安楽椅子の探偵たち の商品レビュー
図書館の子ども向けコーナーからふと手に取った1冊。 子ども向けだから字も大きめで読みやすそう…と思って読み始めた1編目『十五人の殺人者たち』。 全く読み進められない(汗) 翻訳ものの独特な言い回しなのか、状況が全く頭に入ってこず脱落しかけたが、編者の「あなたもこのラストを読んで、...
図書館の子ども向けコーナーからふと手に取った1冊。 子ども向けだから字も大きめで読みやすそう…と思って読み始めた1編目『十五人の殺人者たち』。 全く読み進められない(汗) 翻訳ものの独特な言い回しなのか、状況が全く頭に入ってこず脱落しかけたが、編者の「あなたもこのラストを読んで、あっ、と言うと思いますよ」という言葉に励まされ何とか読み終えた。 読み終えて見ればなかなかに心地よい読後感。 『九マイルは遠すぎる』はタイトルは知っていたものの、初めて読んだ。 安楽椅子探偵と言うと、全ての状況を室内で聞いた探偵が謎を解き明かすものを思い浮かべるけど、これは少し違っている。 偶然は必然であるところが面白い。 『登場人物を探す作者』は、ミス・フィップスが魅力的。彼女が主人公の話が他にもあれば読んでみたいと思った。 『多すぎる証人』 言葉遣いや設定に古さはあるものの、たくさんの証人がてんでばらばらのことを言っているというところが面白い。読み応えがあった。 最後に赤木かん子さんが解説されている中で紹介されている『医学は推理する』も面白そう。
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『九マイルは遠すぎる』が読める本を図書館で検索したらこちらの本がヒットした。「Little Selections あなたのための小さな物語」というアンソロジー・シリーズの一冊。読みやすい大きめの字で、語りかけてくるような親しみやすい解説も楽しい。 以下、ネタバレありかも感想。 ■ベン・ヘクト『十五人の殺人者たち』(一九四三) 医者、特に権威主義的な医者に対する不信感を隠しもしない皮肉に満ちた文章で、若干読みにくいのだが、それすら結末を際立たせるための小道具だったのかもしれない。 ■ハリイ・ケメルマン『九マイルは遠すぎる』(一九四七) 安楽椅子探偵とは言うけれど…発生していたことすら知らなかったはずの殺人事件を言い当てて犯人逮捕までこぎ着けるとは!途中から、「わたし」が犯人なのかと思ってしまったがそれはなかった。 ■フィリス・ベントリイ『登場人物を探す作者』 発表年わからず。作者は一八九四年生まれ、一九七七年没で、本業はブロンテ姉妹の研究者。本作の探偵役であり女流作家でもあるミス・フィップスが、列車で出会った若い刑事が頭を抱えていた難事件を、話を聞いただけであっさり解決してしまう。お見事。というわけだが、推理の内容を聞く限りでは、解決できなかった刑事の方に問題があるような気もする。しかしミス・フィップス、丸顔で、ファッションにも頓着しない、白髪のおばさんだが、話してみると興奮屋でおちゃめなところもあって、なかなか魅力的。 ■天藤真『多すぎる証人』(一九八一) 脳性麻痺の十四歳くらいの少年が探偵役。なんとこの少年は、仁木悦子という別の作家(一九五七年に第三回江戸川乱歩章受賞)の作品に脇役として登場した人物で、これを天藤真が気に入って、お願いしてもらってきたのだそうだ。仁木悦子も車椅子の作家だったとのこと。天藤真は、ただ面白いミステリーを書くだけの作家ではなかった、とは編者赤木かん子の言。
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児童用のミステリ・アンソロジー。 入門編だけど、知らない話も入ってたので 読んでみて良かった。 電車の中の会話で進む『登場人物を探す作者』も 言葉尻だけで推理する『九マイルは遠すぎる』も 寝たきりの少年が探偵の『多すぎる証人』も それぞれにおもしろい。 『十五人の殺人者たち』は...
