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カント『純粋理性批判』入門 の商品レビュー

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21件のお客様レビュー

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2014/12/17

入門という名前だが、この本自体が非常に難解である。とはいえ、ツアーガイドとして、その醍醐味を伝えることには成功している。カントの内面と言うよりは後進がどのようにカントを捉えているかという内容となっている。 この本を読んで思い浮かんだのは、映画「マトリックス」である。映画の主人公た...

入門という名前だが、この本自体が非常に難解である。とはいえ、ツアーガイドとして、その醍醐味を伝えることには成功している。カントの内面と言うよりは後進がどのようにカントを捉えているかという内容となっている。 この本を読んで思い浮かんだのは、映画「マトリックス」である。映画の主人公たちはマトリックスと呼ばれるコンピュータの作り出す仮想空間にいるという設定であった。 本書で言うところの「現象」は、コンピュータが作っているのだが、その事実を知って、抜け出そうとするヒトもいたし、とどまることを選択したヒトもいた。感性と悟性の合一が、現象の理解を得るとした時に、選択の優劣があると言うよりも、本人の経験と価値観の問題に還元されるのだろう。 工学、エンジニアリングの世界に生きてきた自分としては、哲学の答えのなさや実用性の無さは理解しかねるものであった。しかし、工学も経験を積むにあたり、評価のパラメータが多くなれば、ひとつの答えが正解とは言えないという事実に数多くぶつかってきた。 工学では数学という道具を用いて、曖昧性を排除する。しかし、その数学を適用するために、実態の一部をある観点で切り取る。その時点で本質から離れているのだ。 一方哲学は、経験と論理のみでモノゴトの本質を捉えようとする。言葉の定義という曖昧さは内包しつつも、出来るだけ捉えようとする学問なんだと改めて思った。

Posted byブクログ

2013/11/24

「主観(私)」は「物自体」ではなく、その現象を認識する。その限りにおいて、人間のカテゴリーが適用できる。また、感性によって知覚、受け取った現象を悟性によって認識するというプロセス。 「純粋理性批判」を書く前に、10年間何も著作を出さなかった時期がある。この間にカントの思想が熟成...

「主観(私)」は「物自体」ではなく、その現象を認識する。その限りにおいて、人間のカテゴリーが適用できる。また、感性によって知覚、受け取った現象を悟性によって認識するというプロセス。 「純粋理性批判」を書く前に、10年間何も著作を出さなかった時期がある。この間にカントの思想が熟成したという。 また、晩年に向かうにつれ、「悟性一元論」へ傾くなど「思想の衰退、退化」がみられるという。これは、カントがのぞき込んで尻込みしてしまった「超越論的構想力(≒想像力)」の問題と深い関わりがあるらしい。カントは真面目すぎて、下ネタに赤面するか怒りだすような、冗談が通じないようなひとなのだろうか。 かなりわかりやすくダイナミックでユーモアにも富んだ解説書。

Posted byブクログ

2013/01/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

岩波の翻訳で何度か挫折していたので手に取ってみたが、序文から秀逸であった。著者曰く、解説書において大切なことは原書との距離感であるということだ。単なる目次や経歴の列挙でもなく、あるいは訓詁学のような詳細な解説書でもない。その絶妙な距離感が必要だと述べられていて、本書はその距離感を忠実に守っている。 世界の現象は客観的だが、認識は主観的。 認識は悟性(理性)と完成によって補完的な産物 などといった、現代的な感覚すれば、当たり前な気もしなくもない命題を導いたことにカントの本質があることがわかった。その時代からすれば、人間が神から心理を取り返した大事件だったのだろうと想起できる。 理性と悟性との違いなど本質的かつ詳細な解説もあり、岩波の翻訳を読んでいた時の多くの疑問が氷解した。もう一回、岩波を読めば違った世界が開けるのだろう。その意味で優れた入門書であった。

Posted byブクログ

2012/07/27

入門という名の通りに、著者が簡略的にして重要な概念を伝えてくれていてとても読みやすく、またわかりやすかったように思う。 カントについて知るには不十分だと感じたが、入門書として読む本の中の一冊にこれがあっても良いなと感じた。

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2012/02/12

カント哲学が、肯定否定含めてざっくり概観できます。 日本語ばかりなので初心者でも読みやすい。ここで引用されている坂部さんやヘーゲルの著作も読んでみたくなりました。

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2011/11/10

カント二冊目。相変わらず難しくて文字の上を目が滑る滑るorz けれどそれなりに分かりやすく、所々砕けた文章で書いてくれているので読むこと自体は苦ではありませんでした。 個人的に後半(特に第三章)が難しかった;; 「時間・空間や因果関係などのカテゴリーは、人間の認識の成立の...

カント二冊目。相変わらず難しくて文字の上を目が滑る滑るorz けれどそれなりに分かりやすく、所々砕けた文章で書いてくれているので読むこと自体は苦ではありませんでした。 個人的に後半(特に第三章)が難しかった;; 「時間・空間や因果関係などのカテゴリーは、人間の認識の成立の条件、つまり、現象の成立の条件なのであって、物そのものの成立の条件では決してないのである」という文章にはっとさせられました。まさにコペルニクス的転回!

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2011/07/09

「カント入門」よりもくだけた文章で、また初心者への用語の解説も丁寧なので、こちらのほうが理解しやすい。 「純粋理性批判」って響きがいい。「相対性理論」と並ぶくらい惹かれる。バンドの名前にしても面白いかも。

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2010/05/07

一年に2度ほどは読み返さないと、だめだこりゃ。 あー大学のオープンキャンパスとか行ってみたい。 カント講義きいてみたいなぁ。

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2010/05/25

カント哲学は哲学の最終的な行き着き先であるため、カントを学ぶ前にプラトンやソクラテスは最低でも知って置く必要があるし、哲学とはと言う入門書は必ず必要となる。それ程までに純粋理性批判というものは取り扱うには難しい。ただ、ものすごく単純化すると、その存在の見る方向、その対象物からの方...

カント哲学は哲学の最終的な行き着き先であるため、カントを学ぶ前にプラトンやソクラテスは最低でも知って置く必要があるし、哲学とはと言う入門書は必ず必要となる。それ程までに純粋理性批判というものは取り扱うには難しい。ただ、ものすごく単純化すると、その存在の見る方向、その対象物からの方向がどちらに向いているのか、また、モノではなく事象としてどうなのか、だから、その事象は起こりうるのかなど、絶えず中心点は、軸をどこにおくのかだけ理解できていればなんとかなるかもしれない。本著については、入門書であるため、純粋理性批判がどのようなカントの生い立ちを背景にできたのか、カントという哲学者はどういったパーソナリティなのか、まずはそこから入るためには良著であると思われる。★を一つ減らしたのは著者がカントに傾倒しすぎて、感嘆文を入れているためである。

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2010/02/28

世界は主観による構成物だと考えることで、初めて客観的認識が成立する、という主張。 自分が十年以上前に、Newtonで「完全な客観性など存在しない」といった趣旨の対談を読んだ時の衝撃を思い出しました。 あれはここにリンクしていたんだ。 本の内容も興味深く、引き込まれました。 価値の...

世界は主観による構成物だと考えることで、初めて客観的認識が成立する、という主張。 自分が十年以上前に、Newtonで「完全な客観性など存在しない」といった趣旨の対談を読んだ時の衝撃を思い出しました。 あれはここにリンクしていたんだ。 本の内容も興味深く、引き込まれました。 価値のある一冊です。

Posted byブクログ