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未亡人の一年(上) の商品レビュー

4.5

9件のお客様レビュー

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2022/12/07

血湧き肉躍る……わけではない。スリリングでもない。ただ登場する人たちが愛し合い、オトナの関係を結ぶ。そんな人間模様が延々と続くのだけど、なぜかアーヴィングの筆致はそんなダラダラした出来事の串刺しを読ませる。それは語りの中にわざとらしさやあざとさがなく、極めて誠実に登場する人たちの...

血湧き肉躍る……わけではない。スリリングでもない。ただ登場する人たちが愛し合い、オトナの関係を結ぶ。そんな人間模様が延々と続くのだけど、なぜかアーヴィングの筆致はそんなダラダラした出来事の串刺しを読ませる。それは語りの中にわざとらしさやあざとさがなく、極めて誠実に登場する人たちの人間性をその偉大さも卑小さも含めて丸ごと描こうとする、そんな真剣さから来るのかなと思う。だからこの作品も膨らみを帯びた人々が織り成すタペストリーのように、細部まで味わい深いものとして成り立っているように思う。ただ少し変態すぎかな?

Posted byブクログ

2016/08/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

不幸な人妻を見ると誘惑しないではいられない父と、交通事故で二人の息子を亡くしてから、息子達との思い出の世界だけに生きている母。そして家じゅうに飾られている二人の兄の写真。 4歳の少女ルースは、そんな家で3人のシッターに面倒をみてもらって暮らしている。 そこへ、作家である父の手伝いと称して17歳のエディが住み込みのアルバイトとしてやってきて…。 ルースが4歳の夏に、彼女の家は壊れた。 彼女が生まれたときからすでに歪ではあったのだけど。 亡くした二人の息子のかわりに新しい息子を欲しかった父と、二度とふたたび母親にはなりたくないと思っている母から生まれたルース。 第一章は、そのひと夏の出来事を、概ねエディの目を通して(三人称だけど)語られる。 人妻との時間が中心のテッドの手伝いなんて、ほとんどすることもなく、エディはひたすらマリアンに惹かれていく。 けれどエディは17歳ではあるが、周囲の人たちの気持ちを慮ることができる、不器用だけどいい青年で、ルースのことを傷つけないように細心の配慮をしていたはずなのだ。 ただ、4歳児というのは予想外のことをしでかしてくれるわけで。 第二章はそれから30に年後、エディは売れっ子とは言えないが、そこそこの作家となり、ルースは有名売れっ子作家となった。 エディはいまだにマリアンのことを忘れられず、ルースは結婚・出産に踏み出すことができないでいる。 マリアンが家族を捨てたことがこの先の物語にどういう影響を与えるのか。 どろどろした物語のはずだけど、ぐいぐい読ませるのはさすが。 今のところ誰が未亡人なのかわからないけど、多分ルースが母に捨てられた過去から立ち上がる話だと思う。 エディは相変わらず要領が悪く誠実な人。 彼が、どう係わってくるのかが楽しみ。

Posted byブクログ

2013/07/11

4.9読了。 お昼休みに30分ずつ読むのにぴったり。 愛人に轢き殺されそうになる男に『逃げろ』と庭師が叫ぶところとか、声をあげて爆笑すること度々。下巻の展開が気になって仕方がない。うねるような物語の楽しさを存分に味わわせてくれる。

Posted byブクログ

2012/02/16

やっぱり好きだった!! アーヴィングさんの中ではコチラが一番好き。 現実離れしているとはいえ、せつなく、激しく感動☆ それにしても、公に「この本はいい本だ!!」とおすすめしたいけれど、 プッシュするに憚る性描写には困る・・・

Posted byブクログ

2010/10/09

生涯ベスト1の小説。毎回アホのように号泣。 読めもしないのに原書本まで買ってしまった。 登場人物達が身近な人のよう。

Posted byブクログ

2010/06/12

発売と同時に購入し、以来、最も好きな作品の内の一つ。 文庫もある。 ちゃんとしたレビューはまた今度。 大切な人に勧め、褒められたことも良い記憶。

Posted byブクログ

2009/10/04

忘れられなかったひと夏の恋を追い求めたエディの頑なさがとても良い。 ルースの手の傷のエピソードが特に秀逸。

Posted byブクログ

2009/10/04

アーヴィング作品の中でも、個人的に一、二を争う名作だと思っています。 家族の再生を描く作品は多くても、その中の個人のまで描ききるものは少ない。 この小説は、その少ないものの中の一つだろうと思います。

Posted byブクログ

2009/10/04

ロマンチック(かつエロチック)な小規模大河小説。 偶然と記憶と作為と創作に満ちた一人の女性の半生が、四十年の長きに渡って綴られる。生き別れの母、愛しつつも憎まずにいられない父親、写真の中で永遠に少年のままでいる二人の兄。それが彼女の家族だ。彼女と両親が一緒にいた頃に母の愛人だった...

ロマンチック(かつエロチック)な小規模大河小説。 偶然と記憶と作為と創作に満ちた一人の女性の半生が、四十年の長きに渡って綴られる。生き別れの母、愛しつつも憎まずにいられない父親、写真の中で永遠に少年のままでいる二人の兄。それが彼女の家族だ。彼女と両親が一緒にいた頃に母の愛人だった男も、彼女の人生に大きな影響を与える。 母に捨てられたと信じたまま少女は小説家になる。一夏の愛人だったことを忘れられぬまま、男は年上の女性に惹かれ続ける。……と、筋を書いても余り意味がない。最後にはこうなるんだよ、と聞いてしまったら確かに興醒めではあっただろうが、それでも私はページをめくり続けただろう。一行、一ページに私を引っ張る何かがあった。そして、最後に私は溜息をついた。偶然と記憶と作為と創作! 本書のメインテーマの一つは、小説を書くということだ。四人の小説家が書くこと(または書かないこと)で自らを再確認する作業が、ごく自然に描かれている。 そしてまた、読むということ。本書を読んでいると、そこに書かれているのが、自分の人生のように思える。読むことしかできなくても、それは消費ではなく個人的な創造なのだと知ることができる。 どう言えば本書の魅力を伝えられるのか、もどかしくもこれ以上に言葉が見付からない。興奮と混乱で、頭の中がオーバーヒート。偉大な作品の前に、凡人はただ溜息をつくしかない。

Posted byブクログ