社会的共通資本 の商品レビュー
社会的共通資本という概念枠組み(フレームワーク)は良いのだが、思想内容には共感できないところが多かった。 筆者が農民を好きなのは伝わってきた(笑) あと、「大学の先生は、いいご身分ですねえ」と言いたくなった。さんざん「大学の自由」と言いつつ、「大学の社会的コスト」については一言も...
社会的共通資本という概念枠組み(フレームワーク)は良いのだが、思想内容には共感できないところが多かった。 筆者が農民を好きなのは伝わってきた(笑) あと、「大学の先生は、いいご身分ですねえ」と言いたくなった。さんざん「大学の自由」と言いつつ、「大学の社会的コスト」については一言も言及しない。都合の悪い話はしないんだねえ。不誠実だ。
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ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を安定的に維持する。このことを可能にする社会装置が「社会的共通資本」である。 この本でも触れられている「社会的共通費用」の概念はむしろもっと重要ではないかと思う。自動車の普及による公害、環境破壊、歩行者や子供たち...
ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を安定的に維持する。このことを可能にする社会装置が「社会的共通資本」である。 この本でも触れられている「社会的共通費用」の概念はむしろもっと重要ではないかと思う。自動車の普及による公害、環境破壊、歩行者や子供たちがこれまでのように街路を安全に使えなくなってしまうこと等、本来所有者が払うべきコストを社会全体としてどれだけ被っているかを尺度化しようというもの。 これを読んでふと思い出したのが、CO2見える化による環境対策という名目で経産省が主導したカーボンフットプリント。実際は、売り手にとってコストが大きく、失敗に終わった模様。何となく棚上げになってしまった感があるけど、スウェーデンの炭素税導入のような国をあげた民主的なアプローチやAEONのレジ袋有料化などをもとに、負担する立場になって、社会的費用の回収を実行に移していくフェーズにあるのではないか。 また、都市、農村、医療、教育、金融制度などは「社会的共通資本」として見たときにどうあるべきなのかという点もそうだけど、電気やガス、水道等のようにこれからますます社会的インフラとして当たり前になりつつあるITはそもそもどういう役割を果たすべきなのか、代償として負担すべきコストはないのか・・等、本書をきっかけに改めて考えてみる必要がありそうだ。
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国家の経済活動の基盤となる「社会的共通資本」の観点から、農業、都市、教育、医療、金融、地球環境について語る新書。 特に前半は自然を崇め、そこで生きる人々を讃える古い価値観が強調されており、学者の文章としては気持ち悪さを感じたが、教育の章と金融の前半は読む価値がある。 一昔前の学...
国家の経済活動の基盤となる「社会的共通資本」の観点から、農業、都市、教育、医療、金融、地球環境について語る新書。 特に前半は自然を崇め、そこで生きる人々を讃える古い価値観が強調されており、学者の文章としては気持ち悪さを感じたが、教育の章と金融の前半は読む価値がある。 一昔前の学者の文章を読むと、若い学者の書くものとは異なる分野の教養に支えられていることが多く、その意味では新たな発見も多い。 結局、制度学派経済学の主張の要旨はよく分からなかったが、その主張の基礎にある多様な知見には目を向ける価値があるように感じた。
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自分のいる社会にとって一体何が課題となっているのだろうか、を考えようと思って読んだ本。 新古典派とケインズ経済学の対立を超えた道として、社会的共通資本という概念を打ち出していて、経済学の考え方を基盤としたこの問題意識を理解しないと、本書の主張を理解するのが難しいと思う。 農業、教...
自分のいる社会にとって一体何が課題となっているのだろうか、を考えようと思って読んだ本。 新古典派とケインズ経済学の対立を超えた道として、社会的共通資本という概念を打ち出していて、経済学の考え方を基盤としたこの問題意識を理解しないと、本書の主張を理解するのが難しいと思う。 農業、教育、医療が社会にとって重要な「資本」であり、農業の経営単位の拡大が重要であることや、都市のあり方についての観点など、これらの「資本」についての指針は示唆に富んでいるが、それがなぜ重要か、これらの示唆がどのような問題意識や理念に裏打ちされているについては、主張の基盤となる経済学の考え方を理解する必要あるため、引き続き考えていきたい。
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あるメディア系企業の経営者の方がオススメしていてよんだのだが、こりゃ論文だぁ。真面目に読みすぎると骨が折れます。オススメされた手前読了。途中、経済学の変遷に関して要約している部分がためになった。しかし、なんか本書全体が各論の寄せ集めを脱し切っていない印象で読後に新しい世界観の夢を...
あるメディア系企業の経営者の方がオススメしていてよんだのだが、こりゃ論文だぁ。真面目に読みすぎると骨が折れます。オススメされた手前読了。途中、経済学の変遷に関して要約している部分がためになった。しかし、なんか本書全体が各論の寄せ集めを脱し切っていない印象で読後に新しい世界観の夢を持てるって感じではなくて読後感がいまいち。いってることはもやっとわかるんだけど、実態のない理想論的に聞こえたしまった。
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『自動車の社会的費用』で有名な宇沢氏の代表作の1つ。 「社会的共通資本」とは、「一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会装置」と定義される。 筆者は社会的共...
『自動車の社会的費用』で有名な宇沢氏の代表作の1つ。 「社会的共通資本」とは、「一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会装置」と定義される。 筆者は社会的共通資本としての①農業・農村、②都市、③学校教育、④医療、⑤金融、⑥地球環境のそれぞれの分野について役割を詳しく述べるとともに、現代社会の根深い問題点を指摘する。 そして最終的に、これらの社会的資本は市場原理主義や国家統制によって支配されるべきではなく、それぞれの分野の職業的専門家によって職業的規範によって管理・維持されなければならない ・・・と締めくくる。 社会的共通資本の重要性、特に自動車の社会的費用についての考察には大いに賛成。しかし、地方では自動車に頼らなければ生活できないのも事実。地方の公共交通をいかに整備し、美しい町を築くかというところまで踏み込んだ分析が欲しかった。 これからの日本社会をどうデザインしていくのか、どのような社会が持続可能なのか、考えさせられる一冊。
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※このレビューにはネタバレを含みます
社会主義及び資本主義に代わる「制度主義」の台頭の予測と、それを基づける「社会的共通資本」について解説した一冊です。 が、実際には「社会的共通資本の事例集」といった感じで、いまいち体系的な解説になってない気がします。おまけに一つ一つの事例も、主張が整理されていない感じがして、よーーーく噛み砕いて仔細に読まないと消化不良を起こします。 はっきりいえば「わかりにくい本」なので、まず社会的共通資本とは何か、を抑えたうえで読んだほうがいいかもしれません。
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ウエブレンの提唱した制度学派の考え方を基礎に、人間が人間らしく経済活動をするために必要な社会的共通資本について論じた著作。 マネタリズムの新古典派経済学派の対極にある考え方である。 経世済民、本来の経済活動はこうあるべきだと高邁な議論が展開されている。 社会的共通資本をガバ...
ウエブレンの提唱した制度学派の考え方を基礎に、人間が人間らしく経済活動をするために必要な社会的共通資本について論じた著作。 マネタリズムの新古典派経済学派の対極にある考え方である。 経世済民、本来の経済活動はこうあるべきだと高邁な議論が展開されている。 社会的共通資本をガバナンスする資質を如何に育てられるかその社会のあり方が問われる。
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「エリノア・オストロム」でググったら二冊ヒットした。一冊は洋書で、一冊は「シェア」だった。どうしようかなとおもったら、「この本を買った人が読んでいる本コーナー」にあった。
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