水生昆虫完全飼育・繁殖マニュアル の商品レビュー
おそらく、本書以降「トンボ」などを抜いたこういう泥臭い水生昆虫の専門書は今後出版は難しいと推測される。 草分け的な意味合いでも、当時の私の知る限りではそれだけ図書館に寄贈されている本の中でも群を抜いてわかりやすく、ここまで丁寧に書かれているものはなかった。 また、写真も飼育するう...
おそらく、本書以降「トンボ」などを抜いたこういう泥臭い水生昆虫の専門書は今後出版は難しいと推測される。 草分け的な意味合いでも、当時の私の知る限りではそれだけ図書館に寄贈されている本の中でも群を抜いてわかりやすく、ここまで丁寧に書かれているものはなかった。 また、写真も飼育するうえでの実際的なところを撮っていて、わかりやすい。 友人が俗に言う「ゴミムシ(オサムシ・ヒメマイマイカブリ)が好きで、んじゃ僕は?と考えたとき、父の昔住んでいた地域の思い出話に出てくる「ガムシ」に惹かれてそれのついでに「ゲンゴロウ」を知った。 そのときから「ガムシ」はいつか捕まえようと心に誓う昆虫となった。ゲンゴロウはメジャーすぎてあんまりね(汗。 東京に住んでいる「なんちゃって昆虫博士」にとっては図書館の中から図鑑を眺めることしかできなかったのがこの「水生昆虫」だ。 クワガタとかちょっとした物ならコンクリートに囲まれている小さな公園でも見つけられるが、こいつらはそうはいかない。 まず水場は殺虫されていることがほとんど。ゴミもたまりやすい。 山間部まで行くにはお金がいる。捕まえられるかもわからないのにお小遣いをせびる気にもなれなかった。 近場にできたペットショップで初めて恥ずかしながら本物を見た。 タガメ、ゲンゴロウ、ガムシ、タイコウチ、コオイムシ・・・。 オオクワガタを見るついでに来たそのペットショップで、もしかして・・・という気負いとともに探したら見つかったのが本書だ。 熱帯魚を飼育する蛍光ランプをラブホの光として女の子とするときは利用できるなぁ、と馬鹿な話をしたりした青春時代のことをこの本は思い出させてくれる。 あれから水生昆虫ブームはどうなったのか、私はよく知らないが、この本の著者、またその友人たちが、黙々と何かを記す機会に恵まれるとしたら、その時は是非本書で取り上げられなかったゲンゴロウ亜種など、「それから」の思いの丈を書き綴ってもらいたい。 私にできなかったそれらの体験と飼育方法を何卒ご教授願いたいものだ。
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