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4.1

75件のお客様レビュー

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2011/10/13

この頃檀一雄づいているのでじゃあ客観的なノンフィクションでも読んでみようかと借りてみました。沢木氏はむか~し深夜特急を読んだ事があるのでノンフィクションだとばかり思ってました。 檀一雄の妻、ヨソ子さんの一人称で書かれていてびっくりしました。本人から一年にわたる聞き取りを経て書...

この頃檀一雄づいているのでじゃあ客観的なノンフィクションでも読んでみようかと借りてみました。沢木氏はむか~し深夜特急を読んだ事があるのでノンフィクションだとばかり思ってました。 檀一雄の妻、ヨソ子さんの一人称で書かれていてびっくりしました。本人から一年にわたる聞き取りを経て書かれたとあとがきにありましたが…やっぱりコレは小説なのではないかな、と私は思いました。そしてヨソ子さんは一人称で書かれることに抵抗は無かったのかなあ。私だったら他人が私のフリをして書く文章なんて絶対ごめんだと思いますけれども。 檀一雄の妻の言葉をそのまま書いた文章なのか、それとも沢木氏の考えなのか、どの辺りで線を引いているのかがわからないので通り一遍の小説を読んでいる気分になりました。個人的には客観的な事実、という捕らえ方の本を読みたかったので残念です。 火宅の人は読んだは読んだのですが…事実なんだかどうかわからないというか。作者の都合の良いように解釈された事象だけが大げさに取りざたされているのではないか、とも思えたのでもう少し一歩下がった本が読みたかった、のですが。 ヨソ子さんが書かれたなら、感動したかも知れない箇所も第三者が都合よく演出したのでは?と変に懐疑的になり、素直に語り手の心に沿うことが出来ませんでした。面白い技法だとは思いますけれどもね~

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2010/10/11

作家檀一雄が愛人との生活を綴った『火宅の人』 そこに書かれた話は妻ヨソ子の目からみるものとは かなり異なった情景であった。 戦後バツイチ同士で再婚してから檀の別宅暮らし、 愛人と別れてからの生活と闘病の様子を 妻の視点から語ったノンフィクション。 装丁:大藪雅孝 装画:緒方修一 ...

作家檀一雄が愛人との生活を綴った『火宅の人』 そこに書かれた話は妻ヨソ子の目からみるものとは かなり異なった情景であった。 戦後バツイチ同士で再婚してから檀の別宅暮らし、 愛人と別れてからの生活と闘病の様子を 妻の視点から語ったノンフィクション。 装丁:大藪雅孝 装画:緒方修一 デザイン:新潮社装丁室 解説にもあるけれど面白い表現方法の作品。 物語はヨソ子の一人称で語られていくので自伝のようなスタイルだけれど 実際には沢木がインタビューしたものをこのような文体に仕上げている。 回想録のように語られるからこそ 檀への愛や嫉妬、寂しさ、そして慣れが混ざりあった 複雑な想いが伝わってくるのだと想う。

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2010/07/11

壇一雄の妻桂ヨリ子(本名壇ヨソ子)が夫との生活を振り返る。結婚、次郎の発病と死、恵子(入江久恵)との生活、放浪、闘病、そして死。 どんなめちゃめちゃな生活を送っていたとしてもそれをやめられなかった、やめようとしなかった壇。やっぱり魅力にあふれていたんだろう。

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2010/02/13

「それには、もっとお互いに愛情の技巧に気をつけ、電車に乗る時には一緒に掛け、腕を組んで野山を歩き、月や花を愛し合い、時には立った接吻を交わし、夜の愛撫にも慰め合い、いたわり合い、ヤキモチヲを焼かず、深く信じ、事破れた時には率直に、なつかしい昔の夫婦だったという立場から相談しあうこ...

「それには、もっとお互いに愛情の技巧に気をつけ、電車に乗る時には一緒に掛け、腕を組んで野山を歩き、月や花を愛し合い、時には立った接吻を交わし、夜の愛撫にも慰め合い、いたわり合い、ヤキモチヲを焼かず、深く信じ、事破れた時には率直に、なつかしい昔の夫婦だったという立場から相談しあうことに致しましょう」 ・・・憐れな人間同士であってみれば、なるべく仲良く一緒に、野山に立ち、生きる喜びを知り、激励を交わし合って生きたいものだ。 「あなたにとって私は何だったのか。私にとってあなたはすべてであったけれど。」 ・・・・・夫婦って・・・深い

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2010/01/04

「私は、お父様のことを少し美化しすぎていたのかもしれないわ」  私が言うと、『火宅の人』はあまり正月にふさわしい読書ではないかもしれないと笑っていた娘が、努めて明るい口調で言った。 「お母さん、死んでもチチのところへは行かれないかもしれないわね」 ::::::::::::::...

