魔法飛行 の商品レビュー
前作「ななつのこ」から続く、主人公駒子が遭遇する日常の謎。小説の体裁を取りそれを読んだ推理作家が答えを披露する。「複数の名前を持つ女性」「一夜で骨になる絵」「双子のテレパシー」などが最期には一つの事件へとつながっていく。
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ななつのこと同じように駒子からの手紙と瀬尾さんからの返事の掛け合いで物語が始まったので、全く同じような感じで進むのかと思いきや、一章ごとに差し込まれた謎の手紙によって、雰囲気が一転、最後まで駆け抜けるように読みました。ななつのこよりもミステリーの緊迫した感じがある気がします。脱出...
ななつのこと同じように駒子からの手紙と瀬尾さんからの返事の掛け合いで物語が始まったので、全く同じような感じで進むのかと思いきや、一章ごとに差し込まれた謎の手紙によって、雰囲気が一転、最後まで駆け抜けるように読みました。ななつのこよりもミステリーの緊迫した感じがある気がします。脱出の夢の話を駒子自身で希望に変えたところがとても好きでした。落ち込んだり苦しんだりしても、自分で未来に希望を与えられる駒子が素敵です。そして名探偵の瀬尾さんも、相変わらず飄々としてて鋭いヒラメキの炸裂がカッコいいです。
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天然萌えキャラ王道まっしぐらの主人公と、知り合い以上恋人未満な長椅子探偵(というには私用で出払ってます)が苦手だが、マッタリした雰囲気と整合性が割にあるストーリーだては悪くない。 現代技術の日進月歩と気づかないうちに大きく技術変化している日常を感じたりもする。
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駒ちゃんシリーズは、文章を美味しく読める。表紙と挿絵もたまらんです。 一作目とはまた違った雰囲気だったけれど、物語の引力は健在です。面白かった〜。ちょっと夢見心地で乙女チック割増な感じも好きだった。
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「ななつのこ」に次ぐ、駒子シリーズの第2弾。 駒子が瀬尾さんに宛てて書く、手紙のような日常の物語で綴られる。 彼女の筆致はとてもみずみずしく、私自身も彼女の生活の一部になったかのような感覚を覚え、どんどん惹きこまれていくのを感じる。 彼女とともに、日常に起こりうる些細な「?」を、...
「ななつのこ」に次ぐ、駒子シリーズの第2弾。 駒子が瀬尾さんに宛てて書く、手紙のような日常の物語で綴られる。 彼女の筆致はとてもみずみずしく、私自身も彼女の生活の一部になったかのような感覚を覚え、どんどん惹きこまれていくのを感じる。 彼女とともに、日常に起こりうる些細な「?」を、ともに首を傾げているような、 彼女が見る夕焼け空の色、降ってくる綿雪を共に見上げているような、 そんな、感覚。 それに輪をかけて物語に私たちをぐいぐいと引っ張り込むのが、間に挟まれる「誰かからの手紙」の存在。 少し不気味でもあるそれが「結末を知って安心したい」という私たちの気持ちを、ページを繰る手を急かすのだ。 少しドキドキして、けれどとても面白かった。 やはり、最後に希望が溢れる物語っていいなぁ。
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駒子シリーズ2作目にして、「ななつのこ」の続編。駒子と瀬尾さんの微妙な距離感を感じるためには、やっぱり前作から読むことをオススメしますv 瀬尾さんの勧めで駒子は物語を書き始めた。小難しくひねくり回した小説ではなく、日々の出来事をつらつらと、日記のように綴ることにしたのである。 ...
