光の教会 の商品レビュー
建築家の本はどうしても建築家自身にスポットが当てられがちだが、この本は安藤忠雄氏は主役ではなく、関わった施主、施工業者にスポットが当てられているように感じる。光が当たる人の周りの陰で目立たないが誇りをもって自分の役割を果たす人々がいることをわからせてくれる。
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光の教会―安藤忠雄の現場 (和書)2009年12月24日 21:54 2000 建築資料研究社 平松 剛 安藤忠雄の伝説的経歴に随分憧れたものです。設計事務所の雰囲気がよく書かれていて、自分にはとても務まらないなって思う。でもこういう本を読むと、なんだか自分が日々過ごしてる中で無感動であったものに何か突然光が当たり、何かやれそうな高揚感みたいなものを感じる。ただ今の自分は、優劣がどうとかではなく自分に向いた何かに向かいたい。それが栄光に包まれたものではなくても。
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安藤忠雄が手掛けた大阪の小さな教会、通称「光の教会」の話。 発案からお金のやりくり、安藤忠雄のこだわりと現場の折衝など、竣工に至るまでの紆余曲折を淡々と、しかしユーモラスに綴っている。 安藤忠雄は、溢れ出る熱意と体力と才気で仕事をしている。 その仕事ぶりがあまりにもワンマン過ぎて、今だったらパワハラとかで告発されて破滅しているだろうな…と思った。 「教会が風雨に晒されてても良いんじゃないか?厳しい環境の中で信仰を深める、それこそ宗教のあるべき姿だ」というようなくだりがあっていかにも説得力がある風だったが、 安藤忠雄は普通に住宅とかでも吹き曝しの空間を作るので、宗教とか関係なく自分がそういうの好きなだけだと思います。 「(賛美歌を歌ったりするが)教会にオルガンはなくてもいい」と言い出すほど内装にこだわっているのに、音響に配慮しなかったせいで結局教会の人間がマイクとスピーカーを置かざるを得なくなったりしていて、でもそのことを『人間、不便を感じると、何かと頭を使うものなのだ。』と表現していて、安藤忠雄を守り過ぎな感が否めなかった。 そこに住むひとのことを考えて設計するのが建築家の第一信条だと思っていたが、安藤忠雄はそうではなく、どちらかというと芸術家なのだ、と思うと納得する。 安藤忠雄の才能よりも施主との間に立ち続けた部下の水谷さんに共感する本だった。
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出来上がっていく過程のほかに建築家や数多くの人たちの履歴やエピソードも盛り込まれています 沢山の情報モリモリなのに、まとまっていて興味深く読ませていただきました シロートにも分かりやすいコンクリートのところがとても参考になりました 身近に安藤建築は、沢山あるので見に行こうと思いま...
出来上がっていく過程のほかに建築家や数多くの人たちの履歴やエピソードも盛り込まれています 沢山の情報モリモリなのに、まとまっていて興味深く読ませていただきました シロートにも分かりやすいコンクリートのところがとても参考になりました 身近に安藤建築は、沢山あるので見に行こうと思います 違った見方が出来そう!読んでよかったです
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安藤忠雄設計の「光の教会」が 完成するまでの道のりを綴った本。 細部にまでこだわって、 気の遠くなる作業を続けて来たからこそ、 素晴らしい物が生まれるんだということを改めて感じた。 安藤忠雄という人と一緒に働いたら物凄く辛そうだけど、一緒に創り上げて来た人達を本当に羨ましい...
安藤忠雄設計の「光の教会」が 完成するまでの道のりを綴った本。 細部にまでこだわって、 気の遠くなる作業を続けて来たからこそ、 素晴らしい物が生まれるんだということを改めて感じた。 安藤忠雄という人と一緒に働いたら物凄く辛そうだけど、一緒に創り上げて来た人達を本当に羨ましいと思う。 いつか本物を見に行こう! またやりたいことが一つ増えた!!
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有名な建造物を見ても今いちピンと来ない建築素人の私でも面白く読めた。それは安藤忠雄という人の魅力?屋根のない光の入る教会ではダメなのか?色々な人の思いが伝わってくる。
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安藤忠雄の現場は大変だ。読んでいるだけで胃が痛くなる。 まあしかし、普通のことを普通にやっていては世界的な評価など得られるものではないですもんね。 建築家、施主、施工者という異なる立場の登場人物にそれぞれ共感が持て、著者の作家としての力量が感じられる。特に完成後急逝した工務店の一柳氏についての建築家の思いがよく伝わる。
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著名な建築家・安藤、安藤の設計であれば出血受注する土建会社社長・一柳、その従業員那須、そして茨木教会の軽込牧師、役員(また毎日記者でもある)・宮本など登場人物の熱意が一つの美しい教会誕生へ。特に安藤忠雄が苦労の末、若い日にプロボクシング選手を目指し、大卒でない身ながら、建築の道で...
著名な建築家・安藤、安藤の設計であれば出血受注する土建会社社長・一柳、その従業員那須、そして茨木教会の軽込牧師、役員(また毎日記者でもある)・宮本など登場人物の熱意が一つの美しい教会誕生へ。特に安藤忠雄が苦労の末、若い日にプロボクシング選手を目指し、大卒でない身ながら、建築の道で成功するまでの、前半も面白く、画期的な教会完工までの物語りも、特にクリスチャンとして教会建築の過程に興味がある私にはこたえられない楽しい内容でした。光の十字架をしかも吹きさらしでというアイディアへの安藤の情熱と教会の人たちの気持ちの変化が手に取るように分かりました。
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光の教会ができるまでの話。 大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したとのことで、図書館で借りて来ました。著者は、建築家。
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安藤忠雄は、今や日本を代表する建築家の一人と言っていい。独学、ボクサー経験者という経歴故か、マスコミもよく採り上げるのでその風貌は多くの人の知るところである。京都の三条木屋町にあるビルはかつて見たことがある。高瀬川の水を建築の一部に入り込ませるという発想が新鮮だった。その外部と内...
安藤忠雄は、今や日本を代表する建築家の一人と言っていい。独学、ボクサー経験者という経歴故か、マスコミもよく採り上げるのでその風貌は多くの人の知るところである。京都の三条木屋町にあるビルはかつて見たことがある。高瀬川の水を建築の一部に入り込ませるという発想が新鮮だった。その外部と内部の通底というコンセプトは、大阪府茨木市に建てた通称「光の教会」でも共通している。教会を建てたいが金はないという施主に「それならいい物ができるかもしれない」という建築家の言葉は驚きを通り越して奇怪でさえある。金がないからこそ贅肉を削ぎ落としたシンプルな物が作れるというのが安藤の考えだ。安藤の頭の中にはシトー派教会の質素な佇まいが生きていた。しかし、建築は一人でできる物ではない。設計・施工と一口でいうが、図面で書いた物を具体化するには多くの人間の意志や情熱、それに労苦を必要とする。いいものをつくりたいという建築家の思いに引っ張られるように、赤字覚悟で動く人々がいなければ、この教会はできなかった。当然できあがった建築物は建築家の作品として扱われるのだが、この本を読んだ後では、単にそうは思えなくなる。丁寧な聞き取りを重ねた上で、複数の関係者の視点から書かれているためか、ドキュメンタリーなのだがよくできた小説を読んでいるような気にさせられる。一つの建築が、どのような過程を経て本当の建築物になるのかを教えてくれる。こんな本が今までなかったのが不思議である。
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