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4.1

75件のお客様レビュー

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2013/08/10

ヨソ子さんという、変わった名前の、女性の風変わりな人生。破滅派、と言われる夫との奇妙な夫婦生活を描く。二人の間の切れそうで切れない不思議なつながり、ヨソ子さんの器用な生き方ではないけど、強くしなやかな精神力に感服

Posted byブクログ

2013/08/05
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※このレビューにはネタバレを含みます

愛人との日々を赤裸々につづった「火宅の人」の著者、檀一雄の妻ヨソ子さん。沢木耕太郎が徹底的な取材を経て、彼女の目線で檀を、彼女自身を語っている。妻として母として、数え切れない苦悩と葛藤を乗り越えて、檀を支え家族を支えたひとりの女性の、それこそ数え切れない決意の連続が彼女の人生だったように思える。元来の性分がそうだったにせよ、自分自身を押し殺し(そうせざるを得ず!)家族を守り、結局は最後まで檀を愛し続けたヨソ子さんの人生にただただ敬服するほかない。でもヨソ子さん、それでよかったの?と何度も思いながら読み進めていったが、印象的な、ちょっとだけホッとした一文があった。“私の人生の帳尻は合ったような気がする”------檀が逝き、経済的に不自由もなく、子どもたちに囲まれて老後を過ごしているヨソ子さんの、数少ない本音がみえたようで、ホッとしたのだ。幸せだったかどうかはわからない。でもこんなふうにして自らの人生を語れる、作家の妻として生ききったという証が残せる人生にそうそう出会えるもんじゃない。捉えようによってはワイドショーのあちら側(『火宅の人』)とこちら側(『檀』)だが、文学として昇華されことで、語られたことで(そう成り得るに十分な人生だったからこそ)、報われ、「帳尻が合った」のだと思う。 そして続けてワイドショーならそちら側、「檀一雄の光と影」を読み始めたところ。

Posted byブクログ

2013/09/10

沢木らしい作品。 さすが沢木耕太郎だと思った。 沢木といえば、旅行記かルポタージュなイメージだったが、インタビューに基づいて書かれたこの手法も 独特で新鮮な印象を受けた。 数多くいる文豪の中で、なぜ檀一雄を取り上げたのか その理由が気になる。

Posted byブクログ

2013/07/15

『火宅の人』→『壇』 の順番で読むと、視点としてはおもしろい。 破滅と分かっていてもその道を進んでしまう人間の一面を よくあらわしている『火宅の人』と、 その世界に触れていたのに穏やかな回想としての『壇』、 あわせて読んでほしい。

Posted byブクログ

2013/07/13

一晩で、いっきに読んでしまった。それくらい面白い。 檀一雄の奥さんをインタビューした、ノンフィクション。 人の告白とは、こんなにも引きつけられるものなのかと思った。「火宅の人」は、まだ読んでないから、今度読もうと思う。 夫婦の関係性が、時間と外的刺激によって刻々と変化していくが、...

一晩で、いっきに読んでしまった。それくらい面白い。 檀一雄の奥さんをインタビューした、ノンフィクション。 人の告白とは、こんなにも引きつけられるものなのかと思った。「火宅の人」は、まだ読んでないから、今度読もうと思う。 夫婦の関係性が、時間と外的刺激によって刻々と変化していくが、本人達の素は変わらない。そこが、更に夫婦の深い絆のようなものを意識させてくれる。 最後の方で、檀一雄が夫人に送った手紙が紹介される場面があり、その文面に「殆ど滅びかかっている私を更新してもらいたいのです」というものがあった。私はこの一文が、特に気に入った。関係とは、そういうものだと。

Posted byブクログ

2013/06/03

20130602 食べ物のエッセイらか読んだのでこんな大変なことになっていたのは知らなかった。男としてはこんな生き方も有りかも。ただ誠実であるのが前提なのでかなり辛いかも。

Posted byブクログ

2013/04/27

"裏"火宅の人。火宅の人はこれで完結します。完結と言っても出口はなく、読了後もくるくると不思議な夫婦の関係の謎が頭から離れない。

Posted byブクログ

2013/01/03

「火宅の人」の壇一雄の妻の一人称で綴った形のノンフィクション小説。 沢木氏の乾いた文体が夫人の静かな感情をよりリアルに描いている。

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2012/11/06

檀一雄の妻としての檀ヨソ子が自叙伝的に書かれてはいるものの著者は沢木耕太郎である。小説というフィクションの裏側を探るノンフィクション作家。第8章に於いて「人生の帳尻は合ったか」という問いに対し「合った」と答えるヨソ子。何がそこまで人を成すのか、その境地とは程遠い自分がいる。

Posted byブクログ

2012/09/25

作家檀一雄の生涯を、ヨソ子夫人の一人称の回想録という体裁で綴った伝記小説。作者は約1年間に渡りインタビューというかたちで夫人に取材し、書き上げたという。 檀は遺作であり一番の代表作となった「火宅の人」でその私生活を描いており、この「檀」は夫人自身が記したものではないにしろ、「火宅...

作家檀一雄の生涯を、ヨソ子夫人の一人称の回想録という体裁で綴った伝記小説。作者は約1年間に渡りインタビューというかたちで夫人に取材し、書き上げたという。 檀は遺作であり一番の代表作となった「火宅の人」でその私生活を描いており、この「檀」は夫人自身が記したものではないにしろ、「火宅の人」と表裏一体のものとして読めるだろう。 檀には、本宅を出て入江杏子という女優と生活を共にした時期があった。そのいわば愛の記録を、「火宅の人」という小説にされてしまったことに対する怒りや悲しみ、また、それでも檀という男を見限ることのできなかった複雑な心境が綴られる。「私は子供たちの母である前に檀の妻であったのだ」という一節が印象的だ。

Posted byブクログ