数学嫌いな人のための数学 の商品レビュー
本書を購入したのがいつ頃か覚えていないが、長らく本棚に並んでいたものを読んだ。 1932年生まれの著者が東京大学で法学の博士号を取得したのは1974年だが、もともとは京都大学理学部数学科を卒業している。その後、大阪大学大学院で経済学を学び、ハーバード大学では心理学と社会学を学んだ...
本書を購入したのがいつ頃か覚えていないが、長らく本棚に並んでいたものを読んだ。 1932年生まれの著者が東京大学で法学の博士号を取得したのは1974年だが、もともとは京都大学理学部数学科を卒業している。その後、大阪大学大学院で経済学を学び、ハーバード大学では心理学と社会学を学んだ。帰国後の1963年に東京大学大学院法学政治学研究科に進み、1967年から「小室ゼミ」を開催していた。1970年に経済史の大家・大塚久雄について学んだ後、上記博士号を取得する、という経歴だ。 万般を修めた小室直樹の著書は、その広汎な知識と「小室節」で、縦横無尽に語るところに特徴がある。 本書では前半の「論理は神との論争から生まれた」の件が斬新で、目から鱗の内容であった。後半の経済学との絡みは私の知識不足でイマイチ理解ができなかったのが悔しい。経済学の基礎を学んだ上で、再読したい。
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数学というより論理学、経済学の本。 ピグーの論理=古典派経済学の命題。=市場を自由競争に任せておけば、経済はうまくいく。 その待遇は、経済がうまくいかないのは、市場は自由競争になっていないから。 大恐慌の時、ピグーは、労働力市場は、労働組合、法律などで自由競争になっていない。だから経済がうまくいかない、と考えた。 金融危機のときは、預金保護制度が自由を阻害していると考えた。預金保護制度によってモラルハザードが起きている。 ケインズの有効需要の原理は方程式、古典派のセイの法則は恒等式。 リカードの大発見=比較優位説。差額地代説、限界効用説や限界生産力説のはしり、労働価値説。 セイの法則=Supply creates its own demand. 古典派経済学では、公理=恒等式。資源の最適配分が実現する。ベストとは資源の最適配分のことをいう。 失業者の存在は一時的なもの。 有効需要の原理 Y=C+I。Yはyield生産物の略。消費と投資の和。Yは需要で決まる=恒等式ではなく方程式。恒等式と考えると、セイの法則になる。貯蓄がすべて等しに回った状態。生産が少ない状態、クラウディングアウト(締め出し)の状態。資金で投資ができない状態。 クラウディングアウトがあればセイの法則が成り立つが、ケインズは供給側を問題にしないのでクラウディングアウトを無視した。 合成の誤謬=貯蓄を殖やすと消費が減り有効需要が減少する。その結果生産も減る。個人を富ます貯蓄は経済全体を貧しくする。
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文章が雑で、非常に気持ちが悪い。 面白い所もあるので、もったいない。 やや独りよがりで、読者をほったらかしにしているように感じるところもある。 材料は持っているが、調理が雑、といった印象を受ける。 ところどころ、極論すぎると思った個所もあった。 宗教の話は面白かったが、経済の話は...
文章が雑で、非常に気持ちが悪い。 面白い所もあるので、もったいない。 やや独りよがりで、読者をほったらかしにしているように感じるところもある。 材料は持っているが、調理が雑、といった印象を受ける。 ところどころ、極論すぎると思った個所もあった。 宗教の話は面白かったが、経済の話は途中まで面白くて、最後がややこしくてわかりにくかった。 ともかく、語調が嫌い。 やっつけ仕事のように感じた。 【memo】 ガウスの存在定理 n次方程式にはn個の解がある。 ガロアの定理 五次以上の方程式は代数的には解けない。 ⇒ つまり、解があることは分かっていても解けない方程式がある、ということ。
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数学ってこんなにおもしろいんだよ!と頭のすごく良いひとが推してくれる本。 申し訳ございません先生。 情熱は伝わったが理解は及ばない。 私は義務教育が力になっていない人間です。 力がつきなければもう何回か読みます。 「人間の大概の選択(好み)は合理的」とおっしゃっているのを見るに...
