マネジメント エッセンシャル版 の商品レビュー
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ドラッカーはあらゆる組織を、社会を構成する機関として位置づけた。そして、組織が社会の機関である以上、社会、コミュニティそして個人のニーズを満たすために存在しなければならないと指摘する。逆に言うと、社会やコミュニティ、個人のニーズを満たさない組織は、存在価値がないということになる。組織がこれらのニーズを満たすというミッション(使命)を達成し、その「成果」を上げるために必要となるのが、ドラッカーがいう「マネジメント」である。したがって「マネジメント」とは、部下の管理のみを指すのではなく、トップ・マネジメントのみを指すわけでもない。組織をして「成果」をあげさせるための道具、機能、機関である。 重要なことは、「成果」は組織の外部にのみあるということ。顧客が決めるものである。しかし「成果」を挙げるだけでは不十分。そこには、マネジメントの「正当性」が要求される。その「正当性」とは「人の強みを生産的なものにする」ことである。しかるに組織とは「人の弱みを無意味なものとし、強みを活かし」「ともに働く人たちの生産性を高めるための道具」である。その道具を使って、個人の強みを社会のためにする。これがマネジメント正当性の根拠であるとする。従って、マネージャーは、働く者がその強みを活かしながら、職務に誇りを持つように生産的な仕事とフィードバック情報を与え、権限と責任を持たせることが必要。その条件として、働く者の継続学習は不可欠となる。このように、マネジメントは限られた人のみにかかわる問題ではない。組織の「成果」に対して一部でも責任を負っている人ならば、誰もが実行しなければならないことが分かる。 組織の中の人間が果たすべき貢献は多様である。しかし、それらの貢献は共通の目標に向けられなければならない、として紹介されている3人の石工の話(p.137)は興味深い。技能自体が目的となってはいけない。目標は常に「組織全体の目標から引き出されたものでなければならない」(p.139)からだ。その上で、「自己管理による目標管理」こそ、マネジメントの哲学(基本原理・理念)だという。人間はというものが責任、貢献、成果を欲する存在だからである(p.141)。 この著書『マネジメント』は、組織で働いている多くの人にとって、暗黙知として感じていることを、形式知に変えてくれていると感じるのではないだろうか。ドラッカーのもっとも基本的な関心は「人を幸福にすること」にあったという。この「マネジメント」は、組織管理という観点ではなく、組織社会の中の人間の幸福・生き甲斐に焦点をあてているようである。「自己実現の手段として組織を活用する」。知識基盤社会の中の幸福のあり方についても考えさせられる著書でもある。
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▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/136757
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経営学におけるコーラン。 学生時代に斜め読みした際は「ふーん、ドラッカーって凄いなぁ」くらいの感想だったが、改めて読み返してみると「凄いなぁ」が10倍界王拳されている様に感じる。 マネジメントってとても哲学的で、原理をひらすらに考え続ける事以外に何も無いという事を思い知らされる。...
経営学におけるコーラン。 学生時代に斜め読みした際は「ふーん、ドラッカーって凄いなぁ」くらいの感想だったが、改めて読み返してみると「凄いなぁ」が10倍界王拳されている様に感じる。 マネジメントってとても哲学的で、原理をひらすらに考え続ける事以外に何も無いという事を思い知らされる。最も深い海をクリアに著しているドラッカーの言葉だからこそ、何十年経っても常に新鮮で有り続けるのだろう。 間違いなく繰り返し読む一冊なのだが、ドラッカー以降が生まれてこない事には危機感を持つ。。
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今更読みました。 いかに部下が成果を上げる環境を整えられるかがマネジメントの仕事と再認識。 そのためにも自身の評価は気にせず、高い基準を設定して一流の仕事を求め、強みを引き出し、誰が正しいのかではなく何が正しいのかを考えることが重要なんですね。 成果を出せる人には誰として文句...
