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2009/10/04

 沢木耕太郎自身が私ルポ、私ノンフィクションと呼ぶ作品。作家壇一雄の夫人である壇ヨソ子の視点を通して、つまりヨソ子の一人称で、ヨソ子が夫である壇一雄の書いた私小説「火宅の人」を読み返し、壇一雄の生涯、彼の生涯を通しての自分を見つめ返す。  女性として、妻として、母親として生きたヨ...

 沢木耕太郎自身が私ルポ、私ノンフィクションと呼ぶ作品。作家壇一雄の夫人である壇ヨソ子の視点を通して、つまりヨソ子の一人称で、ヨソ子が夫である壇一雄の書いた私小説「火宅の人」を読み返し、壇一雄の生涯、彼の生涯を通しての自分を見つめ返す。  女性として、妻として、母親として生きたヨソ子夫人の吐露の記録である。一人の人間が、自分の過去ではなく、他人の生涯を通して、自分の生涯を振り返るという方法が斬新。夫の生涯を振り返ることが、自分の人生を振り返ることと同義になるなんて、この上なく美しいことだと素直に思った。  

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2009/10/04

沢木耕太郎の「私ノンフィクション小説」といわれる作品。「家宅の人」の作家である壇の未亡人とのやりとりから作り上げられた作品。

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2009/10/04

沢木耕太郎が檀一雄の妻ヨソ子の一人称を用いて語るフィクションとノンフィクションとも言い難い作。一般に無頼派だと思われがちな檀が実は生真面目で走り泳ぐのが趣味だったこと、「真の」無頼派太宰治に対する尊敬と憧れをもっていたこと、など妻の目線からみた檀像はおもしろい。あえて無頼派を「装...

沢木耕太郎が檀一雄の妻ヨソ子の一人称を用いて語るフィクションとノンフィクションとも言い難い作。一般に無頼派だと思われがちな檀が実は生真面目で走り泳ぐのが趣味だったこと、「真の」無頼派太宰治に対する尊敬と憧れをもっていたこと、など妻の目線からみた檀像はおもしろい。あえて無頼派を「装った」檀の気持ちはなんとなく分からないでもないかもしれない。『火宅の人』とセットで読むといいだろう。

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2009/10/04

本書一冊で立派な檀一雄論に、檀一雄の伝記になっていて、その緻密な取材ぶりに驚くけれど、やはりこれは裏「火宅の人」ということで、「火宅の人」とセットで読むと両書とも2倍楽しめるような気がします。「檀」はヨソ子夫人から、「火宅」は檀一雄から見た、檀一雄。そして両者を読み比べることで、...

本書一冊で立派な檀一雄論に、檀一雄の伝記になっていて、その緻密な取材ぶりに驚くけれど、やはりこれは裏「火宅の人」ということで、「火宅の人」とセットで読むと両書とも2倍楽しめるような気がします。「檀」はヨソ子夫人から、「火宅」は檀一雄から見た、檀一雄。そして両者を読み比べることで、「火宅」の小説性と「檀」の現実性とが浮き上がってくるようで面白い。だけど、やはり、晩年の闘病生活の部分は読んでて辛くなります。檀一雄の豪放ぶり、翼でもついているみたいにどこにでも身軽に飛んでいってしまうところを散々読んだ後だけに、病院のベッドに貼りつけられて動けなくなってしまう最後の方は、とても悲しい。

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2009/10/04

愛人との生活「火宅の人」を世に残し亡くなっていった檀一雄。その未亡人となった妻の立場からもう一度過去の檀一雄を振り返り、30年の愛の痛みと真実をあきらかにした一冊。最後まで檀の妻として生きた姿に心打たれた。

Posted byブクログ