スピリット・リング の商品レビュー

L.M.ビジョルド(著者),梶元靖子(訳者)

2009/10/04

The Spirit Ring by Lois Mcmaster Bujold:
フィアメッタ・ベネフォルテ
トゥール・オクス

2009/10/04

フィアメッタは、大魔術師の父に魔術師になることを反対されている女の子。ところが死霊の指輪“スピリット・リング”を持つロジモ公に君主と父を討たれてからは一人で街を逃げまどうことになってしまうのです。
ロジモ公は新たにより強力なスピリットリングを作る為に、彼女の父の魂を指輪に閉じ込めようとするのです。
彼女は逃亡の途中で運良く父の弟子になるはずのトゥールと出会い、彼の兄の魂と父の魂を救うべく二人はロジモ公と書記官のニッコロに立ち向かっていくのです。
主人公がお年頃の娘ということで、もちろん初々しいラブロマンスありです。

2009/10/04

ビジョルド初のファンタジー。
中世イタリアを舞台にした、悪霊を封じこめた指輪を巡る物語。
和製ファンタジーだと、舞台から創らなければいけないのに対して、
向こうのファンタジーってやつは、特に断りもなく、現実の世界に魔法や怪物が自然といられる環境が羨ましい。
アメリカなんかのヲタクが、『ロードス島戦記』を見て、ジャパニメーションとしては認められるけど、
ファンタジーとしてはなんだこりゃ、と言う感想を持つという話と無関係ではないだろう。
まー、プリニウスなんかの時代から博物学として怪物が現実と地続きだったわけだしな。
海外のヒロインはかなり女として強いんだけど、この主人公はわりと日本ものっぽい元気美少女。
結局恋愛ものなんだよね。
ラストで、ブロンズのペルセウス像が民衆の先頭に立って歩くところが、
「デ、デ、デ、デ〜」と大映の重低音が聞こえてきそうでよかったくらいかな。