数学ってこんなにおもしろいんだよ!と頭のすごく良いひとが推してくれる本。 申し訳ございません先生。 情熱は伝わったが理解は及ばない。 私は義務教育が力になっていない人間です。 力がつきなければもう何回か読みます。 「人間の大概の選択(好み)は合理的」とおっしゃっているのを見るに、先生のまわりのかたと私は当然レベルが違うなぁと感じました。
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最近機械学習関連で数学を学んでいるが、著者である小室氏がその数学についてどんな論を展開するのか、興味があって手に取った本。 結果、すごくタメになった。 通常の数学本には数式がかならず出てくる。 著者は物理学や数学を大学で学ばれているので、そういう本にも出来たはず。しかし、この本では数式はほぼ出てこない。 なぜ、数学が西洋(宗教)から生まれたのか、ここまで発展したのか、などが簡易な文章で語られている。1つ1つの論はそれほど詳細ではないけれど、神との対話で生まれた(形式)論理学が、数学を理解する上での要諦だということは腑に落ちた。たしかに需要だ。 日本の数学教育では、命題や同一律・矛盾律・排中律、対偶・逆・裏、必要条件・十分条件などの論理に関してはほぼ時間を割かない。自分も勉強した記憶がほぼない。良く考えれば、なぜ高校数学の授業で命題とかをやってたのか不思議だったのだが、この本読んでその理由がはっきりとわかった。むしろ、数式を覚えるより、この論理を覚えた方が社会に出たとき数倍役に立つ。数学を学ぶと論理的思考が身に付くのも、結局この形式論理学の基礎を数学を通して無意識に学んでいるからなんだろう。 また、西洋と東洋の論理の違い、そして日本の論理がさらに異なることなども興味深い。宗教的バックボーンが薄い上に、仏教の空思想がなぜか好きな日本人に、西洋の論理が根付かないのはたしかに納得できる。玉虫色が好きだもんね、日本人って。要するに矛盾してるってだけなんだが。。 空思想から数字のゼロが生まれたのかな? 西洋の数学にゼロを混ぜると、色々と矛盾が出てくるもんな。分母がゼロだと分数も崩壊するし。 なお、後半に書かれていた資本主義や経済学の話は、小室氏の別の本と内容が被っていたので、ここではあまり触れないことにする。 物理学・数学・経済学・法学・政治学・社会学など、本当に幅広い学問を学ばれた著者だからこそ書ける本。まさに「数学原論」。専門知に埋没して勘違いしているその辺の学者には絶対書けない。 こういう知的探究心を持って幅広い学問を学んでいる人って、少しずつ少なくなってきている気がする。最近の所謂括弧付き「学者」って本当に信用できないし。。 著者がご存命のうちに、直接学びたかった・・本当にそう思います。
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第3章まではそれなりに興味深い内容であるが、それ以降は退屈きわまりない。 さらに、筆者の怠慢か校正の無能かはわからないが途中で文体が変わっている部分があり極めて不愉快。第5章で会話調にする意味もわからない。
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元々私も「数学嫌い」の一人である。本書は数学に興味を持つきっかけの一冊である。数理論理学すなわち形式論理学の分野を扱っているため数式もほぼ登場しない。数学知識は不要だが、史学や哲学といった文系的素養は要求される。背理法や対偶が原論の範疇かという気がしないでもないが内容は面白い。 ...
元々私も「数学嫌い」の一人である。本書は数学に興味を持つきっかけの一冊である。数理論理学すなわち形式論理学の分野を扱っているため数式もほぼ登場しない。数学知識は不要だが、史学や哲学といった文系的素養は要求される。背理法や対偶が原論の範疇かという気がしないでもないが内容は面白い。 小室氏は数多くの「原論シリーズ(?)」を出版しているが、本書も思想としては左寄りでやや過激、些か偏ってる感は否めない。それゆえ読んでいて極端で面白いともいえる。本書で述べられる「絶対的唯一神との対話」という概念理解が出来るかが論理学のポイントだろう。神視点からの演繹的証明と、聖書視点での帰納的証明の不完全性の指摘などはなかなか興味深い。 中等・高等での数学教育は、具体性ある算数教育から急に、抽象的な数式や公式へ移行するため興味を失いやすい。私がそうであった。本書のような尖った人間臭さがわかったほうが、多少回り道になったとしても数学に興味を持てると思うが、どうだろう。
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「論理」というターム(学術用語)でいきなり数学と宗教を結びつける。知的な掘削が異なる世界の間にトンネルを掘る。ひとつ穴を開ければ地続きの大地が広がる。言われてみればあっさりと腑に落ちる。神の存在問題は真偽や証明に関わってくるためだ。 http://sessendo.blogspo...
「論理」というターム(学術用語)でいきなり数学と宗教を結びつける。知的な掘削が異なる世界の間にトンネルを掘る。ひとつ穴を開ければ地続きの大地が広がる。言われてみればあっさりと腑に落ちる。神の存在問題は真偽や証明に関わってくるためだ。 http://sessendo.blogspot.jp/2014/03/blog-post_5095.html
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数学が嫌い過ぎて、この本さえ10年以上放置してしまった。本には読み時があるという。世界史やイデオロギーそして聖書を知り、古典と言われる書籍にも多少触れた今、まさに読み時だった。やっと最後まで読み切ることができ、この10年間で得た知識が大変役に立ったと思った。 この本の最初は、聖...
数学が嫌い過ぎて、この本さえ10年以上放置してしまった。本には読み時があるという。世界史やイデオロギーそして聖書を知り、古典と言われる書籍にも多少触れた今、まさに読み時だった。やっと最後まで読み切ることができ、この10年間で得た知識が大変役に立ったと思った。 この本の最初は、聖書の話で始まる。なぜ西欧諸国は論理に強いのか。そして日本、中国との対比の中で、各国の歴史をおさらいできる。中盤くらいでやっと数式が出てくる。経済学の数式だ。この辺はとても説明が丁寧だ。そして最後にわっと結論が出る。で、次は?という間に本は終了する。次は?と思うから、もっと経済学が知りたくなる。大変工夫された本だと思った。 ずっと手元に放置されていて気づかなかったが、著者は結構有名人だった。しかも、色々な本の中で著者の論が引用されていたりするのを目にする。数学嫌いの私だったが、アマゾンを見ていたら、他の著書も読んでみたくなった。
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「数学」がタイトルにつくが数学的な内容はほとんど出てこない。数学と論理学、宗教学、経済学などとの関係や矛盾、必要条件、十分条件、証明などの話が例えや歴史的な経緯を踏まえて解説してある。著者特有の表現もあるため、そこは好き嫌いが分かれるかもしれない。
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