だれが「本」を殺すのか の商品レビュー
情報の消化と消費の違い、本とは知性と等価なものか、知識と等価なものか、媒体がそれが保持する内容と独立して媒体自身の自立した意味を持つのか?本好きなものとしてまた考えさせられる。
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本が書かれてから、電子書籍がだいぶ普及してきている時代になりました。携帯もスマホへ。でも、今でも十分説得力のある本。 「本」の業界全体の構造的問題の根深さを感じます。今更どうしようもない状況になりつつあるのでしょうか。
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第一章書店のみ読了。 うちの近所でも中規模の書店がなくなってしまった。 大型書店の出店攻勢は、他の小売業界すべてに共通することだが、本屋は返本できるせいで在庫を抱えるリスクがなく、空き店舗に誘致されやすいことに驚く。大手出版社が自社本を売ったらキャッシュバックするシステムのために、ほんとうの良著が軽く目立つ本に隠れて売れないのは嘆くべきであろう。
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本を読むことは好きではあるが、本書を読んで「本をめぐる世界」を初めて知ることができたように思えた。 「版元-取次-書店-読者」という本をめぐる世界が、日本においてここまで、どうしようもなく行き詰っているとは知らなかった。 「編集」や「図書館」などについても初めて知ることも多く...
本を読むことは好きではあるが、本書を読んで「本をめぐる世界」を初めて知ることができたように思えた。 「版元-取次-書店-読者」という本をめぐる世界が、日本においてここまで、どうしようもなく行き詰っているとは知らなかった。 「編集」や「図書館」などについても初めて知ることも多く、その意味では「知らない世界」を知ることができたのだが、本書はいまひとつ読む魅力に欠ける。 これは、やはり「どうしようもなく行き詰った世界」の紹介だけに、この世界に「夢」というか「面白みが欠ける」せいではないか。 それにしても、著者の膨大かつ緻密な取材力は健在である。 よき取材対象に恵まれたときの著者の本は★5つなのだが、本書はややあまでみても、★三つが良いとこかと思えた。
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たまにベストセラーランキングなどを見ると驚く。宗教関係は除いたとしても、どうしてこんな本が売れているのかって。同じく、山手線をジャックして広告をしている本のあまりのつまらなそう度合いにもあきれる。 あきれるって言ったって、実際にそれが売れているのだし、そもそも人様の好みに偉そうな...
たまにベストセラーランキングなどを見ると驚く。宗教関係は除いたとしても、どうしてこんな本が売れているのかって。同じく、山手線をジャックして広告をしている本のあまりのつまらなそう度合いにもあきれる。 あきれるって言ったって、実際にそれが売れているのだし、そもそも人様の好みに偉そうなことをいうべきではない。それは分かっている。分かっているけど、「全然分かんねえよ。」と思う。 その反面、私は新聞の書評欄が好きだ。実際に出ている本をみても、いい本が多いと思う。こういう本が出版されて、実際に金を出して買っている人がいるというのはいいものだなと思う。 この断層はどこでできるのだろうか。 私が傲慢な教養主義者だから? 私は本屋が苦手だし、嫌いだ。本屋に行くと脅迫されている気がする。 私が好きなのは図書館とAmazonだ。読む、検索する、読む、検索する、この流れが一番いい。例えば、この本を読んで、藤原書店の「地中海」を図書館でネットから予約した。図書館になかったらAmazonで検索し古本を探す。それでもなかったら新刊を買う。 だいたい、この本も図書館で借りたものである。安く上げることが目的ではないので(安いほうがありがたいけど)、著者には申し訳ないと思いながらも、だってしょうがないじゃない、って思う。 本が好きなだけに、こういうのは一体何なのだろうと思ってこの本を読んでみた。だけど結局よくわからなかった。 ただずっと読みながら思っていたことが、最終章の最後で言及されていて、それはうれしかった。 「読者はパトロンなのだ」って。 うん。そう思う。だって、この本を読んでいてずっと意外に思っていたのは、「本というのは初版で500部〜2000部ぐらいしか刷らない」ということだった。そんなので(カツカツとはいえ)成り立つの? というのが意外だった。 だったらこんなの、最初から顔の見える商売じゃん。お得意さんが1000人だったら、個体認識するのが最初からあたりまえじゃないのか? なぜそれができないのか、というところから逆算して考えるべきじゃないのかな。 「1000人のお得意さんにリピートオーダーをしてもらう」というビジネスモデルをまず考え、それを実現するツールとして、本とか書店とか集金方法とかを考えるべきなんじゃないかな。 ベストセラーはビジネスモデルが違う。こっちは一見さん相手に大量生産大量露出大量販売するもので、だったら薄利多売にすればいいのに、バーゲニングパワーの使えない今の商慣習が問題になると思う。 思うに、二つのビジネスモデルが同じ体裁で並んでいて、ごっちゃになっているから、「結局よう分からん」と思ってしまったのではないかと思う。
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消えていった魅力的な本、本屋の佇まい、そして私たち自身の本への熱い思い。著者は渾身を込めて、出版の洪水、本屋の金太郎化、ベストセラー本の無料貸本屋と化しつつある公共図書館の悩み、かっての良心大手出版社(筑摩、みすず・・・)の悩み、幻冬舎の興隆に見るベストセラーの誕生裏話、地方出版...