今更読みました。 いかに部下が成果を上げる環境を整えられるかがマネジメントの仕事と再認識。 そのためにも自身の評価は気にせず、高い基準を設定して一流の仕事を求め、強みを引き出し、誰が正しいのかではなく何が正しいのかを考えることが重要なんですね。 成果を出せる人には誰として文句言えないよなぁ〜
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僕の人生のバイブルです。 基本中の基本が記されています。 しかし、仕事を考える上でも、組織を考える上でもマネジメントは欠かせないものに違いありません。 成果を定義すること、そしてその成果のために最も合理的な意思決定をすること、そのための組織を作ること。 大切だが見落としがちな...
僕の人生のバイブルです。 基本中の基本が記されています。 しかし、仕事を考える上でも、組織を考える上でもマネジメントは欠かせないものに違いありません。 成果を定義すること、そしてその成果のために最も合理的な意思決定をすること、そのための組織を作ること。 大切だが見落としがちな基本を叩き込まれた。
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いわずと知れたビジネス書籍のベストセラーであるピーターFドラッカーの「マネジメントー基本と原則ー」を今更に読了。社歴に関係なく一度読まれることをお勧めします。 現代の組織社会において指針を示してくれる哲学書のようである。本書はあくまで方向性を示してくれるのであって、現状を把握した...
いわずと知れたビジネス書籍のベストセラーであるピーターFドラッカーの「マネジメントー基本と原則ー」を今更に読了。社歴に関係なく一度読まれることをお勧めします。 現代の組織社会において指針を示してくれる哲学書のようである。本書はあくまで方向性を示してくれるのであって、現状を把握した上で、当然ながら自ら実践しなくてはならない。 ー以下一部抜粋ー 『自己管理による目標管理こそ、マネジメントの哲学たるべきものである。』p141 『マネージャーとして失格とすべき真摯さの欠如を定義することは難しくない。 ①強味より弱みに目を向ける者をマネージャーに任命してはならない。・・・ ②何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者をマネ^ジャーに任命してはならない。… ③真摯さよりも、頭のよさを重視する者をマネージャーに任命してはならない。… ④部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。そのような者は人間として弱い。 ⑤自らの仕事に高い基準を設定しない者もマネージャーに任命してはならない。…』p147
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管理職の仕事がメインになってくるなら、何度も読み返す必要がありそう。読みながらも組織のあり方について考えたが、読み返すタイミングで視点も違っていそう。 以下、抜粋(他の方のレビュも参考にしながら) ★は自分の意見。 p287(付章「マネジメントのパラダイムが変わった」) ★管理者(部長)という立場から、人のマネジメントをするということは、その人たちが何を求めているかをマーケティングすることであり、会社から望まれることを押し付けることではないのでは、という認識になった。 役員にどう話すかは難しい。。。 --- 上司と知識労働者の関係は、かつての上司と部下の関係ではなく、指揮者と楽器演奏者の関係に似ている。知識労働者を部下に持つ上司は、オーケストラの指揮者がチューバを演奏できないのと同じように、部下の仕事の肩代わりをすることができない。 つまり、フルタイムの従業員さえ、これからはボランティアのようにマネジメントしなければならない。 これらのことは、人のマネジメントの仕方はいつも同じではないことを意味する。 人をマネジメントすることは、仕事をマーケティングすることを意味する。 マーケティングの出発点は、組織が何を望むかではない。「相手が何を望むか」「相手にとっての価値は何か」「目的は何か」「成果は何か」である。 問題は成果についてのマネジメントの仕方である。オーケストラやフットボールの中心が音楽や得点であるように、人のマネジメントの中心となるべきものが成果である。 知識労働の生産性が中心的な問題となる。人について行うべきは、マネジメントすることではなく、リードすることである。目的は一人ひとりの人間の強みと知識を生かすことである。 P9(マネジメントの役割) マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させるうえで三つの役割がある。 ①自らの組織に特有の使命を果たす。 ②仕事を通じて働く人たちを生かす。 ③社会の問題について貢献する。 