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辺境・近境 の商品レビュー

3.8

119件のお客様レビュー

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2015/02/05

 村上春樹紀の紀行文をはじめて読んだ。著者がまだ若かりしことの貧乏旅行を模して、中年に差し掛かっても尚、辺境、近境に旅する自分を楽しんでいる。30年以上前の自身とくらべ・・・「ひとつだけ確実に言えることがある。人は年をとれば、それだけでどんどん孤独になっていく。みんなそうだ。でも...

 村上春樹紀の紀行文をはじめて読んだ。著者がまだ若かりしことの貧乏旅行を模して、中年に差し掛かっても尚、辺境、近境に旅する自分を楽しんでいる。30年以上前の自身とくらべ・・・「ひとつだけ確実に言えることがある。人は年をとれば、それだけでどんどん孤独になっていく。みんなそうだ。でもそれは間違ったことではないのかもしれない・・・」(P286)人は旅をすることで更に孤独をかみ締めるのかもしれない。本を捨て旅にでよう、そして人は孤独と向き合うのだ。

Posted byブクログ

2015/05/09

イースト・ハンプトン―作家たちの静かな聖地  高級避暑地で文筆家が好んで住む場所というと、日本でいえば鎌倉か軽井沢というあたりになるわけだが、実際に行って見てみると、その美しさとスケールの大きさは軽井沢と鎌倉を足して、それをまた二倍してもまだまだはるかに及ぶところではない。 無...

イースト・ハンプトン―作家たちの静かな聖地  高級避暑地で文筆家が好んで住む場所というと、日本でいえば鎌倉か軽井沢というあたりになるわけだが、実際に行って見てみると、その美しさとスケールの大きさは軽井沢と鎌倉を足して、それをまた二倍してもまだまだはるかに及ぶところではない。 無人島・からす島の秘密  山口県にある烏島はその数少ない、貴重な個人所有島のひとつである。  何はともあれ山口県柳井市伊保庄の村上さんにはすっかりお世話になって、お礼の申し上げようもない。 メキシコ大旅行  「あなたはどうして○○に来たのか?」彼らはだいたいにおいて、人々が自分の国に旅行に来るのは当然であると考えているようだった。  彼らは自分の目でその場所を見て、自分の鼻と口でそこの空気を吸い込んで、自分の足でその地面に上に立って、自分の手でそこにあるものを触りたかったのだ。  理由のつけられない好奇心、現実的感触への欲求。  「自分はメキシコ料理についての本を書こうとしているんだってね。いいか、メキシコ料理だ。それが彼らが納得する唯一の理由だ。それでうまくいく」 讃岐・超ディープうどん紀行  小縣家  日清製粉は香川県にだけは特別な配合をした小麦粉を出荷している。  中村うどん ノモンハンの鉄の墓場  ハルハ河戦争 日本人の非近代を引きずった戦争観=世界観が、ソビエト(あるいは非アジア)という新しい組み替えを受けた戦争観=世界観に完膚なきまでに撃破され蹂躙された最初の体験であった。しかし残念なことに、軍指揮者はそこからほとんどなにひとつとして教訓を学び足らなかったし、当然のことながらそれとまったく同じパターンが、今度は圧倒的な規模で南方の戦線で繰り返されることになった。  それで今度はハルピン市立病院というところに行く。…市立病院の眼科担当医はいしだあゆみをもっと疲れさせたようなアンニュイな感じの、これも中年の女医さんだった。  その山の近くに死体をまとめて放り込んだ万人坑があり、そこにはまだ1万人の中国人工人の骨が埋まっている。―ハイラルで僕らを案内してくれたガイドはそう言った。  保存されているのではなく、ただほうったらかしになってそこに残っているのだ。だからそういうのを目にすると、「そうか、考えてみればたった五十年前に戦争が終わったばかりなんだな。五十年なんてついちょっと前のことでしかないんだ」という感慨にうたれることになる。日本で暮らしていると、五十年なんていう歳月はほとんど永遠みたいにも感じられるのだけれど。  新巴爾虎左旗(シンバルクサキ) 旗は行政区  本で読むとただ「○○部隊はハイラルから国境付近まで徒歩で行軍した」としか書いてないし、読むほうもそうなのかと知識として認識するだけだが、実際に現場に来てみると、その行為が意味する現実的なすさまじさを前にして唖然として言葉を失うくらいだし、またそれだけ当時の日本という国家がどれほど貧しかったのかということが身にしみてわかる。日本という貧しい国家が生き残るために、中国というもっと貧しい国家を生命線を維持するという大義のもとに侵略していたのだから、考えてみれば救いのない話である。  ノモンハン蠅の蛆は、十分もたたぬうちに蛆になります。  スンブル(ツァガアヌル) ハルハ河とホルステイン河の合流点 激戦地 アメリカ大陸を横断しよう  行為自体が目的であると明快に言い切ってしまえば、それはそれでかっこいいのだろうけれど…  旅行とはトラブルのショーケースである。…ああ家が一番だ。  しかしすげえところに来ちゃったよなあ、と思う。結局のところ、僕がこれまでに見ていたアメリカというのは、この国のほんの一部分にすぎなかったのだ。  僕は旅行のあいだずっとトラベルログをつけていたのだが(どんな旅行にいっても僕は必ずトラベルログを丹念につける。僕は人間の記憶というものをまったくあてにしていないから)、アメリカ中西部のモーテルとレストランについてはさすがに、途中からもう何も書くべきことを思いつけなくなった。 神戸まで歩く  世の中には故郷にたえず引き戻される人もいるし、逆にそこにはもう戻ることができないと感じ続ける人もいる。  だいたい帰国して1カ月、2カ月たってから文章を書き始めることが多いですね。経験的に言って、それくらいインターバルをおいたほうが結果はいいみたいです。

Posted byブクログ

2014/09/14

村上春樹の紀行文。 香川旅行にいく前に『讃岐・超ディープうどん紀行』を読みたくて購入。 今まで村上春樹の作品は小説しか読んだことがなくて、どんなものがでてくるかちょっと不安だったのだけど楽しめる内容だった。 すごく有名な作家さんだから変な人なのかなと思っていたのだが、まるで普通...

