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堕落論 の商品レビュー

4

158件のお客様レビュー

  1. 5つ

    41

  2. 4つ

    68

  3. 3つ

    27

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    3

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2023/01/31

堕落論 続堕落論 特攻隊に捧ぐ 太宰治情死考 ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格 上記が面白かった。 きっと安吾は中途半端が嫌いだったんだな。 堕ちることが怖いのはよくわかる。堕落論が読めない程に堕落してなくて良かった。

Posted byブクログ

2023/01/14

最近、戦争(主に太平洋戦争)のことを調べるようになった。当時を生きた人が書いたものをいろいろ読んだ。自分にとっては遠い過去で想像もできなかったことが、本当にそこにあったんだなと感じるようになって、絶対にまた起きてはならないと、前とは違う感覚で考えるようになった。堕落論はそんな気分...

最近、戦争(主に太平洋戦争)のことを調べるようになった。当時を生きた人が書いたものをいろいろ読んだ。自分にとっては遠い過去で想像もできなかったことが、本当にそこにあったんだなと感じるようになって、絶対にまた起きてはならないと、前とは違う感覚で考えるようになった。堕落論はそんな気分のうちに読んで、とても心に残った。

Posted byブクログ

2023/01/03

本書に収録されている「戦争論」などを読むと、坂口安吾は確かに戦争を厭う人だったのだろう。「兵器の魔力が空想の限界を超すに至って……もはや、戦争はやるべきではない」とある。世界単一国家などの概念は私も賛同する。しかし、「戦争の果たした効能」を是とするあたり、読んでて苦々しく思わずに...

本書に収録されている「戦争論」などを読むと、坂口安吾は確かに戦争を厭う人だったのだろう。「兵器の魔力が空想の限界を超すに至って……もはや、戦争はやるべきではない」とある。世界単一国家などの概念は私も賛同する。しかし、「戦争の果たした効能」を是とするあたり、読んでて苦々しく思わずにいられない。「特攻隊に捧ぐ」で特攻隊を「可憐な花」であると讃美し、「愛国殉国の情熱」を偉大と見るあたり、読んでいて薄ら寒くなる。本書には興味深い論考やエッセイも多いだけに(論旨が読み取れないエッセイもあるが)、戦争関連の項が持つ欠点が惜しい。

Posted byブクログ

2022/12/08

凄いものを読んだ。今後、一生付き合っていく一冊だろう。色んな言葉が溢れ返る最中、坂口安吾なりの見解によって、取捨選択をしているな、といった印象。

Posted byブクログ

2022/12/03

昔に読んだけど、あらためて読んでみるとおもしろいものだ。昔は「生きよ堕ちよ。人間は堕落する」という派手な言葉の印象はあったものの、堕落の意味がピンときていなかった。今の時代は、封建制、ムラ社会、思考停止した精神論みたいなものが昔ほどはないだろうから、堕落しきった状態が現代というと...

昔に読んだけど、あらためて読んでみるとおもしろいものだ。昔は「生きよ堕ちよ。人間は堕落する」という派手な言葉の印象はあったものの、堕落の意味がピンときていなかった。今の時代は、封建制、ムラ社会、思考停止した精神論みたいなものが昔ほどはないだろうから、堕落しきった状態が現代というところか。 「続堕落論」は、より直接的でわかりやすい。 小林秀雄も酔っぱらうという「教祖の文学」や、日本人の好奇や、抽象的で情緒的な思考を外国人との対比で記した「」ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格」もおもしろい。

Posted byブクログ

2022/10/05

この一、二ヶ月、私は堕落している。元々、社会的ポジションなど無かったのだから、内々で堕落している。ほんの数ヶ月前、長年続いた精神的肉体的拘束が、突然無くなり、日常生活に制約が無くなった。(介護生活だけどね)どーしたものかと省みても、堕落中。 安吾さんは、おっしゃる。人間だから堕ち...

この一、二ヶ月、私は堕落している。元々、社会的ポジションなど無かったのだから、内々で堕落している。ほんの数ヶ月前、長年続いた精神的肉体的拘束が、突然無くなり、日常生活に制約が無くなった。(介護生活だけどね)どーしたものかと省みても、堕落中。 安吾さんは、おっしゃる。人間だから堕ちるんだ。俗物なんですよ。 堕落するとは、自分に正直に生きること。そして、それは、人間復活の条件になること。 敗戦後の堕落中の日本人に、肯定的堕落論ですよ。 そして、堕ち続けるのも、鋼のメンタルが必要で、永遠に堕ち続ける事はできないと。堕ち切って自分自身を発見して、自分で救わないといけませんって。それでは、しばらくは、堕落させていただきます。 新潮文庫は、一冊まるごと、17作評論と無頼派的?エッセイ。坂口安吾さんは小説面白いのが沢山あるので、私みたいな評論苦手読者には、混ぜて貰えると読みやすいのだけど。貸出期間ギリギリまで眺めてたけれど、スッキリわかるわけもなく。 「教祖の文学」は、小林秀雄さんについて。教祖って言ってしまう時点で、仲良しだったのか心配になってしまう。あの文章からは考えられない酒豪ですよ、酒の失敗もありますよ。なんて感じの事も書いてありました。 「太宰治情死考」は、追悼文というか、弔辞かという趣。安吾さんは、情死を認めてないようですね。好きな女であったなら、その女を書くために生きるはずだ、と。 最後は、悪あがきだから、いたわって休ませてと。 そこはかとない悲しさがありました。

Posted byブクログ

2022/06/12

私たちを律しているさまざまな規範は、残念ながら怪しいものが多々紛れている。しかし同調圧力に弱い私たちはそれを疑うことが苦手だ。 ところが敗戦後の日本では、特攻隊の勇士が闇屋となり、未亡人が新たな愛に目覚める機会を得た。そういった人間は「堕ちた」ゆえに人間に戻ることができる。生きる...