P23(事業は何か) 「我々の事業は何か」を問うことこそ、トップマネジメントの責任である。企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。 P36(事業の目標) 「われわれの事業は何か。何になるか。何であるべきか」を考え目標を検討するのは、知識を得るためではなく行動するためである。目標は、実行に移されなければ目標ではない。夢に過ぎない。 P74(責任と保障) 働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。①生産的な仕事、②フィードバック情報、③継続学習が不可欠である。 ★責任と権限のの持ち方については自分の場合もそうだが、メンバーにも伝える必要がありそう。 P103(社会的責任の限界) 企業が責任を要求されたときは、必ずそれについて「権限を持っているか、持つべきか」を自問する必要がある。もし権限を持たず、また持つべきでないならば、責任を負うことの是非について疑いを持つべきである。 P125(マネジャーとは何か) 専門家が自らのアウトプットを他の人間の仕事と統合するうえで頼りにすべき者がマネジャーである。 P128(マネジャーの仕事) マネジャーには二つの役割がある。 ①部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産隊を創造することである。 ②そのあらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされるものを調和させていくことである。 マネジャーに共通の仕事は五つである。 ①目標を設定する。②組織する。③動機づけとコミュニケーションを図る。④評価測定する。⑤人材を開発する。 ★自分に厳しくならねば。。。 P147(組織の精神) ①強味よりも弱みに目を向けるものをマネジャーに任命してはならない。できないことに気付いても、できることに目のいかない者は、やがて組織の精神を低下させる。 ②何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つものをマネジャーに任命してはならない。仕事よりも人を重視することは、一種の堕落であり、やがては組織全体を堕落させる。 ③真摯さよりも、頭の良さを重視するものをマネジャーに任命してはならない。そのような物は人として未熟であって、しかもその未熟さは通常なおらない。 ④部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。そのような物は人間として弱い。 ⑤自らの仕事に高い基準を設定しない者もマネジャーに任命してはならない。そのような物をマネジャーにすることは、やがてマネジメントと仕事に対するあなどりを生む。
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【阿南】労働における5つの次元、心理的支配、がとても勉強になりました。 「仕事の上の人間関係は尊敬に基礎を置かなければならない。これに対し心理的支配は根本において人をバカにしている」謙虚且つ真摯に振り返る姿勢が、チームの幸せに繋がると信じて、向き合っていくと決意させてくれた1冊で...
【阿南】労働における5つの次元、心理的支配、がとても勉強になりました。 「仕事の上の人間関係は尊敬に基礎を置かなければならない。これに対し心理的支配は根本において人をバカにしている」謙虚且つ真摯に振り返る姿勢が、チームの幸せに繋がると信じて、向き合っていくと決意させてくれた1冊です。
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エッセンシャル版とは言え密度が濃い。 文字が小さいので電車等移動中には読みにくいし・・・ 原文がそうなのか、翻訳者の特性なのか、単文で言い切る表現が多く、それはそれで明確で分かりやすい。 「もしドラ」を読んでからこれを読むというのは、かなりミーハーな行動の気もするが、どこがエッセ...
エッセンシャル版とは言え密度が濃い。 文字が小さいので電車等移動中には読みにくいし・・・ 原文がそうなのか、翻訳者の特性なのか、単文で言い切る表現が多く、それはそれで明確で分かりやすい。 「もしドラ」を読んでからこれを読むというのは、かなりミーハーな行動の気もするが、どこがエッセンスのエッセンスか示してくれるという意味では、大変良いガイドと言えるのかも知れない。 よく考えると、もしドラも大変計算されていると言える。ストーリ自体はちょっとあり得ないベタベタなフィクションだけど。
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「独創性といえども、基礎的な道具があって初めて力を発揮する 。」 基礎的な道具とは何か? 例えば、フレームワーク?
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