消えていった魅力的な本、本屋の佇まい、そして私たち自身の本への熱い思い。著者は渾身を込めて、出版の洪水、本屋の金太郎化、ベストセラー本の無料貸本屋と化しつつある公共図書館の悩み、かっての良心大手出版社(筑摩、みすず・・・)の悩み、幻冬舎の興隆に見るベストセラーの誕生裏話、地方出版社の動向、書評そのものの変化(ベスト10という考え方の始まり)、電子化の流れと今後への影響予測(一言で言ってもオンライン書店、電子本、そしてオンデマンド印刷など幅広い)など、様々な切り口から溢れる本と文化が必ずしも一致せず、むしろ文化の廃退を招いている本質に迫っていきます。いきつくところ一般読者である私たち自身が問われている、極めて鋭い本でした。紹介されている「本の花束」という書評雑誌はぜひお薦めのようです。
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出版業界の不況の波を 作家・版元・取次等の立ち位置からしかみえないリアルなインタビューを通して切り込んでいて、おもしろかったです。 紀伊国屋・ジュンク堂社長の話も、興味深く。 でもなにより 出版先が奨励金目当てで店頭スペースをつくり、平積みにし、1冊でも多くその対象となっている本を売る。 その結果、ベストセラーと言われる本になる、というのに驚きました。 ベストセラー=売れている本 だから、嘘ではないのだけれど。 これからは○○万部突破!ってあっても 「ふうん?これはホントにそうなったのか、つくられたのか、どっち?」 って斜めからみてしまいそう。・・・うーん、嫌。そんな自分。
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2001年の本なので情報がやや古いが、業界を知るには十分な内容。10年経って、出版業界の衰退が更に進んでいることが分かる。
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実際は文庫版を上下巻で読みました。 本という媒体を殺したのは一体誰か? という考え方から筆者は捜査を始めます。本屋なのか? 出版社なのか? それとも読者なのか? もしかしたらその疑問に終わりはないのかもしれません。
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極論すると、結局 ”本を殺す” のは「読者の劣化」だと思っています。 もちろん、”本を殺す” 原因や理由は一つや二つではなくいろいろ複合しているし、複雑にからみあって悪循環になっているところもあると思うけれど。 とてもショッキングなタイトル。 書かれた事実のどれもが、書店で働い...
極論すると、結局 ”本を殺す” のは「読者の劣化」だと思っています。 もちろん、”本を殺す” 原因や理由は一つや二つではなくいろいろ複合しているし、複雑にからみあって悪循環になっているところもあると思うけれど。 とてもショッキングなタイトル。 書かれた事実のどれもが、書店で働いていた頃「そうだ、そうだ」と思っていたことばかり。 だって、ニーズに合わせて供給していくのが商業の基本ですよね。 買ってくれる本を作ろうというのは何も間違っていない、でも、買ってくれる本を作ろうとすると、一過性の大ヒット狙いということになってしまう。 それは、大方のお客さんの求めているものがそれだから。 長く愛される良書を売っていくためには、長く愛してくれる目の越えたお客さんありき、じゃないでしょうか。
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