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の商品レビュー

4.1

75件のお客様レビュー

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2016/11/24

作家檀一雄の妻よそ子が語る火宅の人,檀一雄. 「火宅の人」は昔,本も読んだし,(それほど好きなわけでもないのに)映画も見た. そしてNHKスペシャルで,病室で肺がんに苦しみながら,火宅の人の最後の章の口述筆記を記録したテープをもとにした番組もみた. この本は,その「火宅の人」...

作家檀一雄の妻よそ子が語る火宅の人,檀一雄. 「火宅の人」は昔,本も読んだし,(それほど好きなわけでもないのに)映画も見た. そしてNHKスペシャルで,病室で肺がんに苦しみながら,火宅の人の最後の章の口述筆記を記録したテープをもとにした番組もみた. この本は,その「火宅の人」の舞台裏をのぞくような感じ. 小説を苦しみ出しながら書く作家と,その小説に苦しめられるその家族との葛藤がなまなましい. しかし,この奥様,最後には自分が夫のことを好きだと気付いて許すんだな.檀一雄にそれだけ魅力があったということか.

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2015/09/09

この本の形式には驚かされる。一人称での語りでありながら、その語りは別人間によってなされる。その結果、この評伝は本当に評伝なのか?全てフィクションではないのか?とさえ勘繰りたくなるくらい、濃密な内容。 ただ沢木耕太郎の手になるものであるなという感はある。どんなにウエットな私事を描い...

この本の形式には驚かされる。一人称での語りでありながら、その語りは別人間によってなされる。その結果、この評伝は本当に評伝なのか?全てフィクションではないのか?とさえ勘繰りたくなるくらい、濃密な内容。 ただ沢木耕太郎の手になるものであるなという感はある。どんなにウエットな私事を描いてもどこか冷めた空気を漂わせるというこの作家の特徴により本作に入り込むことが出来た気がする。 何せ題材そのものはあまりに日本的特徴たる甘えの構造が露出している作家、多分沢木耕太郎の文体でなければ結構読むのがしんどかった内容・対象ではないかと思われ。 檀みたいな作家は最早絶滅種だと思うが、それは日本の小説が基本的には昇華した(要するに成長した)結果と当方としては解釈しております、はい。

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2015/08/19

あなたにとって私とは何だったのか。私にとってあなたはすべてであったけれど。 浮気され、それでも夫を愛し続ける檀一雄の妻・ヨリ子の姿に胸を打たれる傑作ノンフィクション。

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2014/04/21

なかなか読み進められなかった。文庫なのに、重かった。家族って、本当に手強い。でも、そこから逃げなかった檀一雄。関係ないけど、檀一雄と自分は同じ誕生日だった。

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2014/07/26

26 丹念な取材をベースとした本人視点での語り口技法を取り入れ、壇一雄の半生を妻ソト子の視点から切り出したノンフィクション。 壇一雄、ソト子のあぶり出し方がこれでいてリアリティに溢れ、秀逸な書きっぷり。

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2014/04/03

愛人と暮らす旦那を受け入れてしまった彼女の心の内はどうだったにせよ、いがみ合ったエピソードも恨み事もほとんど語られていない。 凄いな~、強いです。

Posted byブクログ

2014/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

  「火宅の人」を読んだ後で気になるのは、 この後の壇がどう過ごしたのかと、 夫に振り回されているようにしか見えない夫人の胸中であった。 火宅の人と同じく、前半は壇に呆れながら、 時には憤りを覚えながら読んでいたのだが、 後半になるとやっぱり壇本人の持つ寂しさというものが見えてきて 何故かかわいそうになってしまう。 かといって、私はこの人の行動や考え方は やはり肯定できないのだが。 火宅の人を読んでいる時は、 どうしてもこの夫人は淡々としていているように見えて、 冷たい人のように見えてしまう。 が、やっぱり嫉妬したり、 怒ったりといった様々な葛藤を抱えて当時過ごされていたのだなと。 (当たり前か) 終章で語られる昔の手紙の文面はぐっときた。

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2013/10/14

実際に生きている人の言葉は時間を超えて胸に突き刺さる。壇一雄の人生に特に興味があるわけではなかった。しかし、何度も読むうちに、彼の人生と家族の人生。どちらにも引き込まれていった。人の死はいつまでも哀しく、何故そんなに哀しいのかを確かめるように何度も読んでみる。最終的に壇の妻ヨソ子...

実際に生きている人の言葉は時間を超えて胸に突き刺さる。壇一雄の人生に特に興味があるわけではなかった。しかし、何度も読むうちに、彼の人生と家族の人生。どちらにも引き込まれていった。人の死はいつまでも哀しく、何故そんなに哀しいのかを確かめるように何度も読んでみる。最終的に壇の妻ヨソ子の彼を愛する切ない気持ちに同調しているのだろうな~とおもいつつ、また読むのだろうな。

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2013/09/10

愛の、物語である。 と思いつき、あ、と思う。愛の、物語り。 檀ヨソ子という女性が、沢木耕太郎に対して、作家であった檀一郎という夫について話す中で、語られたものは愛であった。そんな作品だ。 ここ最近、知り合いの某写真家が、この沢木耕太郎氏の『檀』について度々Twitter上...

愛の、物語である。 と思いつき、あ、と思う。愛の、物語り。 檀ヨソ子という女性が、沢木耕太郎に対して、作家であった檀一郎という夫について話す中で、語られたものは愛であった。そんな作品だ。 ここ最近、知り合いの某写真家が、この沢木耕太郎氏の『檀』について度々Twitter上でつぶやいていて、それをきっかけに読みたいなと思った。 そのつぶやきというのが、 "「客観性」とは、対象を三人称化する作業だと思う人がいる。それは神の目線で全てを俯瞰する事で、即ち神になる事。対象と自分が同等を前提とする以上、それは無理な話だ。稀有な成功例はトュルーマン•カポティの「冷血」、沢木耕太郎の「檀」くらいか。一人称のジャーナリズムでは困難極まりない。" というもの。 このつぶやきを読んだ時に、そこに言われている事の意味がわかったわけではない。ただ、音楽なり、絵画なり、写真なりを生で見ることが最近多くなり、そこに表れる表現者の自我とか、客観性とか、創造性とか現実味とか、そんなものを漠然と思うことがあり、その中でこのつぶやきに反応しただけのことだ。 読み終わってみると、なるほど、確かにこの物語り全体を通して、沢木耕太郎という著者の姿は、見え隠れしない。書く者のエゴのようなものが、全く感じられない。 だから、読む者には、語られたことの端々に何の疑いを挟むことなく素直にその奥を覗き込めるような気がした。 この、「気がした」ことさえ、読み終えて考えることであって、読んでいる最中にはそんな理屈を抜きに深いものを感じていた。そう思うと、改めて素晴らしい。 私は芸術家ではないので、(そもそもここで芸術家という言い方が適切かも自信がないけれども、) 他者の語った言葉にこれだけの現実味をもたせて書くということは、著者は語り手によっぽどうまく同化したのだろう、などと安直に考えてしまうが、某写真家が言う様に、「これが全てを俯瞰し、完全に対象を三人称化した作品なのだよ」と示されると、なるほど、という気もしてくる。 読み物としても感じるところの多い作品であったが、某写真家のつぶやきにより、表現についても思いを巡らすことになった。 深い読書となった。

Posted byブクログ

2013/09/02

「火宅の人」を書き上げた最後の無頼派、檀一雄。その人柄が偲ばれる作品。明るく、家族思いの一面もかいま見ることができて、小説の中の人物ではない人間味を感じた。

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