「私は、お父様のことを少し美化しすぎていたのかもしれないわ」  私が言うと、『火宅の人』はあまり正月にふさわしい読書ではないかもしれないと笑っていた娘が、努めて明るい口調で言った。 「お母さん、死んでもチチのところへは行かれないかもしれないわね」 ::::::::::::::::::::::::: 秋頃から近所のとある作家の家が改築でもするのだろう一部取り壊しが始まった。 母屋はそのままなのだが先日気づくと離れが綺麗さっぱりなくなっている。 その離れは夜に前を通り掛かり見上げると縦に細長く穿った窓越しに黄橙の明かりの奥に壁一面の本棚が眺められ私のお気に入りであった。 そういえば私はその作家の小説を読んだことがなかった。 ふとそう思った私は丁度心に掛かることもあったのでその足で駅前に引き返し小さいが遅い時間まで開いている本屋に入るとやや厚めの上下巻二冊の文庫を買い求めた。 そしてこの正月の課題図書とすることにしたその本を年の瀬の大掃除の合間に帰省しても部屋に篭り遊びに来た甥達とさいころを振りながら初売りの百貨店のフロアの隅のベンチで読み耽った。 こうして新しい年を迎えたわけだがそれにふさわしい読書だったかいまはまだ分からない。 思うところ多く感ずるところ多くしかしながらいまだ形を成さず答はこれからのときが解くところと思う。 私は心にしたがう。 ただ漠然とこの作家はきっとこれからのときとともに人びとの記憶から忘却されていくことは免れまいと不思議に強くした。

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2009/11/02

「檀」は、檀一雄の妻、ヨソ子さんの独白という形で進行していく。 出会いから始まって「火宅の人」執筆の裏側、晩年に至るまで、ベストセラーになった当時「火宅の人」を読んだ私としてはとても面白かった。  檀ふみさんのお母さんでもあるヨソ子さん、私の母と同年代でもあり、我慢我慢の人生でも...

「檀」は、檀一雄の妻、ヨソ子さんの独白という形で進行していく。 出会いから始まって「火宅の人」執筆の裏側、晩年に至るまで、ベストセラーになった当時「火宅の人」を読んだ私としてはとても面白かった。  檀ふみさんのお母さんでもあるヨソ子さん、私の母と同年代でもあり、我慢我慢の人生でも檀一雄本人のことが本当に好きだったんだろうなぁ~と実感する。 また、インタビューを受けないヨソ子さんが、沢木耕太郎氏のインタビューを受ける気になったのは、やはり作家の魅力によるところが大きかったのでは?とも思った。

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2009/10/14

『火宅の人』を読んだことのある人なら、これはきっと楽しめる。 奥さんの語り口だけど、沢木耕太郎の視点も混じる。こんな裏事情があったんだ…奥さんはこんな思いだったんだ…と思うと同時に、壇一雄という人物像が新たに浮き彫りになる。 一気に読んでしまった。とても面白い。

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2020/07/15

これは、とても面白い本だった。 檀一雄の妻である、檀ヨソ子の一人称の視点から語られているのだけれど、実際に本人が書いているわけではなく、ヨソ子氏への詳細なインタビューをもとに、沢木耕太郎氏が物語調にアレンジをして書き上げた形になっている。 もともと、檀一雄の代表作である「火宅の...

これは、とても面白い本だった。 檀一雄の妻である、檀ヨソ子の一人称の視点から語られているのだけれど、実際に本人が書いているわけではなく、ヨソ子氏への詳細なインタビューをもとに、沢木耕太郎氏が物語調にアレンジをして書き上げた形になっている。 もともと、檀一雄の代表作である「火宅の人」という小説自体が、事実と創作とを絶妙な割合で組み合わせた、何に分類するべきともつかない、ぬえ的な小説だった。 この「檀」という作品も、実際に起こった出来事をもとにして作られていながら、そこには、まったくの第三者の目から、檀という作家の家族の姿を解体して、そこに潜んでいた意味を掘り起こそうという意図が含まれている。 同じく、インタビューをもとに書き起こされたドキュメンタリーである「凍」を読んだ時にも感じたことだけれども、沢木耕太郎という人は、その聞き込む対象と決めた人物と、細かい部分に至るまで感覚を共有するところまでインタビューを繰り返して、その事を、自分自身の体験のように感じながら、小説を書いているのだろうと思う。 このスタイルは、ゴーストライターが著名人本人の代わりとなって自伝的小説を書いているような形とは根本的に異なっている。素材そのものの姿を伝えればいいのではなく、素材を理解して、更に本質的な部分を取り出して編集するという、高度な技術の上に成立している作品なのだと思う。熟練の匠の、見事な技を見るような思いで、この本を読んだ。

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2009/10/04

檀一雄の未亡人、ヨソ子さんへのインタビューを一人称の形でまとめた不思議な小説。檀一雄のどうしようもない部分も見えてくるけれども、読み進めるうちに(特に晩年)、ヨソ子さんの檀一雄に対する愛の深さが分かります。 沢木耕太郎はかつて1回だけゴーストライターをしたことがあるらしいけれ...

檀一雄の未亡人、ヨソ子さんへのインタビューを一人称の形でまとめた不思議な小説。檀一雄のどうしようもない部分も見えてくるけれども、読み進めるうちに(特に晩年)、ヨソ子さんの檀一雄に対する愛の深さが分かります。 沢木耕太郎はかつて1回だけゴーストライターをしたことがあるらしいけれども、そのときの経験も生きたのでしょうか。鮮やかな一人称形式のまとめかたに唸らされます。ハードカバーも文庫本も、緒方修一さんによる装丁がお洒落で好きです。

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2009/10/04

あなたにとって私はなんだったのか。私にとってあなたは全てであったけれど。 http://www.touchingword.net/che/detail.php?id=888

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