村上春樹の紀行文。 香川旅行にいく前に『讃岐・超ディープうどん紀行』を読みたくて購入。 今まで村上春樹の作品は小説しか読んだことがなくて、どんなものがでてくるかちょっと不安だったのだけど楽しめる内容だった。 すごく有名な作家さんだから変な人なのかなと思っていたのだが、まるで普通のおっさん。ビールが好きで、旅が好きで、音楽が好き。 小説がより身近に感じられた。

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2014/08/23

【本の内容】 久しぶりにリュックを肩にかけた。 「うん、これだよ、この感じなんだ」 めざすはモンゴル草原、北米横断、砂埃舞うメキシコの町…。 NY郊外の超豪華コッテージに圧倒され、無人の島・からす島では虫の大群の大襲撃! 旅の最後は震災に見舞われた故郷・神戸。 ご存じ、...

【本の内容】 久しぶりにリュックを肩にかけた。 「うん、これだよ、この感じなんだ」 めざすはモンゴル草原、北米横断、砂埃舞うメキシコの町…。 NY郊外の超豪華コッテージに圧倒され、無人の島・からす島では虫の大群の大襲撃! 旅の最後は震災に見舞われた故郷・神戸。 ご存じ、写真のエイゾー君と、讃岐のディープなうどん紀行には、安西水丸画伯も飛び入り、ムラカミの旅は続きます。 [ 目次 ] イースト・ハンプトン―作家たちの静かな聖地 無人島・からす島の秘密 メキシコ大旅行 讃岐・超ディープうどん紀行 ノモンハンの鉄の墓場 アメリカ大陸を横断しよう 神戸まで歩く [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2014/08/23

神戸編を読む。都合で芦屋に住むことになった友人と芦屋•神戸を歩く。「jamjam」というジャズ喫茶に2日続けて行きコーヒーを飲み、「ピノッキオ」にて1,283,946枚目のピッツァを食べ、ビールを飲んだ2014年の夏。

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2014/06/28

村上春樹に珍しい紀行文で新鮮。『ノモンハンの鉄の墓場』は小説を読んでるかのような圧倒的臨場感。『神戸まで歩く』の阪神大震災と高度成長期の列島改造計画で様変わりした故郷への複雑な感情は間違いなく1973年のピンボールの下地となったものだろう。

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2013/09/24

村上春樹の辺境紀行集。瀬戸内海に浮かぶ無人島や、讃岐、神戸など、ちょっと見には辺境に見えないようなところもあるが、いずれも村上にとっての「内なる辺境」である。村上春樹はいわゆる「行動する作家」ではないし、また「漂泊の作家」というわけでもない。しかし、彼の中にはそうした要素が実は強...

村上春樹の辺境紀行集。瀬戸内海に浮かぶ無人島や、讃岐、神戸など、ちょっと見には辺境に見えないようなところもあるが、いずれも村上にとっての「内なる辺境」である。村上春樹はいわゆる「行動する作家」ではないし、また「漂泊の作家」というわけでもない。しかし、彼の中にはそうした要素が実は強く内在しているのだろう。そして、彼はまた「思索する旅人」でもある。それが顕著に現れているのは「ノモンハンの鉄の墓場」であり、「メキシコ大旅行」のチアパスだろう。何しろ村上は阪急六甲駅前のマクドナルドにいてさえ思索するくらいだから。

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2013/08/30

日本を離れているときに旅行記を読むということは、移動せずに旅行記を読むよりもなにかしら良い意味を持っているのではないか。村上春樹の観察眼は小説家というよりも人間として非常に優れているように思われるし、ユーモアのセンスは尋常ではなくて読むのに楽しい、なんだけれども、村上春樹の物の見...

日本を離れているときに旅行記を読むということは、移動せずに旅行記を読むよりもなにかしら良い意味を持っているのではないか。村上春樹の観察眼は小説家というよりも人間として非常に優れているように思われるし、ユーモアのセンスは尋常ではなくて読むのに楽しい、なんだけれども、村上春樹の物の見方、旅行中の物の見方にはすごく勉強させられるものがある。細かく捉えるんだけれども分析的なわけではなくて、漠然としたイメージを把握しながらそれを人生の波のなかに吸収していくかんじ。勉強になります。

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2013/04/26

シリアスとコミカル両方の紀行文が一冊にまとめられている。文体もそれに合わせて硬軟を使い分けていて、今さらながらこの作家の筆力には驚嘆させられる。ある時は囁くように、またある時は叫ぶように、その語り口は変幻自在だ。

Posted byブクログ

2013/04/14

【読了レビュー】メキシコ、ノモンハンから香川ディープうどん紀行まで、著者が訪れた辺境と近境についての旅行記。 ユーモアを織り交ぜながら、過酷な現実までもを丁寧に伝えていく文章は、本当に面白かった。 旅行とは本当に疲れるシロモノである、という再認識をすると同時に、無性に旅に出たくな...

【読了レビュー】メキシコ、ノモンハンから香川ディープうどん紀行まで、著者が訪れた辺境と近境についての旅行記。 ユーモアを織り交ぜながら、過酷な現実までもを丁寧に伝えていく文章は、本当に面白かった。 旅行とは本当に疲れるシロモノである、という再認識をすると同時に、無性に旅に出たくなる一冊でした。

Posted byブクログ