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オビンの伝言 の商品レビュー

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2013/09/23

 日本統治下の台湾で1930年に発生した先住民族による武装蜂起「霧社事件」について、1996年に他界したタイヤル族ホーゴー社出身の女性オビン・タダオの生涯に沿って記述した本。オビンは事件当時、事件に巻き込まれて自害した先住民族出身の警官、花村二郎の妻であったから、生き残りの中では...

 日本統治下の台湾で1930年に発生した先住民族による武装蜂起「霧社事件」について、1996年に他界したタイヤル族ホーゴー社出身の女性オビン・タダオの生涯に沿って記述した本。オビンは事件当時、事件に巻き込まれて自害した先住民族出身の警官、花村二郎の妻であったから、生き残りの中では、事件の中心のもっとも近くにいた人々のひとりといえるだろう。  霧社事件を、民族の誇りのために武器をとって英雄的に闘った男たちの物語として描くのであれば、武装蜂起とそれに続く日本軍の鎮圧、そして「玉砕」がクライマックスとなるだろう。先日公開された映画『セデック・バレ』は、まさにそのような語りだった。  しかし、生き延びた女性の視点から事件を語るということは、その後に続く、日本警察と共謀した他部族による襲撃、強制移住、自殺や病気に苦しめられた平地での生活、同化政策、そして「高砂義勇隊」への動員という一連の出来事として事件を見ることを意味する。それは美しい抵抗というカタルシス抜きの物語であり、武力による強権的支配とソフトな管理が抱き合わせになった植民地主義支配のあり方を、より深く理解することにつながると思う。さらに、日本の支配終結後、国民党政権の下で漢民族への同一化を強いられ、民族名、日本名に次いで3つ目の名前をもつようになったこと、霧社事件の再評価には、抗日戦争の経験を政治利用しようとする国民党政府の狙いがあったことも触れられている。ここはもう少し厚い記述が欲しかったところだが。 それにしても、オビンと花村二郎との結婚でさえ、日本の警察の命令によるものであったとは。頭目の娘で日本式の教育を受けた彼女は、先住民族の中に親日的エリートを育てようとする植民地政府の政策にぴったりの人材だったのだ。ある意味でオビンは、村のリーダーとなった二番目の夫や、日本式教育を受けた子どもたちとともに、まさに期待通りの役割を果たしてきたといえる。その彼女が植民地支配についての反省を欠く日本人に伝えようとしたことは重く受け止めるべきだろうと思う。

Posted byブクログ

2009/12/01

台湾に対しての日本の植民地支配についてを原住民の視点から書いた本。 個人的にはもう少しわかりやすくオビンの心理描写があると読みやすかった。

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