、多次元直方体について雑談している場面が私のお気に入りです。 四季の天才っぷり、常人離れっぷりを堪能でき、かつ、それに匹敵する犀川先生の危うげな部分を萌絵と一緒に心配できたので満腹です。
Posted by
『すべてがFになる』に匹敵するおもしろさ! というか、この作品までの8作品も、”伏線””アトラクション”に過ぎなかったのではと思ってしまう。 最後まで読んだ人は、『封印再度』に戻されます。 8作の中で、明確な転機はなかったが、確かに、萌絵は緩やかに両極に存在できなくなって...
『すべてがFになる』に匹敵するおもしろさ! というか、この作品までの8作品も、”伏線””アトラクション”に過ぎなかったのではと思ってしまう。 最後まで読んだ人は、『封印再度』に戻されます。 8作の中で、明確な転機はなかったが、確かに、萌絵は緩やかに両極に存在できなくなってきていると気づかされた。 それは、”天才ではなくなる”、”大人になる”と同義であるが、これまで読んできた読者としては、”恋をした”ことも要因、結果の一部ではないかと勘繰ってしまう。 事件の結末もおもしろく、バネと滝や、不吉なメモ書きなど、小さな謎もとても心地よかった。 天才、真賀田博士も、事件の中心に幻影を感じながら、PERFECT OUTSIDER という両極に存在していて(外か内かは読者が決めること)、最後の犀川先生との対峙シーンは鳥肌物だった。 「大きな声を出せる人は、小さな声も出せます。早く走れる人は、ゆっくりと走ることもできる。では、理解できる人は、理解しないことも、できるのではありませんか?」 天才は自分の理解を排除できるらしい。。そんな人現実にいるのだろうか。 「A・E・H・R・Tの五文字でできる全ての文字列は?」の件で、28番目の質問に対し、55番目を先制する萌絵の台詞が好き。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
あぁ・・・読み終えてしまったS&Mシリーズ。。。 真賀田四季の存在感たるや。 女優顔負けですな。。。 塙さんはそこまでしても萌絵ちゃんを手に入れたかったのか。 結局犀川先生と萌絵ちゃんはどうなるのか。 ・・・ホントに続かないの(苦笑)?
Posted by
S&Mシリーズ第十弾。最終巻。最終巻だけあって800ページを越す超大作。最終的に犀川と四季のラブストーリーともみえる本作。面白いシリーズである。
Posted by
このシリーズ好きなので全部読みたいところだけど、時間がなくて結局『すべてがFになる』と『封印再度』に続いてこちらの完結編を読んでしまうという。 ボリュームあって面白かった。 「天才への憧れ」ですね。 --- 445 地球の円周はちょうど四万キロメートル 646 人間の意識...
このシリーズ好きなので全部読みたいところだけど、時間がなくて結局『すべてがFになる』と『封印再度』に続いてこちらの完結編を読んでしまうという。 ボリュームあって面白かった。 「天才への憧れ」ですね。 --- 445 地球の円周はちょうど四万キロメートル 646 人間の意識はどこにあるのですか? 661 有限かつ微小な細胞に過ぎない 682 意見に良いも悪いもないだろう(犀川) 756 生命もまた点滅を繰り返しているのよ(四季)
Posted by
ちょっとずつ読んでる♪ 一体どんな風に終結するのかしら?? 読み終わり後、、 相変わらず読みやすいけれど、なかなか理解が追いつかず、飛ばし読みみたいになった箇所もあり。。 それでも無事S&Mシリーズ読み終えることができて満足(o^^o)
Posted by
たどり着いたな、という印象。どうして論理的に世界を解体していくと、こういう詩的な、どこか宗教的といってもいい雰囲気が生まれるんだろう。なんだか矛盾しているようで面白い。いろいろなところに自分の名前を残していく四季は結局見つけてもらいたがっていて、理解されたがっていて、孤独で悲しい...
たどり着いたな、という印象。どうして論理的に世界を解体していくと、こういう詩的な、どこか宗教的といってもいい雰囲気が生まれるんだろう。なんだか矛盾しているようで面白い。いろいろなところに自分の名前を残していく四季は結局見つけてもらいたがっていて、理解されたがっていて、孤独で悲しい。「神様、よくわかりませんでした」
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いつも通りの読んでる間のすいすいすい感そしていつも通りの読み終わったあとの残尿感。 S&Mシリーズって、犀川先生と萌絵ちゃんじゃなくて犀川先生と真賀田博士のお話やったのね。と思った。まさかこんな終わり方というか、こんな気持ちにさせられる終わり方が待っていたとは。最後萌絵ちゃんの圏外感が凄かったな。 数奇にして模型とか他の巻もそうやったけど、こんなに分厚くても、読み終わってみてこんなに分厚いお話を読んだっていうような感じはしない。ふしぎー 森博嗣氏の他の本も読んでみたいなーとは思い中。 しっくり来させる終わり方って難しいやんなって思うけど、この人の場合はそこに敢えて感を出してこられてる気がしてしまうからまあ何とも。 あとはまあどうでもいいことやけど、塙博士の最初の見た目の描かれ方が確か「おでこが広めのロン毛」やったと思うんやけどそれで私の中でどうにも落武者みたいなイメージが出来上がってしまって、どう頑張ってもイケメンには直せなかった。 あと、専門の人に聞きたいのは、ここに描かれている(多分)当時の近未来的な技術って、いまと照らし合わせたらどんなもんなのかっていうところ。森博嗣氏の予測通りに世の中の技術は進歩したのか否か。それ以上なのか以下なのか。ど素人なりの勝手なイメージではそれ以上やったんかなーって思っている。
Posted by
とりあえず分厚い文庫だった。 でも、読み始めたらあっという間。 犀川先生と萌絵ちゃんのシリーズ。真賀田四季博士が出てきます。対決…ではないか。争ってはいないから。対面というか、真賀田博士の遊びに入り込んだかんじ。 現実と虚構の世界が入り交じっていて、現実に属すると思っていたも...
とりあえず分厚い文庫だった。 でも、読み始めたらあっという間。 犀川先生と萌絵ちゃんのシリーズ。真賀田四季博士が出てきます。対決…ではないか。争ってはいないから。対面というか、真賀田博士の遊びに入り込んだかんじ。 現実と虚構の世界が入り交じっていて、現実に属すると思っていたものが虚構だったり…。やがて、その境目や違いの定義すら分からなくなっていった。その感覚はなんだか心地よくって、すっかり真賀田博士の創った世界に私も取り込まれてしまったよう。 ともあれ、犀川先生がいつになく優しくて、萌絵ちゃんの手を引いて、ユーロパークのアトラクションから抜け出すとことか、いゃあ、良かった。
Posted by