私たちを律しているさまざまな規範は、残念ながら怪しいものが多々紛れている。しかし同調圧力に弱い私たちはそれを疑うことが苦手だ。 ところが敗戦後の日本では、特攻隊の勇士が闇屋となり、未亡人が新たな愛に目覚める機会を得た。そういった人間は「堕ちた」ゆえに人間に戻ることができる。生きるために堕ちる、そうでないと人間は救われない。 目新しくはない。どこかで聞いたことのある議論だが、今でもよく聞く議論でもある。むしろ、私たちは、敗戦直後に筆者が論じた地点から1ミリも進むことができなかったのかもしれない。文中にある通り、「堕ちぬくためには弱すぎ」たのだろう。それでも、堕ちた人の中には自分自身を発見して救われた人もいるはずだ。 個人ではなく日本という国を見てみると、「堕ちぬく」ための千載一遇のチャンスを逸し、結局、誰かが都合よく考えた武士道や天皇をもう一度引っ張り出すしかできなかったように思える。一方、欧州のいくつかの国で多様な生き方を肯定する社会を是とする政治的・社会的な流れはすでに生まれている。筆者は政治による堕落・救済を「上皮だけの愚にもつかない物」と一蹴するが、私はこの流れが大きくなることを願っている。もちろん、それを「堕落」とみなして強硬に反対する勢力は存在し続けるだろうが。

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2022/06/04

坂口安吾の代表作。戦時中の美しいものはそのまま儚く散れという価値観。戦後の堕落しきった日本。だが、安吾は本当の美しさは堕ちた先にあるという。戦時中の美しさは飾り物であると。

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2022/05/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

約一月かけて漸く読了。 読み切ったもののどの論説も深く刺さらなくて根性だけで読んだ感じが否定できない。 面白いとか共感できるという場面は大体、宮本武蔵に纏わる逸話とその見解部分が殆どだったのでもしかすると堕落論が面白いのではなく宮本武蔵の生い立ちが面白いのかもしれない…。 あと強いて共感したのは小説とか芸術も結局は文化の一つであり商売道具の一つという考え方。 アートとかの類はたしかに何か他とは一線を画すものとされ過ぎてる気来があるような気がする。人生に於いて死んだら終わりで作品が残ろうが本人には何ら関係ないというざっくりとした考え方は非情だけどまさにその通り。

Posted byブクログ

2022/04/26

「坂口安吾」のエッセイ『堕落論』を読みました。 古本屋でペラペラとページを捲っていて『天皇小論』や『特攻隊に捧ぐ』、『戦争論』、『ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格』等が気になり、読んでみる気になりました。 -----story------------- 単に、人生を描くためな...

「坂口安吾」のエッセイ『堕落論』を読みました。 古本屋でペラペラとページを捲っていて『天皇小論』や『特攻隊に捧ぐ』、『戦争論』、『ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格』等が気になり、読んでみる気になりました。 -----story------------- 単に、人生を描くためなら、地球に表紙をかぶせるのが一番正しい―誰もが無頼派と呼んで怪しまぬ「坂口安吾」は、誰よりも冷徹に時代をねめつけ、誰よりも自由に歴史を嗤い、そして誰よりも言葉について文学について疑い続けた作家だった。 どうしても書かねばならぬことを、ただその必要にのみ応じて書きつくすという強靱な意志の軌跡を、新たな視点と詳細な年譜によって辿る決定版評論集。 ----------------------- 昭和2年から昭和29年にかけて発表された以下の17の作品が収録されています。  ■今後の寺院生活に関する私考  ■FARCEに就て  ■文学のふるさと  ■日本文化私観  ■芸道地に墜つ  ■堕落論  ■天皇小論  ■続堕落論  ■特攻隊に捧ぐ  ■教祖の文学  ■太宰治情死考  ■戦争論  ■ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格  ■飛騨・高山の抹殺  ■歴史探偵方法論  ■道鏡童子  ■安吾下田外史 買うときに興味があった『天皇小論』、『特攻隊に捧ぐ』、『戦争論』、『ヨーロッパ的性格、ニッポン的性格』も、それなりに愉しめたし、『戦争論』の原爆投下以前の戦争については被害よりも利益が大きく、効能が偉大であったという主張も、戦争の側面としては正しいと思うので共感できる部分がありました。 でも、それを文章にして、戦後間もない頃(『戦争論』が発表されたのは昭和23年10月)に発表したというのは凄いなぁ… と感じました。 反発も大きかったでしょうね。 意外と面白かったのが、『飛騨・高山の抹殺』、『歴史探偵方法論』、『道鏡童子』等の日本の歴史に関する考察… これまで常識として考えられてきた、古代史家が過去の記紀を信じて構築してきた日本の古代史を覆すような主張は、とても愉しく読めました。 具体的には、 ■『魏志倭人伝』のように、たまたま日本の地を踏んだ外国人が正確であり得ないのは当然。 ■飛騨に関して古代史に全く記述がないのは不自然、飛騨の史実を巧妙に隠そうとしたのでは。 等々、読んでいると「坂口安吾」の主張の方が正しい気がしてきましたねぇ。 そして、歴史家は探偵であるべきとの主張も、尤もだと思います。 キチンとした証拠を積み重ねて、当時のことを推定し、理論的に説明する… まさに探偵の仕事ですよね。 もう少し古代史についての知識があれば、もっと愉しめたと思います。 そこがちょっと残念でしたね。

Posted byブクログ