児童用のミステリ・アンソロジー。 入門編だけど、知らない話も入ってたので 読んでみて良かった。 電車の中の会話で進む『登場人物を探す作者』も 言葉尻だけで推理する『九マイルは遠すぎる』も 寝たきりの少年が探偵の『多すぎる証人』も それぞれにおもしろい。 『十五人の殺人者たち』は職業倫理の話かと思ったら あっ!という結末でした。
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安楽椅子探偵といえども、色んなタイプがあるのがわかる一冊。ちょっと前の、海外訳本に慣れてないと、文章自体が読みにくいかも。 短編4編。「多すぎる証人たち」が一番好き。
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ミステリ短編集。アンソロジー。 ケメルマン『九マイルは遠すぎる』が収録。 ベン・ヘクト『十五人の殺人者たち』は、設定が秀逸。 天藤真『多すぎる証人』は、証言者が証言しなかったことという着眼点が良い。 世界の良作ミステリを気軽に楽しめる一冊。
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北村薫「ミステリ十二か月」より。4編入り。面白かった。前にも書いたけど、ほんとこのシリーズを小学生の頃読みたかったわ。しかし前書きには「中・高生にも読書を…」とあって、もしかして中学・高校向けなの、と。それにしてはルビが多いし、バカにしてんじゃないか。この編者の赤木かん子のなれなれしい語り口が気に入らないんだよね。まぁそれはいいとして。『十五人の殺人者たち』お医者さん達が殺人について告白しあうという設定。こういう場、ほんとにあってもいいんじゃないかと思う。医者の精神的負担は大きいんだから。でも足の引っ張り合いかなー。『九マイルは遠すぎる』超有名作。でも読むの初めてかも。何かきれいにいきすぎててイマイチ。地名とかマイルとか、リアルに感じられないからだろうか。まぁでも当時はすごい衝撃だったんだろう。『登場人物を探す作者』こんな見ず知らずの人に事件について話す刑事もいないだろう、と思うけど、まぁ昔の話だからね。『多すぎる証人』これはミステリ十二か月で紹介されてた「遠きに目ありて」の収録作だそうだ。なので、また読む予定。この作者の天藤真、ちょっと読んでみようかな。そしてあとがきに出てた「黒後家蜘蛛の会」、今まで手が出なかったけど、やっぱ再チャレンジしようかな。
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筒井康隆の「ロートレック荘事件」を読んで【障がい者が出てくるミステリー】つながりで、このアンソロジーの最後に入っていた天藤真さんの「多すぎる証人」を思い出しました。障害のある少年が刑事からの話を聞くだけで犯人を突き止める小気味よいストーリー。小・中学生向けのアンソロジーだそうです...
筒井康隆の「ロートレック荘事件」を読んで【障がい者が出てくるミステリー】つながりで、このアンソロジーの最後に入っていた天藤真さんの「多すぎる証人」を思い出しました。障害のある少年が刑事からの話を聞くだけで犯人を突き止める小気味よいストーリー。小・中学生向けのアンソロジーだそうですが、他の3作も心に残る作品ばかりで、とても面白かったです。編者の赤木かん子さんのアンソロジーをもっと読んでみたいと思いました。
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やっぱり翻訳ものは読むのがつらい。いちど表現にひっかかると、自分で外国語を訳しているような気分で一つの文章をくり返し読んでしまうもの。「十五人の殺人者たち」はタイトルが不穏なのと、医者が集う秘密クラブという冒頭で引いてしまいますが、編者がこれを採用したのは、ひとえにラストの温かさ...
やっぱり翻訳ものは読むのがつらい。いちど表現にひっかかると、自分で外国語を訳しているような気分で一つの文章をくり返し読んでしまうもの。「十五人の殺人者たち」はタイトルが不穏なのと、医者が集う秘密クラブという冒頭で引いてしまいますが、編者がこれを採用したのは、ひとえにラストの温かさゆえだなと納得します。「9マイルは遠すぎる」はやっと出会えた〜という感じ。名前だけはよく聞いたのですが安楽椅子探偵ものだったとは(どこまで本気で読みたかったのか…?)。「登場人物を探す作者」は、トリック解明はいいけど、犯人が「え?この人?」と腑に落ちない。日本の安楽椅子探偵の代表作の一つ「遠きに瞳ありて」のうちの一作「多すぎる証人」が入っていますが、今でも心理ミステリとして読みごたえがあると思います。
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中高生用に集められた安楽椅子探偵ものの短編集。すばらしい作品ばかりそろってます。 安楽椅子探偵とは?という問いに対する解答になる本ではないでしょうか。 読み終わった後、想像力を磨きたくなりました。
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