駒子シリーズ2作目にして、「ななつのこ」の続編。駒子と瀬尾さんの微妙な距離感を感じるためには、やっぱり前作から読むことをオススメしますv 瀬尾さんの勧めで駒子は物語を書き始めた。小難しくひねくり回した小説ではなく、日々の出来事をつらつらと、日記のように綴ることにしたのである。 それは、駒子が通っている大学で出会った目立つ女の子”茜さん”が講義の出席表に毎回全く違う名前を書いていたことであったり(『秋、りん・りん・りん』)。 隣町の交差点に「でる」と噂の交通事故現場には、一部が白骨化した少年の姿が、確かにあったことであったり(『クロス・ロード』)。 駒子の大学の学園祭で行われた、無料で配られた風船を手にした双子のテレパシー実験であったりとか(『魔法飛行』)。 そしてそして。クリスマスイブの日。いままでの2つの物語を読んでいるかのような内容で届けられた、誰かからの<通信>、その最後の3通目が届き、その誰かを助けるために駒子は走ったことであったり(『ハロー、エンデバー』)。 駒子の物語、瀬尾さんの感想の手紙、そして謎の誰かからの<通信>から構成される連作短編集。 年末~正月用として選んでよかった…!読後に本気で思いました。 殺人事件や強盗など殺伐とした事件がなく(交通事故という哀しい事件はありますが)、さらに駒子の周囲の友人たちが生き生きとしていてなんだかとても懐かしい。そして眩しい。辛辣で一本気なたまちゃん、奔放でわがままだけど真っ直ぐで正直な愛ちゃん、クールで包容力があるふみさん、現実主義だけどかわいい野枝さん、そして威圧的で棘棘だらけな”茜”さん。良い感情だけじゃなく嫉妬や怒りや照れや虚勢、寂しさなんかのごっちゃな感情がそれぞれに見え隠れしていて、なんだかそれぞれが『愛おしい』女の子なんですよね。みんな、かわいいなぁぁ… 主人公の駒子ももちろん、そんな「女の子」のひとり。悩んで焦って不安になって、子供から大人へ、出発をしていくのです。彼女の描く未来は宇宙旅行やUFOと同じで未知のものであると同時に、信じたいもの、わくわくしたいものであると私は信じたい。でもきっと大丈夫ですね。駒子ちゃんの横に瀬尾さんがいてくれるならば。 謎解きは相変らず安楽椅子探偵な瀬尾さんが努めていますが、今回のミステリ的最大ポイントは構成に尽きると思います。各話の間に挿入される怪しげな<通信>が、そこに繋がるとは思わなかった…。 ミステリとしても秀逸な作品ですが、そういったジャンルに興味の全くない人にもオススメできる1冊です。巻末の有栖川氏の解説「論理(ロジック)じゃない、魔法(マジック)だ」も忘れずに読んで欲しいな!
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再読。 日常の謎にはまるきっかけとなったのが、この駒子シリーズでした。 瀬尾さんみたいな人に出会いたい。
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瀬尾さんの素敵度がアップしていてうれしい。。。 前作「ななつのこ」に比べると、ちょっと恋愛寄りになってきているかな?っていう点で、☆をひとつ減らしてしまったけれど。 でも、ラストに向かって収束していく構成が、やっぱりすばらしい。追い続けたい作家さんです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
連作短編の最後に収束するパターンは大好きだし、これもおもしろかった。 しかし、ななつの子のような独特のほのぼの感がもうちょっと感じられなかったかな。
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久しぶりに読み返した、加納朋子の「駒子シリーズ」2作目です。 いま改めて読んでみると、昔とはいろいろと違った見方になりますね、やはり。 そしてこういう、爽やかでみずみずしく、鮮烈な小説なので、受ける印象も強い。 この小説の楽しみ方は、「アイテム」になるのではないかと思います。 ...
久しぶりに読み返した、加納朋子の「駒子シリーズ」2作目です。 いま改めて読んでみると、昔とはいろいろと違った見方になりますね、やはり。 そしてこういう、爽やかでみずみずしく、鮮烈な小説なので、受ける印象も強い。 この小説の楽しみ方は、「アイテム」になるのではないかと思います。 電柱の絵、風船、ペンライト、回転木馬……。 これらアイテムに込められた人々の思いや、語り手の「駒子」の豊かなイメージが、次々に結び付いて独特の情緒を醸し出してくれます。
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